プールの感染症「みずいぼ」と「とびひ」

 

 

 例年にないほど真夏日が連続した令和の幕開け。この調子だと8月頃にはいったいどんな猛暑が待っているのでしょうか。どれだけ夏が大好きな人でも、想像しただけで頭がクラクラしてしまいそうです。さて、そんなアツイ夏のオアシスの定番は、プールですね

 6月はプール開きの季節です。幼稚園・保育園や小学校などでは、続々とプール開きが行なわれているとか。そんなプールに入る日を待ち望んでいるお子さんは多いのではないでしょうか。さいきんではオトナにも、SNS映えするナイトプールなどが、若い女性を中心に人気があるそうです。

 

 しかし、感染症の脅威から皆さんを護りたい私たちがお伝えしたいのは、プールの楽しさではありません。プールはワクワク楽しみな反面、じつは感染症に注意が必要。そこには、なんといっても感染症が成立しやすい「3つの条件」がそろっているのですから。

さて、その3つの条件とは…

 

 

感染症が成立する3つの条件

 

 感染症が人から人へとうつり、発症するまでには次の「3つの条件」がそろう必要があります。

 

① 感染源がある
元気な子供に人気のプールですが、病気の潜伏期間中の人(発病する前)や、無症状であっても細菌やウイルスなどの病原体を保有している人(無症状病原体保有者)が利用していることがあります。まさに感染源となるわけです。

② 感染経路を通して病原体が広がる
プールには限られたスペースに多くの人が密集するため、咳やくしゃみなどの飛沫による「経気道感染」のリスクが高まります。また、プール内では他人の体液に汚染された水の経口摂取による「経口感染」や、タオルやビート版を介した「接触感染」が成立しやすいといえるでしょう。

③ 病原体に対して感受性の高い人がいる
夏は屋内外での気温差が激しいため自律神経が乱れやすく、さらにプールで体力を消耗することで抵抗力(自然免疫)が低下する人が増えます。

 

 このように、プールには感染症が成立しやすい条件がそろっているのです。しかし、ールの中で感染症がうつる可能性は低いのです。それは(国内の)プール施設では、病原体を無害化する効果のある「塩素」が含まれているから。プール内の塩素濃度は、法律や条例で厳しく定められており、プール管理者は遵守することが義務づけられています。

 

<厚生労働省の基準>
・プール内の塩素濃度は0.4mg/L 以上、1.0 mg/L以下であること
・濃度がプール内で均一になるよう、注入口数や注入位置を調整すること
・少なくとも毎日午前中に1回以上、かつ午後に2回以上(このうち1回は、遊泳者数のピーク時に)塩素濃度の測定を行うこと

 

 ただし、塩素は、晴天日や紫外線が強い日には10分間に0.1~0.2mg/L消失するともいわれています。そのため、基準以上のこまめな管理が必要とされているのです。これらの基準がプール管理者によって守られていれば、プールの水を介して感染症にかかる可能性は少ないといえます。

 

プールで注意したい感染症とは?

 

 夏の時期に流行る咽頭結膜熱(プール熱)や手足口病、ヘルパンギーナとともに、プールでは以下の2つの皮膚の感染症がうつりやすいので、注意が必要です。

 

  •  伝染性軟属腫(みずいぼ)
     伝染性膿痂しん(とびひ)

 

それぞれについて解説していきましょう。

 

伝染性軟属腫(みずいぼ)

 

画像引用:伝染性軟属腫- Wikipedia

 

 伝染性軟属腫(みずいぼ)は、皮膚の表面に小さなブツブツがたくさんできるウイルス性の病気。健康な子どもの場合、6ヵ月~3年で自然に治ると考えられていますが、個人差が大きく、いつ治るかを予測することは困難だともいわれています。当社には、このような体験談も寄せられています。

 

娘が3歳のときに「みずいぼ」に罹患しましたが、治療はとても厄介なものでした。手術の前に、患部にテープを貼って1時間かけて麻酔を行ないますが、その間、体は元気な幼い彼女は、じっと病院の待合室で待機しなければなりませんでした。手術の方法は、みずいぼを、ひとつひとつ専用の器具でつまみ取っていくというもの。幼い子どもは、施術の間暴れ、泣きわめき続けました。

 

 以下の表で、みずいぼの特徴や治療法などについてまとめました。

 

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伝染性膿痂しん(とびひ)

 

 

 伝染性膿痂しん(とびひ)は、1~2mmの水泡ができ、それが数日後には指先ほどの大きさに増大し、ペロッと皮膚がむけたり、厚いかさぶたができる細菌性の感染症です。一か所で発症すると、複数か所にも同様の症状が発症、通常の湿疹やあせもなどとは違う病気だということに気づきます。こちらも体験談が寄せられています。

 

2歳になる直前に、娘が「とびひ」に罹患しました。「いたい!いたい!」と泣きわめくほど彼女にも辛く、その患部は、もう見るからに痛々しい状態でした。薬を塗り重ね、ガーゼで覆い、テープを貼り…という工程を何度も何度も繰り返し行なわなければなりませんでした。

 

 とびひについても、同様に以下の表で詳しくご説明していますので、ご参照ください。

 

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 「みずいぼ」も「とびひ」も、乳幼児がかかりやすい皮膚の感染症ですが、免疫力が低下していると大人が感染することも。夏は体力も消耗しやすいので、あまり無理をせず、お子さんやご自身の体長に気を配りながら過ごしてください。

皆さんのプールライフが、快適なものでありますように!

 

(監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生)

 

 

参考資料

 

厚生労働省 遊泳用プールの衛生基準について

一般財団法人東京顕微鏡院 プールで感染する病気とは?

公益社団法人日本プールアメニティ協会 プールFAQ

日本小児皮膚科学会 伝染性軟属腫(みずいぼ)

公益社団法人日本皮膚科学会 ミズイボとイボの違い

公益社団法人日本皮膚科学会 とびひ

 

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