タグ「子どもの三大夏風邪」の記事一覧
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感染者数過去最多。子どもの三大夏風邪のひとつ「プール熱」
夏になると子どもを中心に患者数が増える感染症が、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」。"子どもの三大夏風邪"とも呼ばれ、各所で注意喚起されています。 そのうち今回取り上げるのは「プール熱」。感染力が強く、環境中でも感染力を保ったまま生存できる、私たちにとって厄介な存在です。2023年シーズンの感染者数は過去10年で最多、以下のグラフでもその多さが際立っていることが分かります。 咽頭結膜熱の定点あたりの感染者数の推移(NIID国立感染症研究所)画像クリックで拡大できます 今回も、感染症・疫学の権威である防衛医科大学校の加來先生に監修いただきながら、特徴や注意点などを分かり易く整理してお届けしていきたいと思います。最後までお付き合いください。 プール熱(咽頭結膜熱)とは プール熱は、アデノウイルス(Adenovirus: AdV)に感染することで引き起こされる感染症で、正式には「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」といいます。プールでの感染例が多いことから、日本では一般に「プール熱」と呼ばれています。 画像引用:アデノウイルスの模式図(大阪健康安全基盤研究所) プール熱を引き起こすアデノウイルスには複数の型がありますが、そのほとんどが自然治癒します。しかし、稀に肺炎などを引き起こし重症化するケースもあるため注意が必要です。プール熱にかかると免疫獲得しますが、あくまでも複数ある型のなかの特定の型についての免疫に過ぎません。別の型に感染した場合には、やはりプール熱にかかってしまうことになります。 アデノウイルスは高温多湿の環境を好むため、プール熱は特に6月頃から増えはじめ、7〜8月にピークをむかえます。しかし、1年中かかる可能性があり、最近では、秋~冬にかけても小流行が見られます。 主な感染経路は、飛沫感染と接触感染。アデノウイルスは非常に感染力が強く、上気道(口、鼻、喉)、目の結膜から体内に入り感染します。プールでの感染の原因は、消毒が不十分な水から結膜への直接侵入による感染と考えられています。 プール熱の症状 画像引用:咽頭結膜炎に気をつけよう(神奈川県衛生研究所) プール熱の潜伏期期(感染後、発症するまでの期間)は5~7日です。生後14日以内の新生児への感染は重症化しやすく全身の感染症になるため特に注意しなければなりません。主な症状は発熱、喉が腫れる咽頭炎、目が充血する結膜炎の3つです。 ・発 熱 … 38℃から40℃の高熱が3日から1週間程度続く・咽頭炎 … 喉の痛み(喉や扁桃腺が赤く腫れ、扁桃腺に白色の浸出物がみられる)・結膜炎 … 目が真っ赤に充血 結膜炎には、充血、痛み、かゆみ、目やに、まぶしく感じる、涙が止まらないなどの症状が挙げられます。一般に、まずは片方の目に症状が現れ、その後、反対側の目にも同様の症状が現れます。そのほか、吐き気、嘔吐、食欲低下、下痢などの症状は3~5日間ほど続くことがあります。 プール熱は、経過がよいことがほとんどですが、耳や鼻へのウイルスの侵入によって中耳炎や副鼻腔炎を起こしたり、まれに肺炎などを起こして重症化することもあるので軽視できません。 目の症状が重たい場合は眼科での受診、ぐったりしている、反応が鈍い、言動が意味不明、などの症状が現れた場合も医療機関で早めに受診するようにしましょう(眼に後遺症が残る事例は少ないです)。 プール熱の診断方法 プール熱の主な検査には、「迅速診断キット」を使った検査方法があります(症状・流行状況によって、問診により診断されるケースも)。 <迅速診断キット> 喉などを綿棒でこすって「咽頭ぬぐい液」を採取、アデノウイルスが含まれているかを調べます。結果がでるまで15~30分程度とカンタンな検査です。ただし、陽性の場合はアデノウイルスに間違いありませんが、感染による発熱から間もないタイミングなどには陰性になってしまう場合も。 プール熱の治療方法 残念ながら、プール熱にはワクチンや特効薬などがありません。高熱に対しては解熱剤、喉の痛みには抗炎症剤、目の症状には抗生剤やステロイドの点眼薬などの眼科治療、症状を和らげる対症療法となります。 高熱に加えて、喉の痛み・腫れから飲食が困難な場合がありますが、脱水症状にならないよう水分補給が大切です。飲みものは、麦茶、牛乳など刺激の少ないものを選びましょう。食べものも同様に、刺激が少なくのどごしの良いプリン、ゼリー、おじや(冷ましたもの)、お豆腐、冷製スープなどがオススメです。 プール熱の予防対策 主な治療薬のないプール熱は、予防が大切です。 アデノウイルスは、アルコール消毒剤や熱に対する抵抗力が高いウイルスです(「ノンエンベロープウイルス」といいます)。そのため予防策には、手洗い、うがい、マスク等の一般的な感染症対策が有効とされています。特に注意したいのは、タオルの共用。家庭内での感染事例も多くみられます。体調がよくないときは免疫力が低下していることも多いので、プールは避けましょう。 ・プールや温泉施設の利用前後にはシャワーを浴びる・帰宅時に石鹸・ハンドソープなどで丁寧に手を洗う・タオル等は共有せず、個別に使用する なお、昭和の時代には、プールの後に眼を洗う(「洗眼」といいます)ことが推奨されていましたが(小学校などでは、専用の蛇口が設けられていたケースも)、水道水による洗眼は保護層が洗い流され角膜が傷つきやすくなるとして、現在では推奨されていません。 プール熱の学校保健法上の取扱い 集団感染を防ぐ目的で制定された学校保健安全法施行規則では、第二種学校感染症(飛沫感染、接触感染により伝播され、学校内で流行を広げる可能性が高いものが分類されています。インフルエンザや麻疹などもこの分類)に位置付けられ、結膜炎やのどの炎症などの主要症状がなくなってから2日間は出席停止となっています。ただし、病状により伝染の恐れがないと医師が判断した場合には、登校することができます。 プール熱は、5歳以下の患者が6割を占めますが、大人でもかかることがありますので、家族など身近な子どもがかかったときには用心しましょう。大人がプール熱にかかった場合は、子どもとは異なり、仕事などを強制的に休まなければならないといった制限はありませんが、周囲へ感染可能性も考慮し、症状がなくなるまでは自宅で安静に過ごしましょう。 さいごに 今回は、子どもの三大夏風邪のひとつプール熱を取り上げました。 プール熱は、重症化するケースは稀とはいえ、感染力が強く、新生児にとっては大きな脅威となる感染症。日頃からの体調管理や基本的な感染症対策を徹底し、感染防止に努めたいものです。感染症対策について、ご不明な点などがございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。(監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 咽頭結膜熱とは(NIID 国立感染症研究所)咽頭結膜炎にきをつけよう!(神奈川県衛生研究所)アデノウイルス感染症とは(大阪健康安全基盤研究所) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。 専用噴霧器によって、デルフィーノをμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから。 お問い合わせ
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乳児にご注意。RSウイルス感染症とは
2023年夏シーズン、子どもの間でいくつかの感染症が流行しています。 国立感染症研究所からの第29週の公表データによると、過去5年間の平均値と比較して上回っているのが、インフルエンザ、ヘルパンギーナ、咽頭結膜炎、RSウイルス感染症、急性出血性結膜炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の6つです。 定点把握の対象となる5類感染症(国立感染症研究所) 今回のコラムで取り上げるのは、乳児にとって大きな脅威となるケースもある、RSウイルス感染症。いつものように、感染症・疫学の権威である防衛医科大学校の加來先生に監修いただきながら、分かり易く整理して情報をお届けしていきたいと思います。 RSウイルス感染症は、2歳以上の人にとっては大きな脅威とはなりにくい感染症ですが、乳児にとってはまったく違います。ご自身や、周りの方々の安心・安全をまもるために、ぜひこの機会に正しい知識を身に付けてください。 RSウイルス感染症とは RSウイルス感染症とは、RSウイルス(Respiratory syncytial virus(レスピラトリー・シンシチアル・ウイルス)による急性呼吸器感染症をいいます。1956年に上気道炎症状を呈するチンパンジーから最初に発見された疾患で、発見当初は9月頃~冬~初春までが流行期と考えられていましたが、2021年以降、春から初夏にかけて継続した増加がみられ、夏にピークを迎えています。 電子顕微鏡でみるRSウイルス(Wikipedia PublicDomain) 感染すると、年齢を問わず風邪などの症状を引き起こしますが、乳児期(なかでも生後1歳まで)の発症例が多く、母体からの移行抗体をもつ生後数週から6か月未満の間にもっとも重症な症状を引き起こします。低出生体重児(2,500グラム未満)や、心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全のある場合には、さらに重症化リスクが高まることが知られています。 生後1歳までに50〜70%が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染します。2歳以上で感染した場合、軽い鼻風邪程度で済むことが多く、重症化リスクは軽減します。RSウイルスは、かぜのウイルスの一種なので、大人から子どもまで何回も感染するのも大きな特徴。年長児や大人に感染すると鼻の症状だけ引き起こすことも多いウイルスです。 高齢者の場合、RSウイルスが重症の下気道炎を引き起こす原因となることが知られ、特に介護施設内などでの集団発生が問題となる場合があります。 RSウイルス感染症の症状は RSウイルス感染症の特徴的な症状は、細気管支炎、肺炎です。 感染経路は、飛沫感染、接触感染です。感染者の咳・鼻水を浴びることや、それらに直接触れることで感染します。感染後、4〜5日の潜伏期を経て、咳、鼻水、発熱などが症状として現れます。発症後、10〜14日間ほどでウイルスは排出されますが、1か月程かかる場合も。 「呼吸が苦しそう」「食事や水分摂取ができない」などの場合には、医療機関への受診を検討してみてください。特に前者の症状では、RSウイルスによって肺炎、気管支炎、細気管支炎などが引き起こされている可能性があります。場合によっては酸素投与、点滴などの処置が必要であり、入院し経過観察が必要な場合もあります。 生後3か月未満の乳児では、これらの症状の代わりに、哺乳不良、活気不良、無呼吸発作、チアノーゼ(皮膚の色が紫色になる状態)などの症状が現れるケースもあります。特に、無呼吸発作は命にかかわる重篤な症状なので、要注意です。 RSウイルス感染症の疑いがあったときは 病院で行なうRSウイルス感染症の検査は、鼻腔に専用の綿棒を挿入して鼻粘膜をぬぐい検体を採取、15分程度で診断することができます。しかし、生後間もない(1~2か月程度)乳児でRSウイルス感染症が疑われる場合には、経過中に無呼吸発作などの症状が現れるリスクもあるため、重症化する経過を予想し、入院するケースもあります。 RSウイルスには、有効な抗ウイルス剤がないため、症状に合わせた対症療法が一般的です。去痰薬、解熱薬、理学療法(痰を出しやすくしたりする体位を取らせたり、吸入をしたりするもの)など、罹患者自身の免疫力により回復を助ける薬を内服したり、吸入などの処置で呼吸状態を改善する処置が取られます。重症化した場合には、酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理が行なわれます。 ※重症化リスクの高い在胎36週未満の早産の乳児、および慢性肺疾患や先天性心疾患をお持ちの乳幼児を対象に、重症化抑制薬(抗RSウイルスモノクローナル抗体:商品名シナジス)を予防投与することが認められています。 RSウイルス感染症へ予防対策は、日常の手洗い、うがい、マスク着用です。また、子どもが日常的に触れる玩具などをこまめに消毒するのも大切です。 さいごに RSウイルスは、乳児以外では重症化リスクが高くはないために軽視されがちです。しかし、症状が重くないからといって、自分自身がキャリアとなって乳児にうつしてしまう可能性も。特にご家族など近い距離に乳児がいる場合には要注意です。 RSウイルス感染症は、ほかの感染症と同様、正しい知識を持ちリスクの程度を把握、ひとりひとりの意識によって感染拡大を防いでいきましょう。(監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL・RSウイルスとは(NIID 国立感染症研究所)・IDWR感染症週報(厚生労働省/国立感染症研究所) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。 専用噴霧器によって、デルフィーノをμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから。 お問い合わせ
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2023年夏、猛威を奮うヘルパンギーナを紐解く
2023年5月8日より新型コロナウイルスのあつかいが「5類」に引き下げられ、コロナ禍で自粛されていた様々な活動がコロナ前の状況に戻りつつあるなか、子どもに流行し易い複数の感染症が例年よりも猛威を奮っています。 もともと夏季には、子どもを中心に「手足口病」、「ヘルパンギーナ」、「咽頭結膜炎(プール熱)」の「三大夏風邪」と呼ばれる感染症が例年流行しますが、国立感染症研究所の発表によると、2023年はそれらのなかでもヘルパンギーナが特に感染者数を拡大しているといいます。 今回のコラムでも、感染症の権威である防衛医科大学校の加來先生に監修いただきながら、分かり易く情報をお届けしたいと思います。 ヘルパンギーナは子どもを中心に流行するとはいえ、大人が罹患した場合に症状が重くなる可能性も。ご自身や、周りの方々の安心・安全をまもるために、ぜひ最後までお付き合いください。 ヘルパンギーナ 2023夏 夏季に子どもの間で流行する感染症はいくつかありますが、2023年夏シーズンでは、以下の5つの感染症が特に流行しています。 ・ヘルパンギーナ…高熱、のどの痛み、口内に口内炎のような水ぶくれなど ・RSウイルス感染症…主にせきからなるかぜ症状(重症化すると、細気管支炎や肺炎も) ・感染性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)…吐き気・おう吐、腹痛、発熱 ・咽頭結膜炎(プール熱)…発熱、のどの痛み、結膜炎など ・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎…高熱、のどの赤み、イチゴ舌(免疫がないと発疹が全身に広がるケースも) これらのなかで、もっとも警戒すべき罹患者数なのが、ヘルパンギーナ。すでに大阪府では、府内における定点観測の結果、定点あたりの1週間(6月12日~6月18日)に報告された患者報告数が警報レベルを超えて、大きな流行になっていると発表されています。 ヘルパンギーナとは 画像引用:エンテロウイルス(東京都健康安全研究センター) 最初に、ヘルパンギーナとはどのような感染症なのかを整理していきます。 ヘルパンギーナ(Herpangina)の語源は、ドイツ語の「水疱(ヘルペス)」と「喉の炎症(アンギーナ)」から成ります。夏かぜの代表的疾患で、乳幼児を中心に夏季に流行する急性のウイルス性咽頭炎です。発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹が特徴で、罹患者の年齢は、5歳以下が全体の90%以上を占めます。 日本国内では、例年5月頃より増加し始め、7月頃にかけてピークを形成、8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなり、流行は例年西から東へと推移していきます。 ヘルパンギーナの流行規模は、ほぼ毎年同様の傾向を示していましたが、2023年にはだいぶ違った様相を呈しているのです。以下のグラフは、国立感染症研究所が開示している流行状況を示す定点観測データです。 ヘルパンギーナの流行状況(25週目データ)(国立感染症研究所) コロナ禍の真っ只中である2020年~2021年シーズンでは、新型コロナウイルス感染症予防のためのあらゆる措置が取られている影響もあり、他の感染症同様に例年より低い数値を示しています。しかし、コロナ禍前の2019年と、2023年の数値の差異を参照すると、その差は歴然(24週目の数値では、10倍以上の差異が見て取れます)。今シーズンの流行の大きさがよく分かります。 ヘルパンギーナの感染源の大多数は「エンテロウイルス属」に属するウイルスに起因します。エンテロウイルス属の宿主はヒトのみで、感染経路は、 ・飛沫感染…ヘルパンギーナ罹患者の咳、くしゃみなどに含まれるウイルス ・接触感染を含む糞口感染…水疱の内容物や便に排出されたウイルスが手などを介し、粘膜から感染 これらの2つです。急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強く、エンテロウイルスの特徴として、病状の回復後にも2~4週間と長期にわたって便からウイルスが検出されることがあるため注意が必要です。 ヘルパンギーナの症状 画像引用:Herpangina Virus(Wikipedia PublicDomain) ヘルパンギーナの潜伏期間は、3〜6日。39℃以上の熱が1〜3日つづくと同時に、のどが赤く腫れて、小さな水疱がたくさん出現します。水疱は2〜3日で破れ、黄色い潰瘍になります。 のどの痛みが強いのが大きな特徴なので、食事や飲みものの摂取が困難になることから、脱水症状を起こしたり、高熱から「熱性けいれん」を起こすこともあります(まれに、髄膜炎や心筋炎が生じることも)。発熱は2~4日程度で解熱し、そのあと粘膜疹も消失します。 ヘルパンギーナは、学校で予防すべき伝染病に含まれていません。 症状が回復してからもウイルスは長期にわたって排泄されることがあるため、急性期だけ登校・登園停止の措置をとったとしても、感染拡大抑止効果があまり期待できないためです。 ヘルパンギーナの予防・治療方法は 残念ながら、ヘルパンギーナには予防接種や特効薬がありません。 予防策は、せっけんを用いた手洗いの徹底、うがい、空気の入れ替えが効果的です。周囲に咳やくしゃみをする人がいる場合には、「うつさない・うつらない」ためのマスクの着用も効果的です。なお、ヘルパンギーナや咽頭結膜熱、感染性胃腸炎のウイルスは、アルコール消毒が効きません。 対処療法として、口内炎の痛みを鎮痛解熱薬で和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方されることがあります。脱水症状の治療が必要な場合もあります。 飲食については、のどに痛みがあるので、柑橘系のジュースや熱いスープなどの刺激はできるだけ避けます。飲み物は牛乳や麦茶など、スープは冷たいスープが理想的です。食べ物も、のどに対する刺激のなるべく少ないものを意識してください。 さいごに 今夏は、コロナ禍のさまざまな制約から解放された、久しぶりの夏休みが訪れます。昨年よりも、楽しみにしているお子さんが多いに違いありません。 ヘルパンギーナには、予防接種も特効薬もありません。感染抑止に重要なのは、日頃から手洗いやうがいなどの感染予防の取り組みと、感染状況に関するアンテナを高くすることです。これは、周囲のコミュニティのなかでの流行状況だけでなく、身近な家族内の互いの体調の変化を察知することです。 新型コロナで学んだ教訓を生かしながら、存分に夏を満喫し、良い思い出のたくさんできる夏をお過ごしください! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL ・エンテロウイルス(東京都健康安全研究センター) ・ヘルパンギーナの流行状況(国立感染症研究所) delfino施設まるごと抗菌 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。 専用噴霧器によって、デルフィーノをμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから。 お問い合わせ
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