感染症を正しく恐れる(防衛医大 加來教授インタビュー)
(※本記事は、2020年9月30日のインタビューをもとに作成しています) 少しの間、お休みさせていただいておりましたが、DELMAGAによる情報発信を再開させていただきます。ファンの皆さまには、長らくお待たせいたしましたことを、心よりお詫びいたします。今回は、記念すべき復活号ということで、日頃監修いただいている防衛医大の加來先生に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、感染症への心構えなどについてインタビューさせていただきましたので、シェアさせていただきたいと思います。 防衛医科大学校 加來先生インタビュー ――まず始めに、新型コロナウイルス感染症について、最近になって分かってきたことなどはあるでしょうか感染症は、患者数・重症度の指標と、流行(感染拡大)の可能性の2つの指標で評価することが重要です。 加來教授の制作資料より抜粋 重症度については、医療機関の力によるところが大きいと言えます。9月24日には、国立国際医療研究センターからよいニュースが公表されました。重症化患者の傾向に関する報道ですが、初期段階で重篤化し易い傾向を示す数値の存在が明らかになったというものです。これによって重症化を阻止できれば患者数・重症度の指標を低く抑えることができます。 国立国際医療研究センター COVID-19の重症化を予測する液性因子の同定 流行の可能性については、実効再生産数(患者が次の患者の原因となる数)を抑えるべく、クラスターの発生を阻止するための対策を続けていくことが重要です。 ―― 素晴らしい成果ですね。初期段階で治療方針を考える重要な参考になりそうです医療機関は、そういう研究を一所懸命やっていて、成果が出始めていますよね。一方で、感染拡大については引き続きひとりひとりの意識や行動によるところが大きいです。基本に立ち返って、三密を避ける、手洗いの徹底など継続してほしいと思います。埼玉県医師会のWebサイトに掲載されているWeb動画が、よくまとまっているので参照してみてください。 埼玉県医師会Webサイト 家庭・職場・学校などにおける感染予防対策研修動画 この中に「学校での取組み」が教育委員会から発表されていますが、とても要点が押さえられています。内容は、難しいことは何も言っておらず、基本中の基本をおさえておこう、と言っていますよね。 ・家庭と学校が連携した健康管理・マスクの着用(飛沫、マイクロエアロゾルの防止) ・3つの密の回避の徹底 ・手洗い等の徹底(接触感染の回避) ・環境衛生管理の徹底 引用:学校における感染防止対策 ~埼玉県教育局の取り組み~ 感染症のもたらす負の循環 ―― 新型コロナウイルス感染症は、情報が錯そうしたり、恐怖が増長し過ぎている印象があります感染症のイメージというものは、昔もいまも変わっていません。罹患者は、知らないうちに感染し、突然発病する。ときに重症化して死が連想される。人にうつるので申し訳ない気持ちになる。そして、うつされた人は、非常に迷惑に思う、という具合です。 お話をもとに図式化したイメージ 恐怖・不安から警戒へ、それが偏見・差別・風評につながり、周りへの不信、不満、政府批判などが生じます。やがてこの状況に疲弊し、あきらめ、無関心、投げやり、無視、無頓着、といった感情に変化していきます。これがひたすら循環するのです。 昔は、地域住民の1/3が死亡してしまう(中世ヨーロッパのペストや近代ロンドンのコレラなど)、などといったことが珍しくはありませんでした。現在は、感染症の成り立ちが分かってきています。それらを把握し、感染源の撲滅、感染経路の遮断、自然免疫力の増加(ワクチンなど)など、対処することができます。正しく感染症を恐れ、対処することが大事です。 誹謗中傷や、差別、偏見をなくそう ―― 得体が知れない、と決めつけてしまうことで必要以上に怖がってしまったり、他者を傷つけてしまう可能性があるのですね感染症において、注意しなければならないのは、誹謗中傷、差別・偏見です。このことは、どのような感染対策をも意味をなさなくしてしまいます。 差別を受けたくない、という理由で感染症の発生そのものが隠蔽されてしまうと、結果、重症化と蔓延を招きます。また、隠ぺいするようになると実態の把握もできず、感染拡大が抑止できません。かつてのハンセン病、HIVのような差別が広まった事例を繰り返してはいけません。風評被害防止のための啓発は、とても大事なことです。 世界でみたコロナ禍 ~正しく事実を見極めていく~ 画像:WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard より ―― ところで、世界では感染者数が3,700万人を超え、100万人以上の死亡(令和2年10月13日現在)が確認されていますWHOのWebサイトではデイリーで感染者数、死亡者数が掲載されています。 WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard こういったデータをみるときに注意しなければならないのは、各国一律のサーベイランスではないという点です。医療水準、医療費負担の有償・無償の問題、情報公開に関する意識レベル差など、踏まえて考える必要があります。例えば、北朝鮮、トルクメニスタンは感染者数を公表しており、「ゼロ」と発表しています。 ―― 注意しなければならないと分かる、最も分かり易い事例かもしれません一方で、日本国内の公表数字は正確かどうでしょうか。日本では、2つの峰があると言われています。第一峰は、PCR検査の陽性者のみで、症状者が含まれていません。第二峰については、検査方法も多種になっていて、無症状者など含まれています。ここから言えることは、2つの峰は、まるで別の種類であるということです。そして、無症状者の中にも、感染しているが無症状の人、潜伏期間中の人、全くの未感染の人、という3つの種類が存在していることも忘れてはならない点です。 ―― データの見方が変わりますねとはいえ、有症状者のうち、20%程度が中等症以上になり、2~5%くらいが死亡してしまう。これは紛れもない事実です。それは研究を進めるうえで重要な情報となります。データの中から、正しく情報を分析していかなければなりません。 ―― ワクチン開発が各国急ピッチで行なわれています。完成すれば、このコロナ禍は落ち着くでしょうかワクチンは、重症化阻止のためのものであって、感染阻止できるものではありません。それは、インフルエンザワクチンと同様です。それに、新型コロナウイルスのRNAウイルスは、人から人へ感染を繰り返すうちに変異していることが確認されていることや、せっかくできた抗体(免疫力)も時間とともに減少していくというデータも出てきています。したがって何度も感染する人が出てくることが予測されます。やはり、基本的な備えを怠るわけにはいかないでしょうね。 ―― ひとりひとりの意識がやはり重要というわけですね。加來先生、お忙しい中ありがとうございました! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 国立国際医療研究センター COVID-19の重症化を予測する液性因子の同定埼玉県医師会Webサイト 家庭・職場・学校などにおける感染予防対策研修動画(学校における感染防止対策 ~埼玉県教育局の取り組み~ )株式会社デルフィーノケア(オフィスまるごと抗菌)WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard
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