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「抗菌」「除菌」「殺菌」「消毒」の違いや意味
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、菌・ウイルス対策用グッズは日々の生活で欠かせないものとなりました。自分や家族の健康を保つために、いつも身の回りは清潔にしておきたいもの。衛生用品を求めて、ドラッグストアの店頭や、ネット検索などで菌・ウイルス対策製品を探してみると、改めて市場には多くの製品が溢れていることに気付かされます。また、そのパッケージをじっくり見てみると、「抗菌」「除菌」「殺菌」「消毒」など、様々な種類があるようです。どれも環境衛生を保つために効果的であるような、ポジティブな印象を受ける表現ばかり。しかし、 どれを選ぶのが正解なのか分かりにくい! そう思ってはいませんか…?そこで、今回は、それぞれの用語の意味を分かり易く解説し、スムーズに製品選びいただける資料を目指します。ぜひ最後までお付き合いください。 「抗菌、除菌、殺菌、消毒」の違いを整理 菌・ウイルス対策製品に使用される主なキーワード あらためて、関連キーワードを挙げてみます。ネット検索やドラッグストアの店頭に並んだ菌・ウイルス対策製品のパッケージには、「抗菌」「除菌」「殺菌」「消毒」を使用しているものが多数。さらに、ネット検索を続けていくと、「滅菌」「静菌」という耳慣れない表現も登場します。他にも種類がありそうですが、沼にはまってしまいそうなので(汗)、今回はこの6つを採り上げてみることにします。 まず、言語の観点から6つのキーワードを考察してみると、全ての用語は、熟語の分類上では「動詞の後ろに目的語をおく」というパターン。「菌』を●●する(または、「毒」を●●する)「菌」(または「毒」)に対してどのように働きかけるのか?について、表現する文字が一文字目に来ています。ひょっとすると、その程度によって用語が使い分けられているのかもしれませんね。さらに理解を深めるべく、掘り下げていきたいと思います! 「抗菌」「除菌」「殺菌」「消毒」の使い分け 個別の用語について丁寧に調査を進めていくと、どうやら6つのキーワードは、「菌に対してどのように働きかけるのか」だけではない、別のルールで2つに分類できるということが分かりました。その分類するポイントとは、製品によって使える用語が異なる ということです。「抗菌」「除菌」「殺菌」「消毒」のうち、 「殺菌」「消毒」は、薬機法(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称)によって効果がみとめられた医薬品または医薬部外品にしか使用できません。(※「殺菌」「消毒」の最上級ともいえる表現「滅菌」も同様) 医薬品、医薬部外品は、以下のように定義されています。 *「医薬品」とは…病気の治療を目的とした薬。配合されている有効成分の効果が、厚生労働省により認められたもの。*「医薬部外品」とは…厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が一定濃度で配合された製品。人体への影響が比較的緩やかで、販売業者に情報提供努力義務を課さず、一般小売店でも販売可能な製品群。 「医薬品」と比べて馴染みの薄い「医薬部外品」には、健胃薬(いわゆる胃腸薬の類)、コンタクトレンズ装着液、薬用せっけんなどが該当します。意外なところでは、パーマ液なども含まれています。このように「殺菌」「消毒」「滅菌」については、「菌を●●する」の”●●”の部分が断定的に表現されているので、健康被害に抑止するために医療に関わる法律で規制しているというわけですね。 一方で、菌を減らす・増殖を抑制する意味の「抗菌」「除菌」については薬機法による規制がありません。製品には、ウェットティッシュや洗剤などの雑貨品に多く使われており、その基準については、直接的な法規制がない代わりに、それぞれの製品の業界団体が表示の自主基準を定めています。仮に「除菌」製品に「殺菌」「消毒」の効果があった場合でも、製品分類上で「除菌」と表現されることになります。ここまでを整理すると、 *「殺菌」「消毒」「滅菌」は、菌を殺す意味を持ち、「医薬品」「医薬部外品」にのみ使用可*「抗菌」「除菌」は、菌を減らす、または増殖を抑制する意味で、それ以外の製品に使用 となります。次に、「抗菌」「除菌」「殺菌」「消毒」など、それぞれの用語の意味と、その違いを解説していきます。 「抗菌」とは 画像引用:SIAA Webサイトより 当社製品「delfino(デルフィーノ)」も、この「抗菌」カテゴリに分類されます。delfinoも認定を受けているSIAA(抗菌製品技術協議会)は、もっとも知られている業界団体のひとつですが、「抗菌」について、以下のとおり定義しています。 製品の表面上における細菌の増殖を抑制すること 経済産業省が作成した「抗菌加工製品ガイドラン」では、「抗菌加工した製品の表面上の細菌の繁殖を抑制する」とされています。一時的に「菌」を除去する他のカテゴリとは一線を画し、細菌の増殖を一定期間抑えることによって、菌が繁殖しやすい環境に先手を打って、菌が住みにくい環境を作ります。抗菌製品には、マスク、ハンカチや下着類、事務用品、玩具、キッチンやサニタリー製品(浴室、トイレ等)など豊富な種類があります。「抗菌」の歴史を紐解いてみると… 「抗菌」製品が近年最も注目を集めるようになったのは、1990年代の腸管出血性大腸菌O157の流行がきっかけであるとされます。学校給食などに起因して発生したO157の症状は重く、残念ながら命を落としてしまった児童も…。その防衛策のひとつとして注目されたのが「抗菌」製品でした。当時、市場には「抗菌●●」と銘打った製品が一気に出回り、「抗菌」という概念は一気に市民権を得ました。その一方で、「抗菌」製品が法律によって規制されないことが一部の業者に悪用されることになり、粗悪な製品もまた、数多く市場に出回ることになりました。そんな状況を重く見た大手建材メーカーや素材メーカーが立ち上がり、業界団体を発足。以来、各団体は市場に正しい「抗菌」製品が出回るように監視したり、基準を設けるなどの取組みを継続、現在のように多くの優秀な「抗菌」製品が流通する土壌が作られたというわけです。 抗菌についての整理はこちら。 「抗菌」とは、菌を長時間増やさない様にすることを言います。菌を一時的に死滅・除去する殺菌・除菌とは区別されます。 「除菌」とは 除菌とは、「菌を取り除いて減らすこと」を指します。 「除菌」製品は、コロナ禍によって再注目され、市場に流通する製品の幅も量も、一気に拡大した感がありますね。アルコールを使用したものには、特に人気が集まっている印象です。その製品群には、アルコールスプレーやジェル、ウェットティッシュ、食器用・洗濯用洗剤などがあります。菌を除去するという観点から、手洗いも除菌行為と言えそうですね。念のため、専門機関・団体による定義を調べてみると… *食品衛生法による定義…ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去すること* 洗剤・石けん公正取引協議会…物理的、化学的又は生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効数減少させることをいう このように、非常に難解な言い回しや、アカデミックな表現が使用されていました…。さておき、分かり易く「除菌」についてまとめると、 医薬品・医薬部外品以外で、病原体となりうる菌を狙って除去しようすること という理解で丁度良いと思います。なお、減少させる菌やウイルスの種類や、量についての定めはありません。 「殺菌」とは 画像引用:「Clean Lav」ボーイング社Webサイトより 「殺菌」とは、文字通り特定の菌を殺すこと。細菌などの微生物を死滅させること。 市販薬や薬用せっけん等で使用されているのを見かける「殺菌」。医薬品などの製造、表示、広告などを定めた「薬機法」の対象である医薬品・医薬部外品のみに使用できます。菌の種類や数は問わず、数が減れば殺菌と表現することができるため、その効果・範囲については製品によって大きな差異があります。業務用の「殺菌」方法には、 *「塩素殺菌」 …塩素を使用する *「オゾン殺菌」…オゾンにより発生する酸素で菌を溶かす *「紫外線殺菌」…紫外線を照射する の3つの方法があり、目的や範囲によって選定されます。「殺菌」についての整理は、 医薬品・医薬部外品にのみ使用可能で、特定の菌を死滅させること ということになります。 「消毒」とは 「消毒」とは、菌やウイルスを無毒化することです。 「薬機法」に基づき、厚生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した「医薬品・医薬部外品」の製品にのみ記されている用語です。この「消毒」という用語が親しみ深いかたも多いのではないでしょうか。幼少期に転んで擦り傷を作ったときに、家族や周囲の大人が「『消毒』しなきゃ」と言って薬剤を塗布し、絆創膏を貼ってくれたり…そんな思い出が蘇る用語かもしれません。「消毒」の方法には以下の2つがあり、環境や用途によってどちらかを選択、または双方を同時に行なうなどします。 *物理的方法…煮沸、蒸気、紫外線などによる方法*化学的方法…アルコール類や、塩素系の成分を含んだ薬品などによる方法 「消毒」について整理すると、 医薬品・医薬部外品にのみ使用可能で、病原体のある細菌のみを無毒化すること となります。なお、気になる「消毒」と「殺菌」の違いは、以下のように整理することができます。 *「消毒」…病原性のある細菌(病原菌)のみをターゲットとして、感染症を防げるレベルまで無毒化する* 「殺菌」…病原体の有無に関わらず菌を死滅させる 「滅菌」とは 参考画像:株式会社タマノ 卓上型高圧蒸気滅菌器 滅菌とは、文字通り「菌を滅ぼす」ことです。 病原体の有無に関わらず、ありとあらゆる菌を全て殺してしまう、という非常に強力な表現です。「殺菌」の最上級と言って良いと思います。「滅菌」用の製品には、高圧水蒸気や強い消毒薬がありますが、日常生活で目にする機会が多くはありませんが、病院の手術器具や注射などに必要な処置です。各滅菌器メーカーは、菌の100%除去が求められているわけではなく、日本国内では無菌性保証水準(Sterility Assurance Level:SAL)「100万分の1以下」に準拠すべしとされています。「滅菌」の方法は、 *蒸気を使って加熱する「高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)」 *乾燥した空気中で加熱する「乾熱滅菌」 *煮沸する「煮沸消毒」 などがあります。そのなかでも滅菌処理の時とコストが比較的軽い高圧蒸気滅菌が一般的に利用されています。清掃の現場においても、病院・ホテルなどの衛生の状態に特に配慮すべき場所では、高圧蒸気滅菌したゴム手袋やリネン類を使うことがあります。「滅菌」を整理すると、 医薬品・医薬部外品にのみ使用可能で、あらゆる菌を100%に近い状態まで死滅させること ということになります。 「静菌」とは 画像引用:ミツカンWebサイトより 「静菌」とは、微生物の活動を低下させ、増殖を抑制すること。 最後に、「静菌」について整理していきます。その意味は、用語から受ける印象のままに「菌を静める」ということです。あまり耳慣れない用語かもしれませんが、食料品などの保存のために使用されることも多い用語です。もっともポピュラーな「静菌」効果のある製品のひとつが「お酢」です。「お酢は身体に良い」と古くから言われ親しまれているのは、このことに起因します。濃度にもよりますが、様々な病原菌に対して効果を発揮してくれます。「静菌」は、 医薬品・医薬部外品以外で、微生物の活動を低下させ、増殖を抑制すること と整理することができます。 以上、今回は、菌・ウイルス対策製品に使用されている「抗菌」「除菌」「消毒」「殺菌」などのキーワードについて整理しました。それぞれの効果や、法律によっていろいろな用語が使い分けられていますが、それぞれの用語を正しく理解することで適切な衛生用品が選定でき、感染症から身を護っていただくことができると思います。 今回の調査が、皆様の健康のお役に立つことができますように。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 医薬部外品の効能効果の範囲(厚生労働省)抗菌性物質の特性(農林水産省)洗剤・石けん公正取引協議会一般社団法人抗菌製品技術協議会(SIAA)「除菌」と「殺菌」の違い(毎日新聞)卓上型高圧蒸気滅菌器(株式会社タマノ)The Airplane Bathroom That Cleans Itself(boeing.com)「食酢」ミツカンWebサイト
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感染症を正しく恐れる 其の三 ~ ワクチン最前線 ~
2020年初に感染拡大が始まって以降、相変わらず猛威を奮い続けている新型コロナウイルス。世界の感染者数は1億2,252万人を突破。死者は270万人を超えました(2021年3月22日時点WHO発表資料より)。欧州では、イタリアなどで再びロックダウンに入る国も…。日本国内では、延長されていた2度目の緊急事態宣言が3月21日に全面解除となりましたが、宮城県・仙台市などでは感染拡大にともない独自の緊急事態宣言(3月18日~4月11日)が発令されるなど、予断を許さない状況が続いています。そんな中、やはり注目されるのはワクチンの動向。ブルームバーグのワクチン・トラッカーによれば、世界のワクチン接種は計3億9200万回を超えたと報じられています(2021年3月19日時点)。一方、日本国内でもやっと、待望のワクチン接種が始まり、3月19日までに 578,835回の接種が完了したと報じられています。 先月は、「ワクチンとはそもそも何なのか?」についてリリースさせていただきました。 感染症を正しく恐れる 其の二 ~ ワクチンとは(入門編)~ 今回は、その続編。今後、国内で提供予定のワクチンを含め、いくつかの開発が先行するワクチンをピックアップしてお伝えしていきたいと思います。 新型コロナワクチンの開発状況 世界保健機構(WHO)の2月9日時点のまとめでは、臨床試験段階のCOVID-19ワクチンは63種類あり、前臨床の段階にあるものはさらに179種類あるとしています。前回のおさらいになりますが、新型コロナウイルスのワクチンとなるプラットフォームは、DNAワクチン、mRNAワクチン、不活化ワクチン、弱毒化生ワクチン、組み換えスパイク蛋白ワクチン、ウイルスベクターワクチンなどが挙げられます。これらは全て新型コロナウイルスのスパイクタンパクに対して働きかけるワクチンです。まずはそれらのワクチン技術について、加來先生のご提供資料をもとに以下の表にまとめました(クリックで拡大できます)。 この中で先行しているのは、報道でも触れる機会の多い以下の3社です。 ・(米)ファイザー社&独ビオンテック社・(英)オックスフォード大学&アストラゼネカ社・(米)モデルナ社 西側諸国などでは日本に先駆けて承認され、一般へのワクチン接種が供されています。前述のとおり日本国内では、2月17日よりファイザー社製ワクチンの接種が開始されました。政府は、3社のワクチンの合計で、3億回分以上のワクチン提供の契約が締結されていると発表しています。接種は、医療従事者、高齢者(1957年以前に生まれた人)、高齢者以外で基礎疾患を有する人や高齢者施設の従事者、それ以外の人、という順序、「原則、居住地の市町村」で無料提供される予定です。一般に供される日が、一日でも早く訪れて欲しいものです。 先行する新型コロナワクチン ここからは、開発の先行する3社のワクチンについて、その技術や特徴をみていきたいと思います。ファイザー(米)&ビオンテック(独) 先行している3社のワクチンのうち、ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンは、 mRNA技術で作成された歴史上初めてのワクチン です。これはRNAを使って、免疫反応を引き起こすタンパク質を生成するように体に促すワクチン。アストラゼネカ製ワクチン(弱毒化あるいは不活性化されたウイルス株を用いて、体の防御機能を起動させるワクチン)などとはまったく違った技術によって開発されています。他社のワクチンよりも、データ上有効性が高いとされ、信頼を集めています。イギリスでは、既に国民の30%以上にあたる2,000万人以上の人が、ファイザー社製、アストラゼネカ社製のいずれかのワクチンを、少なくとも1回は接種を受けていると報じられています。日本国内でも、もっとも早く正式承認されたワクチン(2021年2月14日)で、約1億4400万回分(約7200万人分)の供給を受けることで正式に契約していると発表されています。このワクチンと課題とされているのは、「mRNAが非常に傷みやすい成分であるため、マイナス70以下の特別な温度管理が必要」という保管の難易度の高さ。輸送時にはさらに低い温度管理が求められ、物流の問題が大きな障壁だと言われています。 アストラゼネカ(英)&オックスフォード大学 アスラゼネカ社製ワクチンは、弱毒化したウイルス株を用いるウイルスベクターワクチン。WHOは、ファイザー社製ワクチンに続く2例目として、緊急使用を承認しています。 チンパンジー由来の一般的な風邪のアデノウイルスを弱毒化し、体内で増殖しないように処理をして、そこにSARS-CoV-2ウイルス表面のスパイクタンパク質の遺伝物質を組み込んだものを使用します。ワクチン接種後、SARS-CoV-2ウイルスの表面のスパイクタンパク質が体内で形成され、実際にSARS-CoV-2ウイルスに感染した時に、ウイルスを攻撃するよう免疫システムが刺激されます。(アストラゼネカ社Webサイトより) 日本国内では、2月5日に承認申請が実施されています。政府は、1億2000万回分(約6000万人分)の供給を受けることで合意していると報じています。アストラゼネカ社製は、2~8度と通常の冷蔵庫で保存することができ、マイナス70度以下の温度管理が必要とされるファイザー社製と比べて、物流面で大きなアドバンテージがあります。また、先行する3社のうちで最も安価(1.78ユーロ(2021年3月20日現在の為替で約231円))との情報も。益々普及への期待が高まっています。このワクチンについては、高齢者への有効性を疑問視する声もあります。アメリカ政府のモンセフ・スラウイ主席顧問は、 「高齢者への有効性はさらなる裏付けが必要。臨床試験では十分な数の高齢者の被験者が採用されていない」 と雑誌のインタビューで回答しています。また、3月13日には「欧州で10カ国以上が『安全上の懸念がある』ために同社のワクチンの接種を中断した」と欧州各社のメディアが報じています。報告されているという「深刻な血栓の発生」との因果関係の究明など、データの検証が待たれます。 モデルナ(米) ファイザー社製のワクチン同様、mRNA技術で作成されたワクチン。日本国内では、武田薬品工業が3月5日に製造販売承認申請を実施しており、5000万回分(2500万人分)の供給を受ける契約が取り交わされていると報じられています。モデルナ社製ワクチンの保管温度はマイナス20度(ファイザー社製はマイナス70度)。冷蔵保存(2~8度)では30日間も保存が可能(ファイザー社製が5日間の保存期限)と報じられています。高い有効性が期待されるmRNAワクチンの中で、その扱いやすさが注目を集めています。一方で、価格についてはファイザー社製と比較して2割前後高いと報じられています(ファイザー社:12ユーロ(2021年3月20日時点の為替で 約 1,561円)、モデルナ社製は18ドル(2021年3月20日現在の為替で約1,960円))。 日本国内でのワクチン開発の状況 さて、海外勢のワクチンが目立ちますが、日本国内での開発状況はどうなのでしょうか。国産のワクチンの開発は、これまでに2社が人への投与も含めた安全性や効果などを確認する臨床試験段階に入っている状況です。ここからは、その2社について紹介させていただきます。 アンジェス・大阪大学・タカラバイオ 大阪のバイオベンチャーであるアンジェス社。このアンジェスが開発しているワクチンは、ファイザー社やモデルナ社(mRNAワクチン)、アストラゼネカ社(ウイルスベクターワクチン)とは異なり、DNAワクチンです。国産ワクチンとしては最速の2020年6月から臨床試験をはじめており、2020年12月の発表では、臨床試験対象者を500人に増やしその安全性と免疫原性の評価を行なっています。 引用:アンジェス社 Webサイト「新型コロナウイルス感染症関連情報」より 塩野義製薬・UMNファーマ・国立感染症研究所 もう一社は、創業140年を超える老舗製薬会社である塩野義製薬。同社の開発するワクチンは、組み換えタンパク質ワクチン。遺伝子組換えタンパクワクチンは、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に投与されるため、インフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその効果と安全性を基に承認・実用化されている確立された技術だといいます。一方で、抗原発現や精製に一定の開発期間を要するとのこと。12月に開始された第1/2相臨床試験では、200例以上の日本人成人を対象に試験を実施。3週間間隔でワクチンを2回接種した際の安全性、忍容性、免疫原性を接種後1年間追跡評価すると発表しています。現在、最終段階である、世界の流行地域の数万人を対象にした 偽薬を用いた大規模な治験に向けて準備が進められていますが、世界では米ファイザー製や英アストラゼネカ製など、既に実用化されたワクチンの接種が進んでいることから、未承認のワクチンの治験参加者の確保が難しく、年内の治験実施の調整が難航しているとも。同社は、引き続き臨床試験の実施と並行して、2021年末までに3,000万人分以上のワクチン生産体制を整備することを目標に、生産設備の構築・増強、大量生産に向けた製造方法の最適化を進めていくと発表しています。 以上、国内開発の状況をピックアップしました。既に接種開始されている欧米各社に大きなアドバンテージがあるとはいえ、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルスに対するワクチンが日本国内で開発され、世界中で評価を得ている姿は見てみたいもの。応援していきたいと思います。 まとめ 今回は、新型コロナワクチンの続編の情報をお届けしました。ワクチン接種は、人によっては、体内に入ることによってアナフィラキシーショックなどアレルギー症状が表れる可能性も。一般のワクチン接種が開始されるまでに、国内でもそういった症例が報じられていくことになると思います。重篤な症状が表れる人も一定割合出ることが予想されますが、読者の皆様は、その症例を把握されるとともに、起きている確率や、ご自身が元来お持ちのアレルギー情報とも照らし合わせて、ワクチン接種についてご検討ください。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 新型コロナワクチンの接種実績(厚生労働省)宮城県・仙台市緊急事態宣言(仙台市)新型コロナウイルスについて(厚生労働省)新型コロナワクチンの有効性・安全性について(厚生労働省)WHO Coronavirus(COVID-19)Dashboardワクチン開発や接種 世界の状況は(NHK 特設サイト) 新型コロナ「ファイザー」と「モデルナ」のワクチンの特徴は(NHK)英オックスフォード/アストラゼネカのワクチン、イギリスで特定の変異株にも有効とEUのワクチン価格「暴露」1回分225~1860円―ベルギー閣外相 新型コロナウイルスDNAワクチン:2/3相臨床試験における接種開始について(アンジェス) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの第1/2相臨床試験開始のお知らせ(シオノギ) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する取り組み(KMバイオロジクス) 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」公募採択に関するお知らせ(第一三共)
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感染症を正しく恐れる 其の二 ~ ワクチンとは(入門編)~
WHO Coronovirus Disease Dashboard より 新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮い続けており、2021年1月27日現在、世界の感染者数は間もなく1億人に達しようとしています。死者は既に213万人を上回っており、この感染症の恐ろしさを物語っています。日本国内でも、東京を中心として感染者数が急増、医療現場を圧迫しています。最前線におられる医療従事者の皆様や、そのご家族の皆様には感謝してもしきれるものではありません。この状況を打開するべく、世界中の製薬メーカーや大学の研究機関などでは、急ピッチでワクチン開発が進められています。その成果が徐々に実を結び、昨年末から頻繁にワクチンの開発や認可、使用開始の報道が聞かれます。今回は、そんなワクチンについて採り上げてみたいと思います。どうぞ最後までお付き合いください。 「ワクチン」とは何なのか? この「ワクチン」という単語、コロナ禍においては特に耳にすることが多い単語です。乳幼児が、数か月ごとに推奨される予防接種を行ないますが、それらもワクチンです。ほとんどのかたが接種する身近なものなので、ほとんどのかたがその存在を認識しているワクチン。でも、ワクチンついて正しく理解されているでしょうか?ワクチンの概要 ワクチンの効果や副作用についてメディアで議論されることが多いですが、まずはワクチンとは何なのかを知ることから始めましょう。わたしたちの周りには、細菌やウイルスなど、さまざまな病気を引き起こす原因となる、たくさんの微生物が存在します。このような微生物を「病原体」と呼びます。病原体が体の中に入ると、私たちは病気になったり、ひどい場合には死に至ることもあります。しかし、ヒトのからだには、一度入ってきた病原体が再び体の中に入ってきても病気にならないようにするしくみがあります。このしくみを「免疫」といいます。 「病原体」:細菌やウイルスなど、さまざまな病気を引き起こす原因となる、たくさんの微生物「免疫」:一度入ってきた病原体が再び体の中に入ってきても病気にならないようにするしくみ 免疫は、体内に入ってきた病原体を記憶して、病原体と戦う準備をします。そうすることで、病原体が再び体内に侵入したとしても、病気にかからない、または病気にかかっても重症化しないようになるのです。このしくみを利用したのがワクチンです。ワクチンは、・病原体の毒性を弱める・無毒化するなどして体内に取り込むこと(「接種」と呼びます)によって、病原体に対する免疫を作ります。コントロールされた安全な状態なので、通常の感染(自然感染)のように実際に病気を発症させたりはしません。ワクチンはいわば、自然感染の模擬試験のようなもの。このことによって、実際に病原体が体内に入ったとしても、既に備わった免疫で退治できるようになるというわけです。 新型コロナウイルス対策のワクチンの接種は「任意」です 医療従事者や基礎疾患を有するかたのあとは、一般の方々が接種できる順番が回ってくる予定です。そのときに、接種できるワクチンの効果やリスクなどを正しく解釈し、検討していきたいものです。 新型コロナウイルスに対する働きかけ 新型コロナウイルスには、スパイクタンパク(S)、エンベロープタンパク(E)、膜糖タンパク(M)、ヌクレオカプシドタンパク(N)という4つのタンパク質が含まれています。新型コロナウイルスのワクチンとなるプラットフォームは、DNAワクチン、mRNAワクチン、不活化ワクチン、弱毒化生ワクチン、組み換えスパイク蛋白ワクチン、ウイルスベクターワクチンなどが挙げられますが、これらは全て新型コロナウイルスのスパイクタンパクに対して働きかけるワクチンです。 新型コロナウイルスは、多くの異なるタンパク質を使用して細胞を複製および侵入しますが、スパイクタンパクは、受容体に結合するために使用する主要な表面タンパク質。 引用:SARS-CoV-2スパイクタンパクの医学的価値(ベックマン・コールター社) スパイクタンパクは、ヒト細胞受容体に結合した後、ウイルス膜はヒト細胞膜と融合し、ウイルスのゲノムがヒト細胞に入り、感染を開始できるようになります。mRNAワクチン(mはメッセンジャーの意味)では、新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに、ウイルスの表面にスパイクタンパクのみの遺伝子(mRNA)を作成します。そのmRNAを油でできたカプセルに包み、ヒトに接種すると、mRNAの情報通りにヒトの細胞がウイルスのスパイク部分のみを作成、細胞表面に提示します。それをヒトの免疫細胞が認識し、スパイクに対する抗体を作ります。こうしておくことで、本物のウイルスが侵入したときに、ウイルス表面にあるスパイクを抗体がブロックし、ウイルスがヒト細胞に感染できなくするというわけです。 変異ウイルスに対してワクチンの効果はあるのか さて、西側諸国でワクチン接種開始が報じられる中、英国で再度感染拡大が急増していることを受け、「変異ウイルス(バリアント)が、ウイルス拡大を一層拡大させている」と日本国内で頻繁に報じられました。しかし実際は、 変異ウイルスの存在と、感染拡大のスピードや範囲には、未だ明確な因果関係は認められていない のです。本国での報道は可能性に言及し、慎重に言葉を選んだ報道に留まっていますが、日本国内ではその慎重なニュアンスが一切省かれ、あたかも確定した事実であるかのように報じられています。読者の皆様は、くれぐれも情報の精査にご注意ください。とはいえ、変異ウイルスが増えると、「せっかく開発したワクチンも、変異したウイルスには無効なのでは?」そんな疑問の声も聴こえてきそうです。そこで、ここでは「ウイルスの変異」についてまとめていきたいと思います。 新型コロナウイルスのような病原体となるウイルスで怖いのは、第一にその感染力。ヒトからヒトへ、またはヒトから動物へ、感染拡大していきます。そんなウイルスの真の目的は、「種の保存」のため。自らの子孫を残すという生物としての本能から、拡大を目指しているわけです。地球の長い歴史のなかで、すべての生物は、環境に自らを適応させていくために、選択や淘汰を繰り返しています。一部の恐竜が新天地を求め陸から海に出たり、像の鼻やキリンの首が長かったり。これらは、選択・適応の結果。ウイルスのついても例外ではありません。じつは、 ウイルスは、感染して増殖した段階で、変異するもの なのです。種の保存のため、有利な姿に変化し続けます。ウイルスは、宿主(=人や動物など、ウイルスに寄生される生物)の体内で増えたり広がったりしやすい種(=適応した種)が生き残り増殖、それが対外に排出されて感染拡大していく、というわけです。ワクチンを開発する製薬各社は、もちろんこのことは織り込み済。1月20日には、「米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンについては、英国で見つかった感染力の高い変異種にも予防効果を発揮し得ることが、新たな実験で分かっている。ビオンテックは、南アで見つかった変異種に対するワクチンの効果について、詳細な分析結果を数日中に発表する計画を明らかにしている。アストラゼネカ、米モデルナ、独キュアバックも変異種に対するワクチンの効果を検証している」(ロイターニュース)と報じられています。「変異ウイルスが見つかった」というメディアの報道だけで一喜一憂せず、落ち着いてひとりひとりにできる感染対策に取り組んでいきたいですね。 ワクチン開発の状況 WHOの12月22日時点のまとめでは、臨床試験段階のCOVID-19ワクチンは61種類あり、前臨床の段階にあるものはさらに172種類あるとしています。先行しているのは、米ファイザー&独ビオンテック製、英オックスフォード大学&アストラゼネカ製、そして米モデルナ製の3種類で、西側諸国などで承認され、既に接種が開始されています。いずれのワクチンも2度の接種が必要、2度目完了まで免疫が完成しません。日本国内でも、アメリカのファイザー社が昨年12月に承認申請を行なっています。この承認にかかる時間を短くするため、審査を大きく省略した形式の特例承認という承認方法の適用を目指しています。政府は既に3億回分以上の契約を締結しており、承認され次第、2月下旬より、 1.医療従事者2.高齢者(1957年以前に生まれた人)3.高齢者以外で基礎疾患を有する人や高齢者施設の従事者4.その以外 という順序で、「原則、居住地の市町村」で無料接種が開始される予定。とはいえ、ワクチン接種にあたっては、人員の確保や環境の整備に加えて、物流の問題も大きな課題として残ります。最も先行しているファイザー社製のワクチン(2021年内に約1億4400万回分の供給を受ける契約済)は、零下75度で保管する必要があります。陸路、空路など、その温度を保ちつつ輸送し、目的地で保管する物流機能の早急な整備が求められています。 大事な行動・意識とは 以上、今回はワクチンについてお伝えしました。各社の製品の具体的な情報や、国内製薬各社の開発状況などは続報をお待ちください。もう少しの間、ひとりひとりが当事者意識をもってこの難局に立ち向かっていきましょう。基本的な感染対策を怠らず、そして不要不急の外出、密になる状況を作らないようにしていきましょう。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL ワクチン・アジュバンド研究センター 新型コロナウイルス感染症関連情報(アンジェス)ワクチン開発や接種 世界の状況は(NHK 特設サイト)SARS-CoV-2スパイクタンパクの医学的価値(ベックマン・コールター株式会社) 新型コロナのワクチン開発・摂取状況について、医師が解説します。(医療法人社団エムズ) 英オックスフォード大、コロナ変異種に対するワクチンを準備=英紙 株式会社デルフィーノケア(オフィスまるごと抗菌)
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全ウイルスに有効な対抗手段「免疫力」
新型コロナウイルス(COVID-19)は、未だ収束する気配がありません。それどころか、日本国内でも第三波が到来、一日の感染者数を更新するニュースが頻繁に報じられるようになりました。 ・新型コロナウイルスへの感染が怖くて仕方がない・平穏な日常は、この先訪れるのだろうか・ウイルスの脅威からは逃れられないのではないか そんなふうに、不安に感じておられるかたも多いのでは…しかし、じっと耐え忍んでいるのは、とっても辛いこと。そうではなく、振返ってみればきっと、長い人生のうちのほんの僅かな時間。そんな風に考えて、 ・新しい習慣にチャレンジしてみる・先延ばしにしてきた家の中の細々としたことに着手してみる・優先順位の低いと思って放っておいたことを対処してみる などなど、やってみる良い機会と考えてみてはいかがでしょうか。 全ての感染症に対する特効薬 残念ながら、そんなものは存在しません。しかし、全ての感染症に対して有効な防御策が、実は存在します。それは、免疫力 と呼ばれる機能。今回はその「免疫力」にフォーカスしてみたいと思います。 「免疫」のしくみ 「免疫」とはいったい何なのでしょうか。それは、 体の中に侵入してくる“病原性の高い”微生物をやっつける体のしくみ のことで、とっても心強い存在なのです。私たちの身の回りには、目に見えない無数の微生物が存在していて、それらの微生物は、日々私たちの身体への侵入を試みています。なかにはそのまま住みついてしまうものも。もちろん、全ての微生物に病原性があるとは限りません。良い働きをしてくれる微生物で、よく知られているのが、こちら。 アクネ菌ニキビの原因菌としてよく知られる、誰の体にも住みついている細菌。アクネ菌は大好物の皮脂を得られる毛穴を棲み処にしていますが、増殖しすぎないあいだは、むしろ肌にとっていい働きをしてくれています。善玉菌ヨーグルトなどのCMでよく耳にする腸に住みついている細菌です。「善玉菌」には、腸の免疫を強くする働きがあります。 このあたりは、耳にされたことがあるのではないでしょうか。その一方で、身体に侵入してくる微生物の中には、やはり病原性を持つ種類のものも数多くいます。それらの病原体が体内で繁殖しないように、やっつける身体のしくみが「免疫」というわけですね!さて、その「免疫」部隊の第一陣は、「皮膚」や「粘膜」。 〇皮膚…最表面で角質層を形成、病原体などの侵入を防ぐ〇粘膜…鼻水や唾液などで、病原体を殺菌し排出する役割を担う そして、第二陣、第三陣の働きを担う部隊、血液成分のひとつ、白血球 です。「一度かかった病気は、二度かかりにくい」と言われるのは、「白血球」のなかの「獲得免疫」と呼ばれる記憶能力があるためです。かぜをひいたときに発熱するのは、病原体と戦うために免疫細胞が発熱する物質(「サイトカイン」といいます)を分泌するから。ノドの痛みや、鼻水、くしゃみといった症状も、炎症など免疫反応のひとつです。症状があるということは、免疫が働いている証拠というわけですね。これらのように分かり易い症状ではなかったとしても、免疫は、気づかないうちに病原体を退治してくれているんですね。そんな大事な免疫力。低下してしまうと、悪さをする微生物を退治してくれなくなります…。免疫力を低下させてしまう主な要因を、以下の表1にまとめてみました。 「免疫力」を高めるためには? 免疫力低下の要因のなかには、生活習慣によって予防することが可能なものも。気をつけたい生活習慣を、以下の表2にまとめてみました。 これらは、習慣化できれば(←これがなかなか難しいのですが…)日常生活で手軽にできるシンプルなものばかり。この機会にぜひ始めてみてはいかがでしょうか!また、栄養バランスについては、農林水産省のWebサイトが非常に参考になります。ぜひご覧ください。 農林水産省 食事バランスガイド おわりに 新型コロナウイルスの感染拡大は、誰かのせいにしたり、ふさぎ込んでいるだけては、人生の限られた時間がもったいないですよね。 ・コロナ禍は止むを得ず起きたこと・他人事ではなくて、自分事・新しい良い習慣を身に付ける良い機会だ そんな風に捉えてみてください。そして、この機会に生活習慣を考え、免疫力を高めてみてはいかがでしょうか。そうすると、当たり前だった日常が戻ったとき、以前よりもさらに明るく楽しい日常になりそうです。明日からと言わず、今日からぜひ! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 旺文社『とっても優しい生物基礎 免疫のしくみ』京都大学『免疫老化のメカニズムを解明しました』医学生物研究所『免疫』公益財団法人長寿科学振興財団『免疫系の老化』特定非営利活動法人日本免疫学会信州大学農学部近未来農林総合科学教育研究センター『食品成分による免疫制御メカニズム』一般社団法人日本血液製剤協会『血液について』MSDマニュアル『自己免疫疾患』eヘルスネット『自律神経失調症』e-ヘルスネット『腸内細菌と健康』厚生労働省『Ⅱ 生活指導及びメンタルヘルスケア』ニューズウィーク『新型コロナ感染症と戦って勝つ免疫細胞を発見』
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感染症は、不安や偏見と一緒にやってくる
コロナ禍の第三波が訪れ、各地域で一日の感染者数の記録を更新しています。政府もGoToトラベルの見直しなど、実施中の政策の軌道修正を検討しているようです。あらためて、基本に立ち返り個人個人で行なう防御策を徹底していきましょう。先月も掲載させていただきましたが、埼玉県教育委員会の広報内容を再度引用させていただきます。 ・家庭と学校が連携した健康管理・マスクの着用(飛沫、マイクロエアロゾルの防止) ・3つの密の回避の徹底 ・手洗い等の徹底(接触感染の回避)・環境衛生管理の徹底(引用:学校における感染防止対策 ~埼玉県教育局の取り組み~ ) これらを徹底していくことで、不自由のない日常が戻る日も早くなるはずです。少し苦しい時期が続きますが、力を合わせて乗り切っていきましょう! さて、今回のコラムでは、感染症そのものではなく、「感染症と一緒にやってくる存在」についてお伝えしていきたいと思います。感染症で怖いのは、決して身体に作用するウイルスの脅威だけではないのです。気を付けなければいけないのは、人が人を傷つけてしまう行為。 誹謗中傷、差別・偏見 です。世界中で、そして日本でも、過去にいくつもの悲しい事例があり、感染者やそのご家族などを精神的にも追い詰めてしまうといったことがありました。差別や偏見によって感染したことを言い出しにくい雰囲気は、罹患者本人の重症化・蔓延に繋がるのみならず、感染症の実態把握の大きな妨げになり遠ざけ、感染拡大の範囲をも急加速させる結果を招いてしまいます。今回は、過去にあった出来事をご紹介しつつ、感染症の重大な二次被害を防止できるよう啓蒙していきたいと思います。ぜひ最後までお目通しください。 感染症を正しく理解し、正しく恐れる 感染症は、「得体の知れないもの」と決めつけてしまうことで、必要以上に怖がってしまったり、他者を傷つけてしまう可能性があります。それが、誹謗中傷、差別・偏見が生まれる原因に。このことは、どのような感染対策をも意味をなさなくしてしまいます。 日本国内でも、医療従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーの皆さんや、そのご家族に対する差別・偏見も少なくないようです。死と隣合わせで感染者に対応しておられる医療従事者の方々への差別、本当に残念でなりません。まさに、必要以上に恐れてしまったことによる他者攻撃の結果ではないかと思います。 新型コロナウイルス感染症に感染した患者の増加に伴い、医療機関においても感染患者の診察に当たる機会が増えており、感染患者を診たというだけで、医師を始めとした医療従事者やその家族がいわれなき誹謗中傷を受ける事例が各地で散見されている。(日本医師会ニュースポータルサイト 城守常任理事コメントより) 日本医師会では、正しい理解を推進していくためのいくつかのメッセージ動画を公表しています。以下に2つご紹介させていただきます。(日本医師会Webサイト「うつさない!うつらない!~新型コロナウイルス感染症~いま私たちにできること」より) 京都大学 iPS細胞研究所所長 山中伸弥先生俳優 斎藤 工さん 正しい情報を入手することで恐れ過ぎず、結果としてむやみに人を攻撃しない。こういうことが、昨今のコロナ禍を脱出する第一歩かもしれません。 繰り返してはいけない、差別・偏見の歴史 ここからは、過去に起きた悲しい差別・偏見の実際の事例をふたつご紹介いたします。 ハンセン病 引用:岡山観光WEB瀬戸内の負の遺産を世界遺産へ。史跡をめぐりながら学ぶ長島愛生園見学ツアー ハンセン病は、「らい菌」感染に起因する感染症。世界では、古くは紀元前6世紀のインドの古典やキリスト教の聖書、日本では8世紀に編纂された「日本書紀」にその記述があります。感染すると手足などの末梢神経が麻痺したり、皮膚にさまざまな病的な変化が起こることもあります。1931年の日本では、ハンセン病は、「感染力が強く」「遺伝病であり」「不治の病である」という誤解が蔓延、政府は「らい予防法」を施行、ハンセン病と診断された方々は「療養所」とは名ばかりの施設に強制的に入所させられ、生涯、そこから出ることは許されませんでした(この隔離政策は1996年まで継続されます)。その間、親や兄弟姉妹と一緒に暮らすことや、結婚しても子どもを生むことも、実名を名乗ることもできず、亡くなっても故郷の墓に埋葬されることも叶いませんでした。また、患者の出た家を真っ白になるほど消毒をしたり、国民を指導して「無らい県運動」を進めるなどして、ハンセン病は国の恥、恐ろしい病気だという誤った意識が国民に植え付けられました。終戦後の1947年には治療薬が開発、ハンセン病は治る病気になったわけですが、一度植えつけられた差別意識は簡単にはなくなりませんでした。日本国憲法下においても、「らい予防法」は廃止されず、強制隔離政策や「無らい県運動」を継続したため、ハンセン病患者と回復者への偏見・差別による人権侵害が助長されることになりました。実際のハンセン病は、感染力が弱く、治療も可能です。治療薬開発後の「らい菌」は、多剤併用療法により数日で感染力を失い、他人に感染させることがないため、治療中でも治療終了後も通常の社会生活を送ることができます。 エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群) 「リンパ球に結合するHIV-1」Wikipediaヒト免疫不全ウイルス ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が原因の感染症。3?10年ほどの間に免疫機能が徐々に低下し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症します。免疫機能の低下に伴い、通常かかりにくい感染症を発症しやすくなる。日本では1985年に感染者が認知されました。過去には、「握手や会話で感染する」「咳やくしゃみで感染する」「日用品の共用で感染する」などの誤った感染経路に関する情報の流布により、感染者への誹謗中傷、差別や偏見が横行しました。また、特定の人種や職業の方々がエイズに感染しやすい、など感染源をある集団に特定するといった情報が流布されたことで、人種差別に発展するケースもみられました。あるアメリカ人女性は、次のように語っています。 「支援グループやソーシャル・ワーカーといった頼れる人が誰もいなかったので、私はでるだけ目立たないよう、世間から引きこもっていました。でも、それでもだめでした。私の身内であるにもかかわらず戸口に押しかけ、自分たちの街にエイズは不要だと言って、私を殴ろうとしたんです。エイズにかかった私は、まるで人間扱いされなくなってしまった。私が病気そのもので、感情など一切持たない存在とされ、何かを計画したり、目標を持ったり、貢献したりするチャンスをことごとく奪われてしまったのです」(引用:公益財団法人日本学校保健会 エイズはなぜ拡大するのか) 実際のHIVの感染経路は、性的接触、血液感染、母子感染の3つに限られます。握手をしたり、日用品を共用したり、プールやお風呂に一緒に入ったりするといった、日常生活の接触で感染することありません。咳やくしゃみなどで感染ることはなく、日常生活の中では性的接触以外で感染することはありません。 まとめ 今回は過去の痛ましい過ちを教訓に、感染症を正しく理解し、他者に対して思いやりをもって感染症に向き合っていきましょう、という内容をお伝えしてきました。感染症は、誰にとっても身近な問題 なのです。いつ感染症に罹患するのかは誰にも分かりません。「うつらない、うつさない」ということを、私共や皆さんが意識・実践し、感染症に対して過大に恐れることなく、他者への思いやりを忘れないこと、こういうことで一体感をもってコロナ禍にこれからも立ち向かっていけるのではないかと思います。 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参考URL 国立国際医療研究センター COVID-19の重症化を予測する液性因子の同定埼玉県医師会Webサイト 家庭・職場・学校などにおける感染予防対策研修動画(学校における感染防止対策 ~埼玉県教育局の取り組み~)公益財団法人日本学校保健会 エイズはなぜ拡大するのかdelfino施設まるごと抗ウイルス・抗菌
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感染症を正しく恐れる(防衛医大 加來教授インタビュー)
(※本記事は、2020年9月30日のインタビューをもとに作成しています) 少しの間、お休みさせていただいておりましたが、DELMAGAによる情報発信を再開させていただきます。ファンの皆さまには、長らくお待たせいたしましたことを、心よりお詫びいたします。今回は、記念すべき復活号ということで、日頃監修いただいている防衛医大の加來先生に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、感染症への心構えなどについてインタビューさせていただきましたので、シェアさせていただきたいと思います。 防衛医科大学校 加來先生インタビュー ――まず始めに、新型コロナウイルス感染症について、最近になって分かってきたことなどはあるでしょうか感染症は、患者数・重症度の指標と、流行(感染拡大)の可能性の2つの指標で評価することが重要です。 加來教授の制作資料より抜粋 重症度については、医療機関の力によるところが大きいと言えます。9月24日には、国立国際医療研究センターからよいニュースが公表されました。重症化患者の傾向に関する報道ですが、初期段階で重篤化し易い傾向を示す数値の存在が明らかになったというものです。これによって重症化を阻止できれば患者数・重症度の指標を低く抑えることができます。 国立国際医療研究センター COVID-19の重症化を予測する液性因子の同定 流行の可能性については、実効再生産数(患者が次の患者の原因となる数)を抑えるべく、クラスターの発生を阻止するための対策を続けていくことが重要です。 ―― 素晴らしい成果ですね。初期段階で治療方針を考える重要な参考になりそうです医療機関は、そういう研究を一所懸命やっていて、成果が出始めていますよね。一方で、感染拡大については引き続きひとりひとりの意識や行動によるところが大きいです。基本に立ち返って、三密を避ける、手洗いの徹底など継続してほしいと思います。埼玉県医師会のWebサイトに掲載されているWeb動画が、よくまとまっているので参照してみてください。 埼玉県医師会Webサイト 家庭・職場・学校などにおける感染予防対策研修動画 この中に「学校での取組み」が教育委員会から発表されていますが、とても要点が押さえられています。内容は、難しいことは何も言っておらず、基本中の基本をおさえておこう、と言っていますよね。 ・家庭と学校が連携した健康管理・マスクの着用(飛沫、マイクロエアロゾルの防止) ・3つの密の回避の徹底 ・手洗い等の徹底(接触感染の回避) ・環境衛生管理の徹底 引用:学校における感染防止対策 ~埼玉県教育局の取り組み~ 感染症のもたらす負の循環 ―― 新型コロナウイルス感染症は、情報が錯そうしたり、恐怖が増長し過ぎている印象があります感染症のイメージというものは、昔もいまも変わっていません。罹患者は、知らないうちに感染し、突然発病する。ときに重症化して死が連想される。人にうつるので申し訳ない気持ちになる。そして、うつされた人は、非常に迷惑に思う、という具合です。 お話をもとに図式化したイメージ 恐怖・不安から警戒へ、それが偏見・差別・風評につながり、周りへの不信、不満、政府批判などが生じます。やがてこの状況に疲弊し、あきらめ、無関心、投げやり、無視、無頓着、といった感情に変化していきます。これがひたすら循環するのです。 昔は、地域住民の1/3が死亡してしまう(中世ヨーロッパのペストや近代ロンドンのコレラなど)、などといったことが珍しくはありませんでした。現在は、感染症の成り立ちが分かってきています。それらを把握し、感染源の撲滅、感染経路の遮断、自然免疫力の増加(ワクチンなど)など、対処することができます。正しく感染症を恐れ、対処することが大事です。 誹謗中傷や、差別、偏見をなくそう ―― 得体が知れない、と決めつけてしまうことで必要以上に怖がってしまったり、他者を傷つけてしまう可能性があるのですね感染症において、注意しなければならないのは、誹謗中傷、差別・偏見です。このことは、どのような感染対策をも意味をなさなくしてしまいます。 差別を受けたくない、という理由で感染症の発生そのものが隠蔽されてしまうと、結果、重症化と蔓延を招きます。また、隠ぺいするようになると実態の把握もできず、感染拡大が抑止できません。かつてのハンセン病、HIVのような差別が広まった事例を繰り返してはいけません。風評被害防止のための啓発は、とても大事なことです。 世界でみたコロナ禍 ~正しく事実を見極めていく~ 画像:WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard より ―― ところで、世界では感染者数が3,700万人を超え、100万人以上の死亡(令和2年10月13日現在)が確認されていますWHOのWebサイトではデイリーで感染者数、死亡者数が掲載されています。 WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard こういったデータをみるときに注意しなければならないのは、各国一律のサーベイランスではないという点です。医療水準、医療費負担の有償・無償の問題、情報公開に関する意識レベル差など、踏まえて考える必要があります。例えば、北朝鮮、トルクメニスタンは感染者数を公表しており、「ゼロ」と発表しています。 ―― 注意しなければならないと分かる、最も分かり易い事例かもしれません一方で、日本国内の公表数字は正確かどうでしょうか。日本では、2つの峰があると言われています。第一峰は、PCR検査の陽性者のみで、症状者が含まれていません。第二峰については、検査方法も多種になっていて、無症状者など含まれています。ここから言えることは、2つの峰は、まるで別の種類であるということです。そして、無症状者の中にも、感染しているが無症状の人、潜伏期間中の人、全くの未感染の人、という3つの種類が存在していることも忘れてはならない点です。 ―― データの見方が変わりますねとはいえ、有症状者のうち、20%程度が中等症以上になり、2~5%くらいが死亡してしまう。これは紛れもない事実です。それは研究を進めるうえで重要な情報となります。データの中から、正しく情報を分析していかなければなりません。 ―― ワクチン開発が各国急ピッチで行なわれています。完成すれば、このコロナ禍は落ち着くでしょうかワクチンは、重症化阻止のためのものであって、感染阻止できるものではありません。それは、インフルエンザワクチンと同様です。それに、新型コロナウイルスのRNAウイルスは、人から人へ感染を繰り返すうちに変異していることが確認されていることや、せっかくできた抗体(免疫力)も時間とともに減少していくというデータも出てきています。したがって何度も感染する人が出てくることが予測されます。やはり、基本的な備えを怠るわけにはいかないでしょうね。 ―― ひとりひとりの意識がやはり重要というわけですね。加來先生、お忙しい中ありがとうございました! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 国立国際医療研究センター COVID-19の重症化を予測する液性因子の同定埼玉県医師会Webサイト 家庭・職場・学校などにおける感染予防対策研修動画(学校における感染防止対策 ~埼玉県教育局の取り組み~ )株式会社デルフィーノケア(オフィスまるごと抗菌)WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard
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「新型コロナウイルス感染症」正しい情報収集と行動を!
新型コロナウイルスの被害に遭われている皆様には、心よりお見舞い申し上げます。不自由な生活を余儀なくされている皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。 今月も、引き続き世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルスについて採り上げていきたいと思います。先月末頃リリース(2月25日)のDELMAGAから約2週間経過しましたが、その間に感染者数の推移や各国の対応など、大きく変化しています。新型コロナウイルスへの効果、対処法など、メディアやネット上であらゆる情報が飛び交っていますが、くれぐれも、正しい情報収集を行なっていただきたいと思います。厚生労働省の報道発表資料では、罹患者数をはじめとした現在の状況など日次で更新し発表しています。最新の情報については、以下のリンクからご参照ください。 厚生労働省Webサイト 報道発表資料2020年3月 今月号では、新型コロナウイルスについて、注意すべき点などインタビューを中心として情報提供させていただきます。ぜひ最後までお目通しください。 感染者数の推移 現時点の世界各国での感染者数について、WHOの公表資料から、一定数以上の感染者が発生している地域(中国以外)を抜粋した表を以下に掲載します。2月末時点では、日本が第二位に位置していた感染者数ですが、3月9日時点では欧州各国をはじめ感染拡大地域が広がっています。特に、韓国、イタリア、イランについては驚異的なペースで拡大しています。 防衛医大 加來教授インタビュー正誤の怪しい様々な情報が飛び交い、混乱を助長しうる昨今…。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)についての正しい情報とは、いったい何なのでしょうか。正しい状況把握のため、感染症の権威である防衛医科大学校の加來先生に、インタビューさせていただきました。 基本的な意識・心構えについて まず最初に、感染症、ウイルスと向き合うための基本的な心構えについて、先生のコメントをご紹介します。 「感染やウイルスは、なくすのではなく、持続して抑えることが大切です。感染は続くでしょうから感染者数をどんどん減らさないといけません。今は我慢です。特に今年はオリンピックの年。もし開催が失敗すれば観光立国としての将来に期待ができなくなり、海外から労働力を確保することも難しく、今後、経済や国が衰退していきます。不満や不安はあると思いますが、今は行政がお願いしていることをしっかり守ることです。“カラオケに行きます”“外出自粛なんて知らない”なんて言うことはやめて、しっかりここで協力をお願いします。」 (週刊女性PRIME「《新型コロナ》8割が無症状者とも! 軽い風邪症状で病院に行くべきでないワケ」より加来先生のコメントを抜粋) ——手洗い時の注意点や、石鹸・洗剤の選び方など、目安となることがあれば教えてください現在、厚生労働省や内閣府、各自治体で手洗い要領に関するわかりやすいイラストやポスターが多く出されています。いずれも、 ・爪先・指の間・親指周り・手首 など4つのポイントの洗い残しをなくしましょうとなっています。皆さんも、このポイントを忘れないように習慣化を図ってください。石鹸は、薬用せっけんと表記されていない普通のものでも十分です。ウイルスは簡単に不活化されてしまうからです。流水による手洗いができないときに、速乾性アルコール消毒薬を使用しますが、この時も4つのポイントは同じです。 ——厚生労働省の指針では、「目安とされる症状(以下、破線内参照)を発症したかたが相談センターの相談した結果、『疑いアリ』となった場合に、『帰国者・接触者外来』を紹介していますとあります。しかしその場合、通院時の院内感染などのリスクを気にするかたもいらっしゃるのではないかと推察します。自宅で安静にするのではなく、やはり病院には行ったほうが良いのでしょうか (相談・受診の目安) 次の症状がある方は「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている (解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます) 。・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合 この相談・受診の目安は、2月25日付の厚生労働省通知によるもので、現在の流行状況や医療現場での準備状況を考慮した内容となっています。基礎疾患などをお持ちでない方は、この相談・受診の目安を参考に受診してください。かかりつけ医から定期的に受診するように言われている方は、コロナウイルス感染の可能性、基礎疾患に与える影響などを総合的に判断する必要があるので、決して他の病院を渡り歩くなどのことはせずにまずはかかりつけ医の先生に相談してください。 新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター 最寄りの管轄保健所の検索ページ(厚生労働省) ——ご家族に新型コロナウイルス罹患の疑いがある場合、どうすべきでしょうか一般社団法人日本環境感染症学会のとりまとめが参考になります。ご家族に新型コロナウイルスの感染が疑われる場合には、同居されているご家族は以下の8点にご注意ください。 ・部屋を分ける・感染が疑われる家族のお世話は、 できるだけ限られた方で。・マスクをつけましょう・こまめに手を洗いましょう・換気をしましょう・手で触れる共有部分を消毒しましょう・汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう・ゴミは密閉して捨てましょう また、ご本人は外出を避けましょう。ご家族、同居されている方も熱を測るなど、健康観察をし、不要不急の外出を避け、特に咳や発熱などの症状があるときには、職場などには行かないようにしてください。 日本環境感染症学会(新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(2020年2月28日) ) マスギャザリング・イベントについて ——スポーツについて、Jリーグの中断やプロ野球のオープン戦無観客試合、開催延期などが続々報じられています(2020年3月10日時点)。このことについて、どのようにお考えでしょうか今後の開催地での感染症流行状況によると思います。症状を有する方にはご遠慮いただくなどの協力、マスクの装着、開催側としては発熱スクリーニング、飲食物の提供の停止、などが必要となると思います。 ——Jリーグやプロ野球の試合、屋外開催も多いと思います。屋内に比べて、感染のリスクはどの程度あるのでしょうか換気がない閉鎖空間ではないので、ライブハウスやカラオケなどと事情は異なりますが、大人数の集まるマスギャザリング・イベントとなります。トイレなどの使用などでの交差感染、接触感染のリスクは十分に考えなければならないと思います。 ——通常開催に戻ったあと、観戦に出掛ける方々が注意するべきことがあれば、教えてください体調がすぐれないときには、行かないようにしましょう。飲食前の手洗い、手指消毒の徹底が必要ですが、咳をしているヒトがいたら、その場から離れる方がいいです。また帰宅後には再度、手洗いを徹底するようにしてください。 子どもを感染からまもるために(※Medical Note 加來先生インタビュー記事より一部引用) ——子どもへの感染例が少ないのは、なぜでしょうか現時点では子どもに関する情報が少なく不明な点が多いですが、中国からの報告によると、感染者のほとんどが成人で、子どもの感染者はごくわずかとのことです。また、日本国内で複数の感染者が確認されていますが、子どもの感染者も散見されるようになりました。SARSとMERSが子どもに顕性感染者が少なかったことを踏まえると、今流行している新型コロナウイルス(COVID-19)においても子どもは顕在化しにくいのかもしれませんが、未だ明らかになってはいません。 ——マスクの着用については賛否あるかと思います。どのようにお考えでしょうか子どもは、新型コロナウイルスの感染予防に対するマスク着用の効果は限定的です。大人と比べてきちんと着用していなかったり、とるときに汚染されたりする危険が多いからです。一般に、咳やくしゃみをしているヒトがマスクを着用してウイルスの飛散を防ぐことを咳エチケットといい推奨されていますが、これも子どもの場合はあまり期待できません。したがって、そのような症状がある場合は、できるだけ外出しない(させない)ようにしてください。マスクをしていないときに不意に咳やくしゃみしてしまうことがあります。その時はほかの人に向けてしない、袖・肘の内側やティッシュなどを使って口や鼻をおさえるなどの方法をしっかりと教えてあげてください。これも咳エチケットの一つです。 首相官邸Webサイト 咳エチケットポスター ——衛生管理や、環境面の配慮について、教えてください新型コロナウイルス感染症の予防には、風邪やインフルエンザなどほかの感染症と同様、飛沫予防に加えて、手洗いや手指のアルコール消毒が最も重要です。また高頻度に接触する箇所のアルコールや界面活性剤によるふき取りが有効です。また、外出時には、不意に咳やくしゃみの飛沫を浴びることや、ウイルスに汚染された場所を直接手に触れる機会も多くなります。ドアノブや遊具、おもちゃなどに触れた手で口や鼻を触ることで感染するため、帰宅後など、石鹸でよく手を洗い、適宜アルコール消毒液で手を消毒するのがよいでしょう。また、衛生対策だけでなく体調管理や室内環境も大切です。免疫力が低下しているときや、空気の乾燥によって気道粘膜の防衛機能が低下すると感染症にかかりやすくなります。したがって、日頃から体調に気をつけるとともに、室内の湿度を50~60%に保つようにしましょう。喉に付着したウイルスの体内侵入のリスクを減じるために、うがいや歯磨きなどの口腔衛生を保つことも有用であると考えられます。 ——個人で意識するべき感染拡大の防止策について教えてください現在は、海外渡航歴の有無にかかわらず、新型コロナウイルス感染症の日本各地で散発している状態です。患者として確認された方と接触歴があることが明らかな場合には、保健所から健康観察をお願いされることがあります。無症状であっても事前に保育園や学校などに連絡し、14日間は登園・登校を避け、外出も控えましょう。 ——学校の一斉休校が始まっています。このことについてご意見お願いします内閣総理大臣から、外出の自粛に加えて学校の一斉休校が行われました(2020年3月時点)。今後、感染が急激に拡大するのか、ゆるやかな発生になるのかの重要な大事な時期であると判断されたためです。保護者の皆さんが、外から帰ってきてから家庭内感染を起こしてしまったら、せっかくの対策も台無しになってしまします。子どもと一緒に保護者も手洗いやうがい、咳エチケットなどを積極的に行い、感染の予防・拡大防止に努めるようにしましょう。 以上、加來先生インタビューでした。一日でも早く皆さまに平穏な日常が戻ってきますように。(監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 厚生労働省(報道発表資料2020年3月)首相官邸(咳エチケットポスターへのリンク)日本環境感染学会新型(コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(2020年2月28日))厚生労働省(新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター)週刊女性PRIME(《新型コロナ》8割が無症状者とも! 軽い風邪症状で病院に行くべきでないワケ)Medical Note(中国で感染拡大する新型コロナウイルス関連肺炎とは何かdelfino施設まるごと抗菌
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「新型コロナウイルス感染症」これまでの推移と予防策のまとめ
新型コロナウイルスの被害に遭われている皆様には、心よりお見舞い申し上げます。不自由な生活を余儀なくされている皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。 世界中を震撼させている「新型コロナウイルス」。新型コロナウイルスは、ヒトからヒトへと感染し、中国湖北省武漢市から世界各国へと感染が拡大。2月14日時点の感染者数は全世界で6万人を超え、死者数も1,300人以上に達しています。発熱や咳、肺炎といった呼吸器系の症状を呈し、重症化すれば死に至ることも。我が国でも、とうとう死者が出てしまいました。罹患された方々や、感染の疑いで隔離されている方々は、ウイルスの脅威に不安な気持ちで日々過ごされていることと思います。世界各国では、差別的対応を受けたアジア人の被害も報告され、日本人としても他人事とは思えません。感染拡大を防ぐための措置と人権侵害を混同しないよう、一人ひとりが自覚をもって行動する必要がありそうです。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 今回は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」についてお伝えしていきます。新興感染症という人類にとって初めての感染症なので、現時点で判明している事実をもとに整理していきます。読者の皆さんご自身やご家族の身を守るためにも、ご活用いただければ幸いです。 世界保健機関(WHO)は11日、中国を中心に流行している新型コロナウイルスによる病気の正式名称を決定、発表しました。名称は、 「COVID-19」(読み方:コービッド ナインティーン) これは「コロナ(Corona)」、「ウイルス(Virus)」、「病気(Disease)」というそれぞれの単語、そして、WHOに病気が報告された「2019年」の組み合わせからできた造語。そして、その病原体のウイルスは、SARS-CoV2と命名されました。 中国と日本の感染者数の推移 まずは、中国と日本の感染者数について、これまでの推移を厚生労働省の報道発表資料をもとに、時系列順にまとめてみました。以下の表1をご参照ください。 1月12日時点で、中国での感染者数は41人で全てが湖北省武漢市からでした。しかも当初問題視されていた海鮮市場を閉鎖した1月1日以降は新規患者は出ていないとされていました。しかし、疫学調査とウイルス検査の結果からヒトーヒト感染が進んでいることがあきらかになり、やがて中国国民の大移動である春節を迎えます。中国政府は武漢市の交通を遮断するという大胆な手段をとりますが、中国全土への拡散を止めることはできませんでした。2月14日時点には、63,851人の患者が報告され、1日で約2万人ほど増えましたが、湖北省からの報告要領が変更となり、確定例と疑似症例を合算したものとなったからです。2002年~2003年に流行したSARSの感染者数は8,098人、2012年から現在も流行中のMERSの感染者数は2,494人と発表されています。このことからも、新型コロナウイルスの影響力の大きさが分かりますね…。影響力は、患者数と重症度のかけ算で評価します。重症度の分かりやすい指標に、 患者数に占める死亡者数の割合 である「症例致死率」があります。湖北省での症例致死率は約2.8%。一方で、湖北省以外では約1.2%。地域による重症度の違いは、院内感染や医療崩壊によることを意味するのかもしれません。今後も注視していく必要があります。 日本国内の感染者の状況 日本国内の感染者数は、クルーズ船を除き33名。(2月14日時点)うち、症状を発症した方は、30名と報告されています。厚生労働省の報道発表資料では、罹患者それぞれの状況を日次で発表しています。以下のリンクからご参照ください。 厚生労働省Webサイト 報道発表資料2020年2月 国内での状況は、日々変わっています。2月10日時点では、22名の感染者のうち、武漢市のある湖北省に滞在歴のある方は18名。滞在歴のない4名のかたも、滞在歴のある方と濃厚接触していたことがわかっています。このことから、国内での感染例は、武漢市と直接的に関わった経路での発生と考えられていました。しかし、2月14日の報道によると、武漢市の関わりが特定できない感染者が、和歌山、神奈川、東京、千葉と、4名のかたが同時多発的に発生しています。このように日本国内では、中国の居住歴や渡航歴を有するヒトからの発病に加え、リンクが追えない患者の散発例が報告されるようになってきました。これも帰国者の健康監視や患者との濃厚接触者に対する疫学調査を通じて、徐々に臨床経過がわかるようになったり、限定的だった検査が全国の自治体で行えることぎできるようになったからです。しかし2月15日には院内感染の発生が確認されてしまいました。今後は、いっそうの感染制御をすすめていく必要があります。 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内の状況 運営会社Webサイトより引用 横浜港に寄港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内では、2月14日時点の検査結果で、218人の陽性反応が確認されています。該当する方々は、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県内の感染症病棟を有する医療機関に順次搬送されていますが、乗客・乗員の方々合わせて2,600人余りが船内待機を余儀なくされています。乗客・乗員の皆さまが、大変なストレスを抱えて生活されていることは想像に難くありません。船内での感染拡大が収束し、皆さまが無事に普段の生活に戻られることを心より願っております。 新型コロナウイルスについて現時点でわかっていること コロナウイルスには、これまで6種類の型が存在することがわかっていました。うち、4種類はかぜの原因ウイルスとして知られ、残りの2種類はSARSとMERSの原因ウイルスとして知られています。新型コロナウイルスは、今回新たに発見された第7のウイルスです。国立感染症研究所や政府の発表を元に、7種類のコロナウイルスについて現時点でわかっていることをまとめました。 新型コロナウイルス感染症の特徴 潜伏期間は1~12.5日とされ、濃厚接触者は14日間の健康観察が推奨されています。国内の感染者の年齢は20~60代と幅がありますが、SARSやMERSと同様、現在のところ子どもの発病の報告は少ないです。また、重症者の多くが高齢者や基礎疾患を持つ方という報告があり、厚生労働省では高齢者や基礎疾患のある方々に対して、より一層の注意を呼びかけています。 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) 表にもありますが、新型コロナウイルスの感染経路は、以下の2種類であることがわかっています。 新型コロナウイルスの感染経路■飛沫感染…感染者の咳やくしゃみと共に排出されたウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染■接触感染…感染者が咳やくしゃみを手で押さえることで、感染者の手にウイルスが付着。その手で触れた物を介して別の人の手にウイルスが付着、その手で目、口、鼻を触ることで粘膜から感染 新型コロナウイルスを予防するために 新型コロナウイルスに特効薬はありませんが、予防策はあります。この章では、新型コロナウイルスの予防策について詳しくお伝えしていきます。新型コロナウイルスは「エンベロープ」と呼ばれる脂質で構成され、エンベロープを持つウイルスは界面活性剤やアルコールなどの消毒薬により不活性化されます。そのため、新型コロナウイルスの接触感染予防には、「手洗い」または「手指消毒」が有効です。食事前は特に、よく手を洗うよう心がけましょう。また、ウイルスは目、鼻、口から体内に侵入するため、むやみやたらに手で触らないよう意識することも大切です。首相官邸、厚生労働省からリリースされている資料に、正しい手洗いの方法が書かれていますので、ご紹介します。 また、咳症状があるときなどは、周囲にうつさない配慮が重要。マスクの着用や咳エチケットを徹底するよう心がけましょう。 ※現在、マスクの品薄状態が続いており、一部の心無いかたによる買い占め、転売が拍車をかけている事象が報告されています。感染予防には、一人ひとりの良識や思いやりも大切です。 一人ひとりが当事者意識を!感染症予防の基本は、まず以下のことを心掛けましょう。 ・咳症状や発熱などの症状がある人に近づかない・人混みの多い場所になるべく行かないようにする・手指を清潔に保つ とはいえ、公共交通機関での通勤・通学など、人混みや密室空間、換気が十分ではない空間を完全に避けるのは困難です。そんなときは、マスクの着用は一定の効果が期待できると言えるでしょう。そして、目的地に到着したら、すぐ手洗いするようにしましょう。咳症状が出ている人は、すぐにマスクを着用、早めに病院での診療を受けるなど、周りへの配慮を忘れないようにしてください。双方からの気遣いが、いちばん効果的です。 以上、今月は新型コロナウイルスについてレポートさせていただきました。感染拡大を防止するのは、一人ひとりの当事者意識から。 被害に遭われている方々をはじめ、不自由な生活を余儀なくされている方々が、一日でも早くもとの生活に戻られることを、心より願っております。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 厚生労働省「報道発表資料 2020年1月」厚生労働省「報道発表資料 2020年2月」 新型コロナウイルス感染症対策本部(第6回) 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月7日版)日本経済新聞「中国・湖北省滞在の外国人、入国拒否 首相が表明」 国立感染症研究所「コロナウイルス」とは NHK「新型コロナウイルス 感染したら出る症状は その治療は」 YAHOOニュース「症状、予防、経過と治療… 新型コロナウイルス感染症とは? 現時点で分かっていること」時事ドットコム「【解説】新型コロナウイルスの死者について分かっていること」 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」 日本医事新報社「動物咬傷で咬傷部を石鹸で洗う理由は?【界面活性剤はウイルスを不活性化させる】」 内閣官房ホーム「新型コロナウイルス感染症の対応について」 首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」
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「国際緊急医療・衛生支援機構新春講演会」参加レポート
令和2年1月25日、国際緊急医療・衛生支援機構(IEMS-Japan)主催の、新春講演会に参加させていただきました。「新春」と名がつくと、何だか楽しそうな会にも聴こえますが、その内容はマスギャザリングイベントのリスク評価、体制整備に関する、非常に骨太な内容。デルフィーノケア社は、「感染ゼロへ!」を目標としています。東京2020が既に間近に迫っているこのタイミングで、最新の情報入手のため参加させていただきました。 基調講演 (東京大学大学院 森村尚登 教授) 東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)合同委員会東京大学大学院 医学系研究科外科学専攻生体管理医学講座 救急科学分野森村 尚登 教授 基調講演では、感染症、マスギャザリング研究の大家として、東京2020関連をはじめ世界中にその名を轟かせておられる、森村先生がご登壇されました。ご講演のテーマはこちらです。 2020 東京オリンピック・パラリンピック開催時の救急・災害時医療体制の課題と対策 このように銘打たれ、過去のオリンピック開催において起こった災害やトラブル、そこからの学びや体制変更などを紹介いただきつつ、2020日本開催での備えについて解説いただきました。全体を通して学び多きご講演でしたが、その中から特に当社として印象に残った(問題意識をもった)事案について、いくつかこの場でシェアさせていただきたいと思います。マスギャザリングの定義は変化している!以前、当社コラムでもマスギャザリングについてリリースさせていただきましたが、2004年のアトランタ五輪あたりから市民権を得たというこの呼称、本来の定義は以下のとおりでした。 一定期間、限定された地域において、「同一目的で」多くの人が集合した状態 過去資料では、「同一目的で」と必ず表記されていたように思いますが、近年は、マスギャザリングは自然発生のものまでを含めて包括的に議論されているとのこと。その点をまずアップデートしなければならないことを痛感しました。 東京は、常にマスギャザリング状態 通勤ラッシュ時の「満員電車」。ウィークデーに毎日起きているあのストレスフルな状態は、まさにマスギャザリングと言えます。満員電車には、感染症の罹患リスク、化学兵器使用のリスクなど、大規模なスポーツイベントや集会などと比べても決して小さくないリスクが横たわっているとのこと。東京2020は、マスギャザリングonマスギャザリングである そんな我が国にとって日常である満員電車。それをマスギャザリングであると捉えることで、新たなリスクが浮き彫りになります。開催期間中の東京には、30万~80万人/日のあいだで外国人が集まるのではないかという予測があります。その人数が、元々マスギャザリング状態にある交通機関に押し寄せた場面…あまり想像したくないものがありますね…。最終電車の後ろ倒しなど、交通各社からも対応が発表されていますが、ホームや階段の幅が急に広がるはずもありません。ましてや開催は、8月からの炎天下。免疫力の低下も手伝って、体調を崩すかたや感染症罹患者が増えるとしても、まったく不思議ではありません。空港の一時的な混雑なども、マスギャザリングと捉えるべきと議論されているそうです。 開催地域の住民を守らなければならない 過去、マスギャザリングが議論される際には、出場選手、VIPといった方々について議論が集中することが多かったそうですが、昨今では「開催地域住民を守らなければならない」という議論が活発になっているとのこと。当然といえば当然で、一時的に人口が増えるために、交通渋滞や公共交通機関の混雑、病院への人の集中…等々、特に五輪開催そのものに比較的無関心の住民にとっては、迷惑以外の何物でもありません。特に、医療体制の確保(ラストマイルの医療体制)については入念なシミュレーション、準備が必須であるとのこと、そのリスクアセスメントを専門チームで徹底的に行なっているそうです。 基調講演のさいごに、森村先生から嬉しいお知らせがありました。以下のURLにアクセスいただくと、東京2020災害対策関連の資料が無料ダウンロードすることができます! 2020年 東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体 感染症は、日々の積み重ねによって初めて防御することができます。備えあれば憂いなし。ぜひご覧になってください。 ご講演(防衛医科大学 加來 浩器教授) 当日の最後を飾るご講演は、日頃からデルフィーノケア社で監修いただいている防衛医科大の加來先生のご登壇でした(※「第四世代化学剤ノビチョク」の脅威に関するご講演を挟みますが、感染症とはテーマが異なるため本稿では割愛させていただいております)。こちらのご講演では、 ◇輸入感染症対策ビデオ(東京2020大会対策委員会)のご紹介◇第3回ロンボク島研修と事前研修会について 本稿では、前者の感染症対策ビデオについて改めてご紹介させていただきます。 <日本感染学会Webサイトより照会文引用>日本環境感染学会では東京2020大会対策委員会を組織して、医療施設内における感染対策上の問題点や課題について検討してまいりました。(中略)本ビデオでは、院内アウトブレイクを防ぐためのポイントとして、①受付・待合室、②外来診察室、③救急室、④入院病棟の4つのシーンにおける最重要点を取り上げました。 以下に5つの対策動画のリンクを貼らせていただきました。動画の中では、過去に起きた感染症の拡大事例、個人の防衛手段など、シーンごとに非常に分かり易くせいりされた動画になっています。日頃からの感染症への備えの一環として、ぜひご覧になってみてください。 オープニング (3:03)受付・待合室 (6:05)外来診察室 (4:26)救急室 (5:16)入院病棟 (9:07) 以上、IEMS-Japan新春講演会レポートでした! 参照URL日本環境感染学会Webサイト
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その症状、本当にかぜですか?放っておくと手遅れになるかも…
令和初の年末年始休暇が明けました。9連休だったかたも多いようですが、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。長期休暇明け、通常モードに戻していくのはなかなか大変。ましてや気温の低いこの時期は身体への負荷も大きいといえます。そんなこの時期の感染症の代表格は、インフルエンザ。まさに冬季に注意すべき筆頭格の怖い感染症のひとつです。しかし、今回のコラムでは、インフルエンザの陰で、じわじわ報告数を増やす感染症についてお伝えしていきたいと思います。 溶連菌感染症(ようれんきん) 近年、じわじわとその報告数を伸ばしている感染症とは、溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)。溶連菌の正式名称は、 溶血性連鎖球菌 といいます。鎖状に連なった球菌(連鎖球菌:Streptococcus)のなかで、血液寒天培地で培養した時にその培地に含まれる赤血球を溶かす(溶血)毒素を出す菌です。そのうち、ヒトに病気を起こす菌の90%以上がA群(Group A)に分類されます。したがって、A群連鎖球菌を、GAS(Group A Streptococcus pyogene)と呼びます。もはや絶望的難易度なので、まずは「ヨウレンキン」とインプットしましょう。 さて、この「溶連菌」。近年の「迅速診断キット」の普及など診断技術の向上が影響している可能性もありますが、報告数が増加傾向にあります。また、その強い感染力から、インフルエンザ同様に登園や登校が停止となる病気。しかし、その症状がかぜと似ているため、医療機関での受診につがなりにくいのです。溶連菌には、レアケースですが急速に重症化する「侵襲性溶連菌感染症」という病態も。一時期メディアでは「人食いバクテリア」として紹介されたこともありました。また、合併症の可能性もあるのです。その辛い喉の痛み、ひょっとして、ただのかぜではなく溶連菌ではありませんか? 溶連菌感染症とは 溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌という細菌が原因で起こる病気を総称して「溶連菌感染症」といいます。まずは、その概要について以下の表にまとめました。 クリックで拡大することができます 以下の画像が代表的な症状のひとつ「苺舌」です。発症した初期は、白い苔に覆われた白色舌となり、その後、白い苔が剥がれ、苺舌になります。 引用:NIID 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは 溶連菌感染症は、学童期の子どもがいちばん発症しやすいことはデータが示していますが、幼児や成人であっても発症することがあるので安心はできません。また、繰り返しかかる点も注意が必要なポイント。合併症には、以下のものが挙げられます。 クリックで拡大することができます また、溶連菌が重症化すると、全身に発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行する場合も(画像2参照)。 画像2(引用:NIID 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは) 猩紅熱に移行すると、頬、わきの下、太ももの内側、お尻に発疹が出現、その後、全身に皮膚症状が広がっていきます。全身に広がる際は、多数の発疹が密着した状態になるため、皮膚が赤くなったように見えます。唇の周囲には発疹が少ないため、口の回りだけ青白く見えるのが特徴です。発疹はわずかにかゆみも伴います。回復期になると、腰やお尻の部分の発疹は魚のうろこのような白片状に、手のひらや足の裏の発疹は膜状になり、皮がむけていきます。このように、溶連菌は放っておくと、合併症や重症化のリスクがあるのです。 溶連菌と普通のかぜの見極め方は? 合併症や重症化のリスクがあるにも関わらず、溶連菌が見過ごされてしまうのは、幼児や成人が発症した場合は典型的な症状が見られないため、医療機関の受診につながりにくいから。その結果、適切な治療が行われず、再発や合併症のリスクがあるのが溶連菌の恐ろしさです。では、溶連菌と普通のかぜを、見極めるポイントはあるのでしょうか?・・・じつは、あります! 溶連菌の発症時には、鼻水や咳症状がほとんど見られません。鼻水や咳症状がないのに喉が痛い場合は溶連菌を疑い、早めに医療機関を受診することをおススメします。ただし、小さなお子さんの場合、そもそも冬場は鼻水や咳症状を発症しやすく、既に症状が出ている状態で溶連菌に感染することがあります。そのため、一概に「鼻水や咳症状があるから溶連菌ではない」とは言い切れません。 溶連菌流行中、かぜ症状が見られたらすぐ医療機関で受診! これが最善策!溶連菌の検査では、一般に「迅速診断キット」と呼ばれる器具が使用されます。綿棒で喉の菌をこすり取り、専用の溶液を用いて判定し、結果は5~10分程度で分かります。面倒くさがらずにぜひ検査してみてください。また、受診する前には、「過去に処方された抗生物質などを勝手に飲まない」こともです。飲んでしまうと、正しい検査結果が出ないことも。そもそも抗生物質は医師の適切な指導の下、処方されたときに飲み切るのが原則。自己判断で過去に処方されたものを服用しないようにしましょう。 溶連菌感染症には特効薬がある! 「かぜには特効薬がない」と言われますが、溶連菌には特効薬となる「抗生物質」が存在します。適切な抗生物質を服用すれば、1~2日後には解熱し、喉の痛みも消失していきます(抗生物質服用後、2日以上経っても熱が下がらないときは、必ず再受診するようにしてください。また、症状が回復しても、完全に菌を退治するためには5~10日間は抗生物質を飲み続ける必要があります)。さらに、服用終了後の2~3週間後には尿検査を行い、合併症である腎炎を発症していないか確かめることも推奨されています。尿検査の結果、問題がなければ、溶連菌の治療が完了です。溶連菌の治療経過は、以下の表3の通りです。 表3にあるように、溶連菌の感染力は、発症後の急性期が最も強いとされていますが、抗生物質を服用してから24時間以上経てば感染力が弱まります。文部科学省の出席停止基準では「適正な抗菌剤治療開始後24時間を経て全身状態が良ければ登校可能」とされていますが、地域によって対応が異なるためご注意ください。 ~ かぜに、特効薬がないのはなぜ? ~かぜの原因は80~90% が「ウイルス」。抗生物質は細菌を殺す薬であり、ウイルスにはほとんど効き目がありません。そのため、かぜにはほぼ効果がないのです。かぜの原因となるウイルスは200種類以上ともいわれ、それぞれのウイルスにぴったりの抗ウイルス薬を作るのは、とても難しいことだとされています。そもそも200種類以上のウイルスの中から、病原となったウイルスを特定すること自体が難題です。以上の理由から、かぜには特効薬がなく、薬が処方されたとしても鼻水や咳を和らげるための対処療法となります。 溶連菌を予防するためには? 溶連菌の感染率は、子どもが感染した場合の兄弟間が最も高確率で、25%という報告があります。また、学校などの集団生活を送る場でも注意が必要です。感染経路は、飛沫感染と接触感染によります。予防方法は、 ・罹患者との濃厚接触をさける・うがい、手洗い・マスクの着用 といった一般的な感染症対策が基本です。繰り返しになりますが、溶連菌は、ただのかぜと見過ごされやすい感染症です。発熱や苺舌といった典型的な症状が見られなくても、喉の痛みが続くときは迷わず医療機関で診てもらってください。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL NIKKEI STYLE「本物の風邪は受診の必要なし まず3症状をチェック」病院なび「溶連菌感染症 : 喉の痛み、発熱、舌・身体への発疹佐賀医療センター好生館「第35回 冬季に流行する感染症」公益財団法人日本学校保健会「学校感染症と出席停止の基準」ママスタセレクト「【体験レポート】風邪かと思ったら「溶連菌感染症」!感染したら気をつけるべきポイントは?」感染症予防接種ナビ「溶連菌感染症 患者数増加 今後の流行拡大に注意」東京都感染情報センター「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」社会福祉法人恩賜財団済生会「症状別病気解説」MSDマニュアル「リウマチ熱」日本医事新報社「(4)意外と知らない溶連菌感染後腎炎[特集:文献を紐解く 溶連菌のこんな話題]」東京都感染情報センター「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」愛媛生協病院「溶連菌感染症」国立感染症研究所「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」わしお耳鼻咽頭科「大人もかかる溶連菌の症状・検査・治療について」とまこまいこどもクリニック通信「溶連菌感染症にご用心!」練馬区医師会「溶連菌感染症ってなに?」大日本住友製薬「薬が作用する仕組みvol.3」
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「加湿器」や「お風呂」で感染症に!?死に至るケースも…
メリークリスマス! ♬今日は、待ちに待ったクリスマスイヴ。イルミネーションで華やぐ街。幸せそうに笑顔で肩を寄せ合う恋人たち。いっとき寒さも忘れ、世界中がワクワクする一大イベントです。 ちなみに…「クリスマスイヴは、クリスマスの前日のこと」だと思っているかたは多いのでは?これは、じつは間違い。教会暦では、「『日没をもって日付の変わり目としている』ため24日の日没から、クリスマスの当日になる」というわけ。ご存じなかったかた、是非周りのかたにドヤ顔で教えて差し上げてください!さて、ここからは真面目なお話です。 乾燥が気になるこの季節…。大活躍するのが「加湿器」や「お風呂」。加湿器は、感染症の予防対策として広く知られ、また、お風呂は血行を促進、免疫力アップの効果が期待できます。しかし、加湿器やお風呂のお手入れを怠ると…逆に感染症にかかってしまう危険性が!その病原となるのが、 レジオネラ菌 です。レジオネラ菌は、感染すると死に至る可能性もあるため大変危険です。2019年に入ってからも死亡例が発生しています。レジオネラ菌の感染者は、1999年には56例だったのに対し、2018年には2000例を超え、2019年も47週時点で2,148例と増加の一途をたどっています。 レジオネラ菌の恐ろしい特徴 レジオネラ菌は、自然界のどこにでも存在する細菌です。土壌中や河川、湖や沼など、身の回りのいたる所に生息しています。とはいえ、自然界に生息しているレジオネラ菌は、あまり大きな影響はありません。なぜなら、発病に至るほどのレジオネラ菌が繁殖するためには以下の条件がそろう必要があり、その条件がそろいにくい自然環境下では、そもそもの生息数が少ないと考えられているためです。 レジオネラ菌の繁殖条件・水・寄生するための原生動物「アメーバ」の存在・アメーバの餌(人の垢、汚れ、有機物など)・20~50℃の温度(繁殖に最適な温度は36℃前後) さらに、レジオネラ菌は他の細菌に比べて分裂する速度が極めて遅いことから、繁殖するためにはある程度の時間も必要とされています。しかし、それらの条件が整ってしまう環境が存在するのです。それは、人工的な環境下で循環している水の中です。そうした環境下では、以下の過程でレジオネラ菌が繁殖していきます。 レジオネラ菌が繁殖し、発病性を持つ過程①「レジオネラ菌」が、人工的な環境下で循環している水の中に混入② 水温20℃以上の水に生息する極めて小さな原生動物「アメーバ」が「レジオネラ菌」を食べる③「アメーバ」の中で、アミノ酸を餌に「レジオネラ菌」が増殖④「アメーバ」の中で増殖した「レジオネラ菌」が、アメーバを食い殺し、水中に放出される 通常、細菌類はアメーバなど原生動物の餌となり、捕食された後は消化され死滅します。レジオネラ菌が恐ろしいのは、アメーバ内で増殖し、最終的にはアメーバを食い殺してしまう点です。さらに、レジオネラ菌は塩素濃度0.5ppmの消毒薬で死滅しますが(水道水中の塩素濃度は0.1ppm以上、1ppm以下)、一度アメーバに捕食されたレジオネラ菌には消毒薬が届きにくいことも分かっています。自分を捕食したアメーバを逆に食い殺して生存…まさにホラーですね。しかも、この性質は、人体への病原性にも大きく関係しているのです。通常、人体に侵入した細菌の多くは、体内の免疫細胞によって退治されますが、レジオネラ菌は免疫細胞のマクロファージに捕食された後、その内部で増殖、マクロファージを食い殺す能力を得します。その性質があるからこそ、レジオネラ菌は免疫細胞の監視を逃れ、体の奥深くにある「肺胞」にまで到達することができるのです。とはいえ、健康な成人が発病するのは稀です。レジオネラ菌に感染しやすいのは、乳幼児、高齢者、病にかかっている人 といった抵抗力が弱い方が中心。ただし、健康な成人であっても、喫煙者、飲酒量の多い人、過労などで免疫力が低下している人 といった方は、感染する場合があるので注意が必要です。ちなみに、レジオネラ菌が人から人へ感染することはありません。 レジオネラ菌が原因の感染症 レジオネラ菌は主に2つの感染症を引き起こします。それは、重症型のレジオネラ肺炎と軽症型のポンティアック熱です。前者では、菌を吸い込むわけですから、肺症状が出るのは当然として、肺外症状も出てくるのが特徴です(クリックで画像拡大します)。 レジオネラ肺炎を発症した場合は、適切な治療が行われないと急速に症状が進行し、重症化して死に至るケースもあります。治療には抗菌薬の投与が行われ、有効な抗菌薬の投与が行われない場合は、7日以内で死亡するといわれています。一方で、ポンティアック熱の症状は軽く、抗菌薬なしでも数日で治癒します。 レジオネラ菌の感染予防策は レジオネラ菌の感染を防ぐためには、レジオネラ菌が増殖しにくい環境を作ることが大切。レジオネラ菌は、人の垢・汚れ・有機物などがある20~50℃の水の中で増殖しやすくなります。レジオネラ菌が増殖しているかどうかを見極める判断基準は「ぬめり」。「ぬめり」は生体膜と呼ばれ、繁殖した細菌が分泌する物質により形成されています。 「ぬめり」の中では、細菌やアメーバなどが生息し、ある種の生態系が築かれているのだそうです。ご家庭では、以下の機器の衛生管理に注意が必要です。 「超音波式」加湿器加湿器には、一般的に「超音波式」「スチーム式」「気化式」「ハイブリッド式」の4種類があります。その中でもレジオネラ菌が発生しやすいのは「超音波式」です。超音波式以外の加湿器では、レジオネラ菌が死滅する60℃以上の熱が加えられる仕組みとなっているため、菌がそのまま放出される可能性は少ないと言われています。しかし、超音波式の加湿器は、超音波による細かい振動でしぶきを放出するため、レジオネラ菌もそのまま放出されてしまいます。そのため、まずはご家庭の加湿器がどの方式によるものか確認し、今後購入を検討する場合は超音波式を避ける方がいいでしょう。もし、超音波式加湿器を利用する場合は、毎日水を入れ替えて、容器を洗浄することが大切です。 追い炊き機能付きのお風呂浴槽には大きく分けて「循環型」と「入れ替え型」の2種類があります。レジオネラ菌が繁殖しやすいのは「循環型」の浴槽、いわゆる「追い炊き機能付きのお風呂」です。そもそも浴槽には、レジオネラ菌が寄生するアメーバの餌(垢や洗剤などの有機物)が提供されやすい環境が整っています。さらに、浴槽の水をポンプなどで循環させながら加温・保温を行う循環型では、レジオネラ菌が繁殖しやすい温度も維持されます。そのため、浴槽の水は入浴後に毎日完全に排出し、翌日には新しい水を使用することが大切です。また、浴槽の吸い込み口は毎日清掃を行い、吸い込み口の先につながるポンプやろ過機は週1回以上、逆洗浄や消毒等を行い、ぬめりを取り除くことが望ましいとされています。 これらの衛生管理が徹底されていれば、家庭内でレジオネラ菌に感染する可能性は低いと言えます。レジオネラ菌の感染例は、多くの人が利用する大衆浴場などでも多く発生していますが、まずはご自身の目が行き届く家庭内での衛生管理を徹底してみてくださいね! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 厚生労働省「レジオネラ症」 国立感染症研究所「レジオネラ症とは」 厚生労働省HP「レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理」 国立感染症研究所「最近のレジオネラ症の発生動向と検査方法」 国立感染症研究所「IDWR速報データ 2019年第47週」 国立感染症研究所「発生動向調査年別報告数一覧(全数把握)」 FRIDAYDIGITAL「それでも使う?「超音波式加湿器」のヤバすぎる微生物汚染の実態」 姫路市医師会「レジオネラ属菌の検査」 名古屋市HP「冷却塔・冷却水の水管の清掃と管理」 栄研化学株式会社HP「レジオネラ(Legionella)属細菌の系統進化と生態」 大阪市立環境科学研究所「アメーバの生息環境とレジオネラ感染症」 東京福祉保健局「社会福祉施設等のレジオネラ症予防対策」 東京都健康安全研究センター論文「くらしの健康とバイオフィルム」 厚生労働省「水道法第4条及び第22条等の関係について」 厚生労働省「水道水質基準について」 JCASTトレンド「インフルエンザ予防に加湿器使用 扱いを誤ると別の危険にさらされる」
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ドライアイ、放っておくと感染症の危険も
いよいよ、令和さいしょの冬の到来。今年も乾燥が気になる季節がやってきましたね。 筆者も最近、唇がパッサパサになってきました…お肌のクリームが手放せない季節になったなと、改めて感じる今日この頃です。しかし、「感染ゼロを目指す」当社のコラムに、おススメのクリームをご紹介する企画はあり得ません!(笑) 乾燥する季節に、感染症のリスクあり なのです。さいきん、物がかすんで見える目がごろごろしたり、かゆくなったりするそんな症状はありませんか?それは、ドライアイのサインかもしれません。 昨年は「乾燥肌と皮膚の感染症」についてお伝えしましたが、 冬の乾燥肌対策の秘訣は「美肌菌」!感染症予防にも? 今月のテーマは「ドライアイと目の感染症」についてです。ドライアイを放っておくと、日常生活の質が低下するだけでなく、目の感染症にかかる危険性も。油断は禁物です! あなたの目は大丈夫?ドライアイ診断! 一口に「ドライアイ」と言っても、その症状はさまざま。まずは、日本眼科学会の「ドライアイ診断」で、あなたの目のドライアイ度をチェックしていきましょう!◆ドライアイ診断(日本眼科学会HPより抜粋) ①次の項目で該当する自覚症状がいくつありますか?□目が疲れる□目が乾いた感じがする□物がかすんで見える□目に不快感がある□目が痛い□目が赤い□目が重たい感じがする□涙が出る□目がかゆい□光を見るとまぶしい □目がごろごろする□目ヤニがでる②10秒間、まばたきをせずに目を開けていられますか? 診断結果 ①で、5項目以上チェックがあった方②で、10秒間まばたきを我慢できなかった方 どちらかに当てはまるかたは、ドライアイの可能性アリです。当てはまらなかった皆さんは、ひとまず安心です!…と言いたいところですが、残念ながらそうとも限りません。なぜなら、冬の乾燥した気候下ではドライアイになりやすく、加齢によってもドライアイが進行していくからです。日本では、800万人~2,200万人ものドライアイ患者がいると言われているんです。さらに最近では、パソコンやスマートフォンの過度の使用により、ドライアイ人口が増えています。 なんと、オフィスワーカーの3人に1人がドライアイという報告もあるほど。ドライアイは、失明などの重篤な症状を引き起こすことはありませんが、慢性的な目の不快感や疲れをもたらし、日常生活の質に大きく影響をもたらします。 目の感染症にかかるリスクも高まってしまうので注意が必要です。 ドライアイの仕組み では、そもそもドライアイとは、どんな状態を指すのでしょうか。まず、ドライアイになる原因は、主に次の2つ。 ・涙の分泌量の減少・涙の質の低下 これらにより、目の表面のバリア機能が低下している状態、それがドライアイです。そして、ドライアイを防止するために重要な役割を果たしてくれるのが「涙」です。涙は、悲しさを表現するために存在するのではありません。 涙は常に分泌され、私たちの目を覆うことで、目の働きをサポートしている 涙の役割について、以下の表にまとめました(クリックで画像拡大します)。 涙は、目じりの斜め上側にある「涙腺」と呼ばれる組織で作られ、まばたきで目の表面に行き渡り、一部は目の表面から蒸発、残りは目頭の「涙点」と呼ばれる小さな穴から鼻の奥へと排出されています。また、涙は目の表面から角膜に向かって3層構造になっており、この3層のバランスが保たれることで、その質が維持されています。 ドライアイになる要因は それでは、どんなことがきっかけで、ドライアイが引き起こされるのでしょうか?日本眼科学会によると、ドライアイを引き起こす主な要因は以下の通りです(クリックで画像拡大します)。 このように、ドライアイにはさまざまな要因があります。加齢に伴うものは致し方ないとしても、・スマホやパソコンの過度な使用を避ける・意識してまばたきを行う・エアコンの使用時は加湿器と併用する など、目が乾燥した状態にならないように心掛けましょう。 PCを長時間使用するときの注意点 ビジネスマンにとって、PCは必需品ともいえるツール。「どうしても、この仕事だけは今日中に終わらせなければっ!」なんてことも。そんなときは、何時間も継続してパソコンと向き合うこともありますよね。そんなときは、下記のことを少し意識してみてください。目の負担を軽減することができますよ! ●意識してまばたきを!…ジーっと画面をにらみつけている自分に気付いたら、意識してまばたきをするようにしましょう。●伏し目がちに画面を見る!…伏し目がちに画面を見るようにすると、眼球が露出する割合が減り、目の乾きを軽減する効果が。背筋を伸ばす、または、パソコンのモニターの位置を下げたりすることで、伏し目がちにすることができます(※家のテレビも同様です。寝転がってテレビを見ると上目遣いになり、目に負担が掛かります)。●明るさの調整を!…モニターに直射日光が当たったり、周囲の明るさとの差が大きかったりすると、目の奥にある虹彩の動きが活発になり、目が疲れやすくなります。モニターと周囲の明るさは同じくらいが理想です。●目の休息時間を!…休息時間を設けることで、体がリラックスして副交感神経が作用し、涙が出やすくなります。1~2時間おきが理想です。●目薬を点眼!…(用法・容量をまもったうえで)目薬を点眼することは、目の乾燥防止になります。逆に、古い目薬は、目の感染症の一因となり危険です。開封した目薬は早めに使い切りましょう。 どれもそれほど難しいことではありません。ぜひ試してみてくださいね! ドライアイが引き起こす目の感染症 ドライアイによって引き起こされる目の感染症に「ウイルス性結膜炎」と呼ばれる病気があります。その症状は以下の通りです(クリックで画像拡大します)。 ウイルス性結膜炎は感染力が非常に強く、特効薬はありません。そのため予防が肝心。手洗いはもちろん、目のバリア機能が低下しないようドライアイには十分注意したいものです。たまにはふっと目をそらしてみたり、意識してまばたきをしてみたり。いつもがんばってくれている目を、どうかいたわってあげてくださいね。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 「ドライアイ」(日本眼科学会)流行性角結膜炎とは(国立感染症研究所)急性出血性結膜炎とは(国立感染症研究所)涙の働きと構造(大塚製薬)ドライアイについて(聖母眼科)ドライアイQ&A(大塚製薬)「涙」あってのコンタクトレンズ。目と涙を知る(参天製薬)コンタクトレンズを使用している方(参天製薬)パソコンを長時間使う方(参天製薬)女性ホルモンはうるおいにも関係。ドライアイの原因もそのひとつです(PRESIDENT WOMAN)はやり目(流行性角結膜炎)(スマイル眼科クリニック)
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