新型コロナウイルス(COVID-19)は、未だ収束する気配がありません。それどころか、日本国内でも第三波が到来、一日の感染者数を更新するニュースが頻繁に報じられるようになりました。
・新型コロナウイルスへの感染が怖くて仕方がない
・平穏な日常は、この先訪れるのだろうか
・ウイルスの脅威からは逃れられないのではないか
そんなふうに、不安に感じておられるかたも多いのでは…
しかし、じっと耐え忍んでいるのは、とっても辛いこと。そうではなく、振返ってみればきっと、長い人生のうちのほんの僅かな時間。そんな風に考えて、
・新しい習慣にチャレンジしてみる
・先延ばしにしてきた家の中の細々としたことに着手してみる
・優先順位の低いと思って放っておいたことを対処してみる
などなど、やってみる良い機会と考えてみてはいかがでしょうか。
全ての感染症に対する特効薬
残念ながら、そんなものは存在しません。しかし、全ての感染症に対して有効な防御策が、実は存在します。それは、
免疫力
と呼ばれる機能。今回はその「免疫力」にフォーカスしてみたいと思います。
「免疫」のしくみ
「免疫」とはいったい何なのでしょうか。それは、
体の中に侵入してくる“病原性の高い”微生物をやっつける体のしくみ
のことで、とっても心強い存在なのです。私たちの身の回りには、目に見えない無数の微生物が存在していて、それらの微生物は、日々私たちの身体への侵入を試みています。なかにはそのまま住みついてしまうものも。
もちろん、全ての微生物に病原性があるとは限りません。良い働きをしてくれる微生物で、よく知られているのが、こちら。
アクネ菌
ニキビの原因菌としてよく知られる、誰の体にも住みついている細菌。アクネ菌は大好物の皮脂を得られる毛穴を棲み処にしていますが、増殖しすぎないあいだは、むしろ肌にとっていい働きをしてくれています。
善玉菌
ヨーグルトなどのCMでよく耳にする腸に住みついている細菌です。「善玉菌」には、腸の免疫を強くする働きがあります。
このあたりは、耳にされたことがあるのではないでしょうか。
その一方で、身体に侵入してくる微生物の中には、やはり病原性を持つ種類のものも数多くいます。それらの病原体が体内で繁殖しないように、やっつける身体のしくみが「免疫」というわけですね!
さて、その「免疫」部隊の第一陣は、「皮膚」や「粘膜」。
〇皮膚…最表面で角質層を形成、病原体などの侵入を防ぐ
〇粘膜…鼻水や唾液などで、病原体を殺菌し排出する役割を担う
そして、第二陣、第三陣の働きを担う部隊、血液成分のひとつ、
白血球
です。「一度かかった病気は、二度かかりにくい」と言われるのは、「白血球」のなかの「獲得免疫」と呼ばれる記憶能力があるためです。
かぜをひいたときに発熱するのは、病原体と戦うために免疫細胞が発熱する物質(「サイトカイン」といいます)を分泌するから。ノドの痛みや、鼻水、くしゃみといった症状も、炎症など免疫反応のひとつです。症状があるということは、免疫が働いている証拠というわけですね。
これらのように分かり易い症状ではなかったとしても、免疫は、気づかないうちに病原体を退治してくれているんですね。そんな大事な免疫力。低下してしまうと、悪さをする微生物を退治してくれなくなります…。
免疫力を低下させてしまう主な要因を、以下の表1にまとめてみました。
「免疫力」を高めるためには?
免疫力低下の要因のなかには、生活習慣によって予防することが可能なものも。気をつけたい生活習慣を、以下の表2にまとめてみました。
これらは、習慣化できれば(←これがなかなか難しいのですが…)日常生活で手軽にできるシンプルなものばかり。この機会にぜひ始めてみてはいかがでしょうか!
また、栄養バランスについては、農林水産省のWebサイトが非常に参考になります。ぜひご覧ください。
おわりに
新型コロナウイルスの感染拡大は、誰かのせいにしたり、ふさぎ込んでいるだけては、人生の限られた時間がもったいないですよね。
・コロナ禍は止むを得ず起きたこと
・他人事ではなくて、自分事
・新しい良い習慣を身に付ける良い機会だ
そんな風に捉えてみてください。そして、この機会に生活習慣を考え、免疫力を高めてみてはいかがでしょうか。そうすると、当たり前だった日常が戻ったとき、以前よりもさらに明るく楽しい日常になりそうです。
明日からと言わず、今日からぜひ!
(監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生)