タグ「delfino施設まるごと抗菌」の記事一覧
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南紀白浜空港の感染症対策としてdelfinoが採用
導入事例:株式会社南紀白浜エアポート様 withコロナ時代に誰もが安心できる地域づくりへ 「感染ゼロ」をめざし、抗菌・抗ウイルス製品「delfino(デルフィーノ)」を展開する株式会社デルフィーノケア(東京都目黒区)は、2020年6月、 南紀白浜空港(和歌山県)に「デルフィーノ施設まるごと抗菌」を導入いただきました。 和歌山まるごと抗ウイルス大作戦南紀白浜空港の運営元である株式会社南紀白浜エアポート様では、誘客および地域活性化に向けた取り組みの一環として、「和歌山まるごと抗ウイルス大作戦~withコロナ時代における誰も安心できる地域づくりへ~」プロジェクトを推進されています。その中で欠くことのできない空の玄関口である空港の感染症予防対策として、当社製品「delfino」が導入されました。 首都圏とつながる空の玄関口である南紀白浜空港では、空港利用者の皆様にさらに安心して施設をご利用 いただけるように、これまでの空港職員のマスク着用やアルコール消毒液の設置、空港利用者の三密回避など の安全対策に加えて、空港ターミナルビル内の抗ウイルス・抗菌コーティング対策を実施いたしました。 抗ウイルス・抗菌コーティングとは、人体に安全な抗ウイルス・抗菌作用のある薬剤を、施設や備品の接地面に付着させてコーティング膜を作ることで、感染経路の80%と言われる接触感染のリスク ( Newsmax health 「80 percent of infections Spread by Hands : CDC(米国疾病予防管理センター)」)を、全ての接触者に対して常時・強制的に低減することが期待できる感染症予防対策になります。引用:株式会社南紀白浜エアポート 「和歌山まるごと抗ウイルス大作戦」より 施工風景 専用の噴霧器によってまるごと抗菌コーティングを実施 空港利用者や空港関係者が触れやすいカウンターやカートなどを重点的に拭き上げていきます 「デルフィーノまるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ
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注目度No.1の再開発街区を抗菌コーティング!
導入事例:「白金ザ・スカイ」ゲストサロン様 「感染ゼロ」をめざし、抗菌・抗ウイルス製品「delfino(デルフィーノ)」を展開する株式会社デルフィーノケア(東京都目黒区)は、2020年5月28日、SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)ゲストサロン(東京都港区 /売主:東京建物株式会社、他)に「delfino施設まるごと抗菌コーティング」を導入いただきました。 SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ) について 画像:SHIROKANE The SKY 公式サイトより 「この白金が、新たな東京生活の中心となる」都内有数の高級住宅街であり、文教地区としても広く知られる「白金エリア」。その白金の地、 東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」徒歩3分という好立地に開発される、2022年12月に誕生予定の11,000㎡超の新街区「白金ザ・スカイ」。各メディアでの注目度は圧倒的No.1だといいます。全1247邸、45階建のタワーレジデンスの周囲には、商業施設、医療施設、子育て支援施設を備え、ターゲットの生活環境におけるニーズを網羅した、ラグジュアリーな居住空間が誕生します。 導入背景「非常事態宣言の解除に伴い、ゲストサロンには、募集当初から殺到していた大勢の予約客が順次来場される見込みでした。 当社をはじめとした売主・販売代理各社は、サロン内の環境保全に腐心していました。特にモデルルーム内などでは、来場者様は実際の展示物を手に取ってみたり、椅子に腰かけてみたりと、自身の日常生活を想像しながら肌感覚で確かめていく作業をされる光景をよく目にします。その想定をしながら、抗菌・除菌各メーカーの展開する製品を比較検討していきました。結果、実証されている効果の高さ、持続期間に長さ、既に採用していた取引先からの推薦も手伝い、デルフィーノを選択しました」 施工概要/施工風景施工エリアは、エントランス、アプローチから受付・待合い、商談スペースからモデルルーム内に至るまでの全域。専用噴霧器による抗菌コーティングのほか、ドアノブやテーブルの天板、チェアのひじ掛けなどの高接触ポイントは重点的にスポットコーティングを実施、ご来場者様に安心いただける環境の実現を目指しました。 重要ない意思決定の場である商談スペース。事前清掃にも熱が入ります 窓の外の風景を眺めたり、寄りかかったりと、窓際は案外触れやすい部位。ここも入念に拭き上げます 来場者に貸出する内履きも、チェックを怠りません 休憩用のチェア、建築模型の周りも入念な清掃を施します イメージVTRを視聴するためのシアタールームの中を抗菌コーティング中の風景。 ナノレベルの「delfino」が充満していきます 実施概要団体名 :白金ザ・スカイ施設種別:ゲストサロン所在地 :東京都港区高輪2-17-7実施目的:感染症対策実施内容:delfino施設まるごと抗菌 「白金ザ・スカイ」公式Webサイト 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ
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感染症ゼロへ。命の入り口をまもる医院の飽くなき挑戦!
導入事例:相田歯科 耳鼻科クリニック様 「感染ゼロ」をめざし、抗菌・抗ウイルス製品「delfino(デルフィーノ)」を展開する株式会社デルフィーノケア(東京都目黒区)は、2020年5月、医療法人社団実相会 相田歯科 耳鼻科クリニック様(東京都荒川区)に「delfino施設まるごと抗菌」を導入いただきました。 相田歯科 耳鼻科クリニック様について 口は命の入り口であって、病の入り口にしてはならない 口腔内の健康は、人間の体の心身ともに関わってくる重要な部分です。噛み合わせが骨格のバランスを左右し、免疫力向上や自律神経の調整にも影響を及ぼします。呼吸の改善や睡眠の質向上など、あなたの健康を、命の入り口である口から考える。それが、私たち相田歯科クリニックです。(相田歯科クリニック様Webサイトより) 口内のみならず、身体全体を考慮のうえで治療を行なっておられる同院。地域での厚い信頼はもとより、遠方から定期的に診療に訪れるかたもいらっしゃるといいます。その姿勢は、院内の環境にも表れており、整理整頓・清掃が行き届いた医院内は、当社で行なう施工前の専用機器による汚染度検査においても、一般の医院の水準を下回る極めて低い数値が計測されました。 施工風景施工は、エントランス、受付・待合いからユニット、水回りなど、院内全域をまるごと抗菌コーティングさせていただきました。もちろん、ドアノブや天板などの高接触ポイントは、重点的にスポットコーティングを実施し、より精度の高い抗菌環境を目指しました。 お客様の声(相田院長より) 「施工前の汚染度のチェックでは、スタッフの高い意識と、日頃の懸命な清掃・除菌のお陰で、けっして高い数値は計測されませんでした。然し、患者様、スタッフをはじめ全ての関係者を感染症からまもることにゴールなどありません。より高い次元での安心・安全な環境の実現のため、今回デルフィーノを導入しました。今後も、どなたでも安心して来院いただける環境の実現のために、最高水準の環境整備を行なっていきたいと思います」 実施概要団体名 :医療社団実相会 相田歯科クリニック様施設種別:歯科医院所在地 :東京都荒川区西尾久6-2-12実施目的:感染症対策実施内容:delfino施設まるごと抗菌 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ
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「新型コロナウイルス感染症」正しい情報収集と行動を!
新型コロナウイルスの被害に遭われている皆様には、心よりお見舞い申し上げます。不自由な生活を余儀なくされている皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。 今月も、引き続き世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルスについて採り上げていきたいと思います。先月末頃リリース(2月25日)のDELMAGAから約2週間経過しましたが、その間に感染者数の推移や各国の対応など、大きく変化しています。新型コロナウイルスへの効果、対処法など、メディアやネット上であらゆる情報が飛び交っていますが、くれぐれも、正しい情報収集を行なっていただきたいと思います。厚生労働省の報道発表資料では、罹患者数をはじめとした現在の状況など日次で更新し発表しています。最新の情報については、以下のリンクからご参照ください。 厚生労働省Webサイト 報道発表資料2020年3月 今月号では、新型コロナウイルスについて、注意すべき点などインタビューを中心として情報提供させていただきます。ぜひ最後までお目通しください。 感染者数の推移 現時点の世界各国での感染者数について、WHOの公表資料から、一定数以上の感染者が発生している地域(中国以外)を抜粋した表を以下に掲載します。2月末時点では、日本が第二位に位置していた感染者数ですが、3月9日時点では欧州各国をはじめ感染拡大地域が広がっています。特に、韓国、イタリア、イランについては驚異的なペースで拡大しています。 防衛医大 加來教授インタビュー正誤の怪しい様々な情報が飛び交い、混乱を助長しうる昨今…。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)についての正しい情報とは、いったい何なのでしょうか。正しい状況把握のため、感染症の権威である防衛医科大学校の加來先生に、インタビューさせていただきました。 基本的な意識・心構えについて まず最初に、感染症、ウイルスと向き合うための基本的な心構えについて、先生のコメントをご紹介します。 「感染やウイルスは、なくすのではなく、持続して抑えることが大切です。感染は続くでしょうから感染者数をどんどん減らさないといけません。今は我慢です。特に今年はオリンピックの年。もし開催が失敗すれば観光立国としての将来に期待ができなくなり、海外から労働力を確保することも難しく、今後、経済や国が衰退していきます。不満や不安はあると思いますが、今は行政がお願いしていることをしっかり守ることです。“カラオケに行きます”“外出自粛なんて知らない”なんて言うことはやめて、しっかりここで協力をお願いします。」 (週刊女性PRIME「《新型コロナ》8割が無症状者とも! 軽い風邪症状で病院に行くべきでないワケ」より加来先生のコメントを抜粋) ——手洗い時の注意点や、石鹸・洗剤の選び方など、目安となることがあれば教えてください現在、厚生労働省や内閣府、各自治体で手洗い要領に関するわかりやすいイラストやポスターが多く出されています。いずれも、 ・爪先・指の間・親指周り・手首 など4つのポイントの洗い残しをなくしましょうとなっています。皆さんも、このポイントを忘れないように習慣化を図ってください。石鹸は、薬用せっけんと表記されていない普通のものでも十分です。ウイルスは簡単に不活化されてしまうからです。流水による手洗いができないときに、速乾性アルコール消毒薬を使用しますが、この時も4つのポイントは同じです。 ——厚生労働省の指針では、「目安とされる症状(以下、破線内参照)を発症したかたが相談センターの相談した結果、『疑いアリ』となった場合に、『帰国者・接触者外来』を紹介していますとあります。しかしその場合、通院時の院内感染などのリスクを気にするかたもいらっしゃるのではないかと推察します。自宅で安静にするのではなく、やはり病院には行ったほうが良いのでしょうか (相談・受診の目安) 次の症状がある方は「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている (解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます) 。・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合 この相談・受診の目安は、2月25日付の厚生労働省通知によるもので、現在の流行状況や医療現場での準備状況を考慮した内容となっています。基礎疾患などをお持ちでない方は、この相談・受診の目安を参考に受診してください。かかりつけ医から定期的に受診するように言われている方は、コロナウイルス感染の可能性、基礎疾患に与える影響などを総合的に判断する必要があるので、決して他の病院を渡り歩くなどのことはせずにまずはかかりつけ医の先生に相談してください。 新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター 最寄りの管轄保健所の検索ページ(厚生労働省) ——ご家族に新型コロナウイルス罹患の疑いがある場合、どうすべきでしょうか一般社団法人日本環境感染症学会のとりまとめが参考になります。ご家族に新型コロナウイルスの感染が疑われる場合には、同居されているご家族は以下の8点にご注意ください。 ・部屋を分ける・感染が疑われる家族のお世話は、 できるだけ限られた方で。・マスクをつけましょう・こまめに手を洗いましょう・換気をしましょう・手で触れる共有部分を消毒しましょう・汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう・ゴミは密閉して捨てましょう また、ご本人は外出を避けましょう。ご家族、同居されている方も熱を測るなど、健康観察をし、不要不急の外出を避け、特に咳や発熱などの症状があるときには、職場などには行かないようにしてください。 日本環境感染症学会(新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(2020年2月28日) ) マスギャザリング・イベントについて ——スポーツについて、Jリーグの中断やプロ野球のオープン戦無観客試合、開催延期などが続々報じられています(2020年3月10日時点)。このことについて、どのようにお考えでしょうか今後の開催地での感染症流行状況によると思います。症状を有する方にはご遠慮いただくなどの協力、マスクの装着、開催側としては発熱スクリーニング、飲食物の提供の停止、などが必要となると思います。 ——Jリーグやプロ野球の試合、屋外開催も多いと思います。屋内に比べて、感染のリスクはどの程度あるのでしょうか換気がない閉鎖空間ではないので、ライブハウスやカラオケなどと事情は異なりますが、大人数の集まるマスギャザリング・イベントとなります。トイレなどの使用などでの交差感染、接触感染のリスクは十分に考えなければならないと思います。 ——通常開催に戻ったあと、観戦に出掛ける方々が注意するべきことがあれば、教えてください体調がすぐれないときには、行かないようにしましょう。飲食前の手洗い、手指消毒の徹底が必要ですが、咳をしているヒトがいたら、その場から離れる方がいいです。また帰宅後には再度、手洗いを徹底するようにしてください。 子どもを感染からまもるために(※Medical Note 加來先生インタビュー記事より一部引用) ——子どもへの感染例が少ないのは、なぜでしょうか現時点では子どもに関する情報が少なく不明な点が多いですが、中国からの報告によると、感染者のほとんどが成人で、子どもの感染者はごくわずかとのことです。また、日本国内で複数の感染者が確認されていますが、子どもの感染者も散見されるようになりました。SARSとMERSが子どもに顕性感染者が少なかったことを踏まえると、今流行している新型コロナウイルス(COVID-19)においても子どもは顕在化しにくいのかもしれませんが、未だ明らかになってはいません。 ——マスクの着用については賛否あるかと思います。どのようにお考えでしょうか子どもは、新型コロナウイルスの感染予防に対するマスク着用の効果は限定的です。大人と比べてきちんと着用していなかったり、とるときに汚染されたりする危険が多いからです。一般に、咳やくしゃみをしているヒトがマスクを着用してウイルスの飛散を防ぐことを咳エチケットといい推奨されていますが、これも子どもの場合はあまり期待できません。したがって、そのような症状がある場合は、できるだけ外出しない(させない)ようにしてください。マスクをしていないときに不意に咳やくしゃみしてしまうことがあります。その時はほかの人に向けてしない、袖・肘の内側やティッシュなどを使って口や鼻をおさえるなどの方法をしっかりと教えてあげてください。これも咳エチケットの一つです。 首相官邸Webサイト 咳エチケットポスター ——衛生管理や、環境面の配慮について、教えてください新型コロナウイルス感染症の予防には、風邪やインフルエンザなどほかの感染症と同様、飛沫予防に加えて、手洗いや手指のアルコール消毒が最も重要です。また高頻度に接触する箇所のアルコールや界面活性剤によるふき取りが有効です。また、外出時には、不意に咳やくしゃみの飛沫を浴びることや、ウイルスに汚染された場所を直接手に触れる機会も多くなります。ドアノブや遊具、おもちゃなどに触れた手で口や鼻を触ることで感染するため、帰宅後など、石鹸でよく手を洗い、適宜アルコール消毒液で手を消毒するのがよいでしょう。また、衛生対策だけでなく体調管理や室内環境も大切です。免疫力が低下しているときや、空気の乾燥によって気道粘膜の防衛機能が低下すると感染症にかかりやすくなります。したがって、日頃から体調に気をつけるとともに、室内の湿度を50~60%に保つようにしましょう。喉に付着したウイルスの体内侵入のリスクを減じるために、うがいや歯磨きなどの口腔衛生を保つことも有用であると考えられます。 ——個人で意識するべき感染拡大の防止策について教えてください現在は、海外渡航歴の有無にかかわらず、新型コロナウイルス感染症の日本各地で散発している状態です。患者として確認された方と接触歴があることが明らかな場合には、保健所から健康観察をお願いされることがあります。無症状であっても事前に保育園や学校などに連絡し、14日間は登園・登校を避け、外出も控えましょう。 ——学校の一斉休校が始まっています。このことについてご意見お願いします内閣総理大臣から、外出の自粛に加えて学校の一斉休校が行われました(2020年3月時点)。今後、感染が急激に拡大するのか、ゆるやかな発生になるのかの重要な大事な時期であると判断されたためです。保護者の皆さんが、外から帰ってきてから家庭内感染を起こしてしまったら、せっかくの対策も台無しになってしまします。子どもと一緒に保護者も手洗いやうがい、咳エチケットなどを積極的に行い、感染の予防・拡大防止に努めるようにしましょう。 以上、加來先生インタビューでした。一日でも早く皆さまに平穏な日常が戻ってきますように。(監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 「delfino施設まるごと抗菌」とは 感染症対策製品「delfino(デルフィーノ)」は、「感染ゼロをめざして」というコンセプトのもと、光触媒(酸化チタン)、抗菌触媒(銀)、三元触媒(プラチナ)などの触媒を組み合わせることで、それぞれの触媒反応が持つ効果を相乗的に発揮させながら、それぞれの弱点を補うという発想の抗ウイルス・抗菌・防臭剤です。そのデルフィーノを、専用噴霧器によってμ(ミクロン)単位の粒子で噴霧、密閉空間に充満させていくことで、壁面だけでなく、カウンター、チェア、デスク、キャビネットなどのあらゆるものを抗ウイルス・抗菌コーティングして、施設内での感染リスクを軽減します。お問い合わせは以下のリンクから! お問い合わせ 参照URL 厚生労働省(報道発表資料2020年3月)首相官邸(咳エチケットポスターへのリンク)日本環境感染学会新型(コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(2020年2月28日))厚生労働省(新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター)週刊女性PRIME(《新型コロナ》8割が無症状者とも! 軽い風邪症状で病院に行くべきでないワケ)Medical Note(中国で感染拡大する新型コロナウイルス関連肺炎とは何かdelfino施設まるごと抗菌
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「新型コロナウイルス感染症」これまでの推移と予防策のまとめ
新型コロナウイルスの被害に遭われている皆様には、心よりお見舞い申し上げます。不自由な生活を余儀なくされている皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。 世界中を震撼させている「新型コロナウイルス」。新型コロナウイルスは、ヒトからヒトへと感染し、中国湖北省武漢市から世界各国へと感染が拡大。2月14日時点の感染者数は全世界で6万人を超え、死者数も1,300人以上に達しています。発熱や咳、肺炎といった呼吸器系の症状を呈し、重症化すれば死に至ることも。我が国でも、とうとう死者が出てしまいました。罹患された方々や、感染の疑いで隔離されている方々は、ウイルスの脅威に不安な気持ちで日々過ごされていることと思います。世界各国では、差別的対応を受けたアジア人の被害も報告され、日本人としても他人事とは思えません。感染拡大を防ぐための措置と人権侵害を混同しないよう、一人ひとりが自覚をもって行動する必要がありそうです。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 今回は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」についてお伝えしていきます。新興感染症という人類にとって初めての感染症なので、現時点で判明している事実をもとに整理していきます。読者の皆さんご自身やご家族の身を守るためにも、ご活用いただければ幸いです。 世界保健機関(WHO)は11日、中国を中心に流行している新型コロナウイルスによる病気の正式名称を決定、発表しました。名称は、 「COVID-19」(読み方:コービッド ナインティーン) これは「コロナ(Corona)」、「ウイルス(Virus)」、「病気(Disease)」というそれぞれの単語、そして、WHOに病気が報告された「2019年」の組み合わせからできた造語。そして、その病原体のウイルスは、SARS-CoV2と命名されました。 中国と日本の感染者数の推移 まずは、中国と日本の感染者数について、これまでの推移を厚生労働省の報道発表資料をもとに、時系列順にまとめてみました。以下の表1をご参照ください。 1月12日時点で、中国での感染者数は41人で全てが湖北省武漢市からでした。しかも当初問題視されていた海鮮市場を閉鎖した1月1日以降は新規患者は出ていないとされていました。しかし、疫学調査とウイルス検査の結果からヒトーヒト感染が進んでいることがあきらかになり、やがて中国国民の大移動である春節を迎えます。中国政府は武漢市の交通を遮断するという大胆な手段をとりますが、中国全土への拡散を止めることはできませんでした。2月14日時点には、63,851人の患者が報告され、1日で約2万人ほど増えましたが、湖北省からの報告要領が変更となり、確定例と疑似症例を合算したものとなったからです。2002年~2003年に流行したSARSの感染者数は8,098人、2012年から現在も流行中のMERSの感染者数は2,494人と発表されています。このことからも、新型コロナウイルスの影響力の大きさが分かりますね…。影響力は、患者数と重症度のかけ算で評価します。重症度の分かりやすい指標に、 患者数に占める死亡者数の割合 である「症例致死率」があります。湖北省での症例致死率は約2.8%。一方で、湖北省以外では約1.2%。地域による重症度の違いは、院内感染や医療崩壊によることを意味するのかもしれません。今後も注視していく必要があります。 日本国内の感染者の状況 日本国内の感染者数は、クルーズ船を除き33名。(2月14日時点)うち、症状を発症した方は、30名と報告されています。厚生労働省の報道発表資料では、罹患者それぞれの状況を日次で発表しています。以下のリンクからご参照ください。 厚生労働省Webサイト 報道発表資料2020年2月 国内での状況は、日々変わっています。2月10日時点では、22名の感染者のうち、武漢市のある湖北省に滞在歴のある方は18名。滞在歴のない4名のかたも、滞在歴のある方と濃厚接触していたことがわかっています。このことから、国内での感染例は、武漢市と直接的に関わった経路での発生と考えられていました。しかし、2月14日の報道によると、武漢市の関わりが特定できない感染者が、和歌山、神奈川、東京、千葉と、4名のかたが同時多発的に発生しています。このように日本国内では、中国の居住歴や渡航歴を有するヒトからの発病に加え、リンクが追えない患者の散発例が報告されるようになってきました。これも帰国者の健康監視や患者との濃厚接触者に対する疫学調査を通じて、徐々に臨床経過がわかるようになったり、限定的だった検査が全国の自治体で行えることぎできるようになったからです。しかし2月15日には院内感染の発生が確認されてしまいました。今後は、いっそうの感染制御をすすめていく必要があります。 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内の状況 運営会社Webサイトより引用 横浜港に寄港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内では、2月14日時点の検査結果で、218人の陽性反応が確認されています。該当する方々は、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県内の感染症病棟を有する医療機関に順次搬送されていますが、乗客・乗員の方々合わせて2,600人余りが船内待機を余儀なくされています。乗客・乗員の皆さまが、大変なストレスを抱えて生活されていることは想像に難くありません。船内での感染拡大が収束し、皆さまが無事に普段の生活に戻られることを心より願っております。 新型コロナウイルスについて現時点でわかっていること コロナウイルスには、これまで6種類の型が存在することがわかっていました。うち、4種類はかぜの原因ウイルスとして知られ、残りの2種類はSARSとMERSの原因ウイルスとして知られています。新型コロナウイルスは、今回新たに発見された第7のウイルスです。国立感染症研究所や政府の発表を元に、7種類のコロナウイルスについて現時点でわかっていることをまとめました。 新型コロナウイルス感染症の特徴 潜伏期間は1~12.5日とされ、濃厚接触者は14日間の健康観察が推奨されています。国内の感染者の年齢は20~60代と幅がありますが、SARSやMERSと同様、現在のところ子どもの発病の報告は少ないです。また、重症者の多くが高齢者や基礎疾患を持つ方という報告があり、厚生労働省では高齢者や基礎疾患のある方々に対して、より一層の注意を呼びかけています。 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) 表にもありますが、新型コロナウイルスの感染経路は、以下の2種類であることがわかっています。 新型コロナウイルスの感染経路■飛沫感染…感染者の咳やくしゃみと共に排出されたウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染■接触感染…感染者が咳やくしゃみを手で押さえることで、感染者の手にウイルスが付着。その手で触れた物を介して別の人の手にウイルスが付着、その手で目、口、鼻を触ることで粘膜から感染 新型コロナウイルスを予防するために 新型コロナウイルスに特効薬はありませんが、予防策はあります。この章では、新型コロナウイルスの予防策について詳しくお伝えしていきます。新型コロナウイルスは「エンベロープ」と呼ばれる脂質で構成され、エンベロープを持つウイルスは界面活性剤やアルコールなどの消毒薬により不活性化されます。そのため、新型コロナウイルスの接触感染予防には、「手洗い」または「手指消毒」が有効です。食事前は特に、よく手を洗うよう心がけましょう。また、ウイルスは目、鼻、口から体内に侵入するため、むやみやたらに手で触らないよう意識することも大切です。首相官邸、厚生労働省からリリースされている資料に、正しい手洗いの方法が書かれていますので、ご紹介します。 また、咳症状があるときなどは、周囲にうつさない配慮が重要。マスクの着用や咳エチケットを徹底するよう心がけましょう。 ※現在、マスクの品薄状態が続いており、一部の心無いかたによる買い占め、転売が拍車をかけている事象が報告されています。感染予防には、一人ひとりの良識や思いやりも大切です。 一人ひとりが当事者意識を!感染症予防の基本は、まず以下のことを心掛けましょう。 ・咳症状や発熱などの症状がある人に近づかない・人混みの多い場所になるべく行かないようにする・手指を清潔に保つ とはいえ、公共交通機関での通勤・通学など、人混みや密室空間、換気が十分ではない空間を完全に避けるのは困難です。そんなときは、マスクの着用は一定の効果が期待できると言えるでしょう。そして、目的地に到着したら、すぐ手洗いするようにしましょう。咳症状が出ている人は、すぐにマスクを着用、早めに病院での診療を受けるなど、周りへの配慮を忘れないようにしてください。双方からの気遣いが、いちばん効果的です。 以上、今月は新型コロナウイルスについてレポートさせていただきました。感染拡大を防止するのは、一人ひとりの当事者意識から。 被害に遭われている方々をはじめ、不自由な生活を余儀なくされている方々が、一日でも早くもとの生活に戻られることを、心より願っております。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 厚生労働省「報道発表資料 2020年1月」厚生労働省「報道発表資料 2020年2月」 新型コロナウイルス感染症対策本部(第6回) 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月7日版)日本経済新聞「中国・湖北省滞在の外国人、入国拒否 首相が表明」 国立感染症研究所「コロナウイルス」とは NHK「新型コロナウイルス 感染したら出る症状は その治療は」 YAHOOニュース「症状、予防、経過と治療… 新型コロナウイルス感染症とは? 現時点で分かっていること」時事ドットコム「【解説】新型コロナウイルスの死者について分かっていること」 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」 日本医事新報社「動物咬傷で咬傷部を石鹸で洗う理由は?【界面活性剤はウイルスを不活性化させる】」 内閣官房ホーム「新型コロナウイルス感染症の対応について」 首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」
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「国際緊急医療・衛生支援機構新春講演会」参加レポート
令和2年1月25日、国際緊急医療・衛生支援機構(IEMS-Japan)主催の、新春講演会に参加させていただきました。「新春」と名がつくと、何だか楽しそうな会にも聴こえますが、その内容はマスギャザリングイベントのリスク評価、体制整備に関する、非常に骨太な内容。デルフィーノケア社は、「感染ゼロへ!」を目標としています。東京2020が既に間近に迫っているこのタイミングで、最新の情報入手のため参加させていただきました。 基調講演 (東京大学大学院 森村尚登 教授) 東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)合同委員会東京大学大学院 医学系研究科外科学専攻生体管理医学講座 救急科学分野森村 尚登 教授 基調講演では、感染症、マスギャザリング研究の大家として、東京2020関連をはじめ世界中にその名を轟かせておられる、森村先生がご登壇されました。ご講演のテーマはこちらです。 2020 東京オリンピック・パラリンピック開催時の救急・災害時医療体制の課題と対策 このように銘打たれ、過去のオリンピック開催において起こった災害やトラブル、そこからの学びや体制変更などを紹介いただきつつ、2020日本開催での備えについて解説いただきました。全体を通して学び多きご講演でしたが、その中から特に当社として印象に残った(問題意識をもった)事案について、いくつかこの場でシェアさせていただきたいと思います。マスギャザリングの定義は変化している!以前、当社コラムでもマスギャザリングについてリリースさせていただきましたが、2004年のアトランタ五輪あたりから市民権を得たというこの呼称、本来の定義は以下のとおりでした。 一定期間、限定された地域において、「同一目的で」多くの人が集合した状態 過去資料では、「同一目的で」と必ず表記されていたように思いますが、近年は、マスギャザリングは自然発生のものまでを含めて包括的に議論されているとのこと。その点をまずアップデートしなければならないことを痛感しました。 東京は、常にマスギャザリング状態 通勤ラッシュ時の「満員電車」。ウィークデーに毎日起きているあのストレスフルな状態は、まさにマスギャザリングと言えます。満員電車には、感染症の罹患リスク、化学兵器使用のリスクなど、大規模なスポーツイベントや集会などと比べても決して小さくないリスクが横たわっているとのこと。東京2020は、マスギャザリングonマスギャザリングである そんな我が国にとって日常である満員電車。それをマスギャザリングであると捉えることで、新たなリスクが浮き彫りになります。開催期間中の東京には、30万~80万人/日のあいだで外国人が集まるのではないかという予測があります。その人数が、元々マスギャザリング状態にある交通機関に押し寄せた場面…あまり想像したくないものがありますね…。最終電車の後ろ倒しなど、交通各社からも対応が発表されていますが、ホームや階段の幅が急に広がるはずもありません。ましてや開催は、8月からの炎天下。免疫力の低下も手伝って、体調を崩すかたや感染症罹患者が増えるとしても、まったく不思議ではありません。空港の一時的な混雑なども、マスギャザリングと捉えるべきと議論されているそうです。 開催地域の住民を守らなければならない 過去、マスギャザリングが議論される際には、出場選手、VIPといった方々について議論が集中することが多かったそうですが、昨今では「開催地域住民を守らなければならない」という議論が活発になっているとのこと。当然といえば当然で、一時的に人口が増えるために、交通渋滞や公共交通機関の混雑、病院への人の集中…等々、特に五輪開催そのものに比較的無関心の住民にとっては、迷惑以外の何物でもありません。特に、医療体制の確保(ラストマイルの医療体制)については入念なシミュレーション、準備が必須であるとのこと、そのリスクアセスメントを専門チームで徹底的に行なっているそうです。 基調講演のさいごに、森村先生から嬉しいお知らせがありました。以下のURLにアクセスいただくと、東京2020災害対策関連の資料が無料ダウンロードすることができます! 2020年 東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体 感染症は、日々の積み重ねによって初めて防御することができます。備えあれば憂いなし。ぜひご覧になってください。 ご講演(防衛医科大学 加來 浩器教授) 当日の最後を飾るご講演は、日頃からデルフィーノケア社で監修いただいている防衛医科大の加來先生のご登壇でした(※「第四世代化学剤ノビチョク」の脅威に関するご講演を挟みますが、感染症とはテーマが異なるため本稿では割愛させていただいております)。こちらのご講演では、 ◇輸入感染症対策ビデオ(東京2020大会対策委員会)のご紹介◇第3回ロンボク島研修と事前研修会について 本稿では、前者の感染症対策ビデオについて改めてご紹介させていただきます。 <日本感染学会Webサイトより照会文引用>日本環境感染学会では東京2020大会対策委員会を組織して、医療施設内における感染対策上の問題点や課題について検討してまいりました。(中略)本ビデオでは、院内アウトブレイクを防ぐためのポイントとして、①受付・待合室、②外来診察室、③救急室、④入院病棟の4つのシーンにおける最重要点を取り上げました。 以下に5つの対策動画のリンクを貼らせていただきました。動画の中では、過去に起きた感染症の拡大事例、個人の防衛手段など、シーンごとに非常に分かり易くせいりされた動画になっています。日頃からの感染症への備えの一環として、ぜひご覧になってみてください。 オープニング (3:03)受付・待合室 (6:05)外来診察室 (4:26)救急室 (5:16)入院病棟 (9:07) 以上、IEMS-Japan新春講演会レポートでした! 参照URL日本環境感染学会Webサイト
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その症状、本当にかぜですか?放っておくと手遅れになるかも…
令和初の年末年始休暇が明けました。9連休だったかたも多いようですが、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。長期休暇明け、通常モードに戻していくのはなかなか大変。ましてや気温の低いこの時期は身体への負荷も大きいといえます。そんなこの時期の感染症の代表格は、インフルエンザ。まさに冬季に注意すべき筆頭格の怖い感染症のひとつです。しかし、今回のコラムでは、インフルエンザの陰で、じわじわ報告数を増やす感染症についてお伝えしていきたいと思います。 溶連菌感染症(ようれんきん) 近年、じわじわとその報告数を伸ばしている感染症とは、溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)。溶連菌の正式名称は、 溶血性連鎖球菌 といいます。鎖状に連なった球菌(連鎖球菌:Streptococcus)のなかで、血液寒天培地で培養した時にその培地に含まれる赤血球を溶かす(溶血)毒素を出す菌です。そのうち、ヒトに病気を起こす菌の90%以上がA群(Group A)に分類されます。したがって、A群連鎖球菌を、GAS(Group A Streptococcus pyogene)と呼びます。もはや絶望的難易度なので、まずは「ヨウレンキン」とインプットしましょう。 さて、この「溶連菌」。近年の「迅速診断キット」の普及など診断技術の向上が影響している可能性もありますが、報告数が増加傾向にあります。また、その強い感染力から、インフルエンザ同様に登園や登校が停止となる病気。しかし、その症状がかぜと似ているため、医療機関での受診につがなりにくいのです。溶連菌には、レアケースですが急速に重症化する「侵襲性溶連菌感染症」という病態も。一時期メディアでは「人食いバクテリア」として紹介されたこともありました。また、合併症の可能性もあるのです。その辛い喉の痛み、ひょっとして、ただのかぜではなく溶連菌ではありませんか? 溶連菌感染症とは 溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌という細菌が原因で起こる病気を総称して「溶連菌感染症」といいます。まずは、その概要について以下の表にまとめました。 クリックで拡大することができます 以下の画像が代表的な症状のひとつ「苺舌」です。発症した初期は、白い苔に覆われた白色舌となり、その後、白い苔が剥がれ、苺舌になります。 引用:NIID 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは 溶連菌感染症は、学童期の子どもがいちばん発症しやすいことはデータが示していますが、幼児や成人であっても発症することがあるので安心はできません。また、繰り返しかかる点も注意が必要なポイント。合併症には、以下のものが挙げられます。 クリックで拡大することができます また、溶連菌が重症化すると、全身に発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行する場合も(画像2参照)。 画像2(引用:NIID 国立感染症研究所 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは) 猩紅熱に移行すると、頬、わきの下、太ももの内側、お尻に発疹が出現、その後、全身に皮膚症状が広がっていきます。全身に広がる際は、多数の発疹が密着した状態になるため、皮膚が赤くなったように見えます。唇の周囲には発疹が少ないため、口の回りだけ青白く見えるのが特徴です。発疹はわずかにかゆみも伴います。回復期になると、腰やお尻の部分の発疹は魚のうろこのような白片状に、手のひらや足の裏の発疹は膜状になり、皮がむけていきます。このように、溶連菌は放っておくと、合併症や重症化のリスクがあるのです。 溶連菌と普通のかぜの見極め方は? 合併症や重症化のリスクがあるにも関わらず、溶連菌が見過ごされてしまうのは、幼児や成人が発症した場合は典型的な症状が見られないため、医療機関の受診につながりにくいから。その結果、適切な治療が行われず、再発や合併症のリスクがあるのが溶連菌の恐ろしさです。では、溶連菌と普通のかぜを、見極めるポイントはあるのでしょうか?・・・じつは、あります! 溶連菌の発症時には、鼻水や咳症状がほとんど見られません。鼻水や咳症状がないのに喉が痛い場合は溶連菌を疑い、早めに医療機関を受診することをおススメします。ただし、小さなお子さんの場合、そもそも冬場は鼻水や咳症状を発症しやすく、既に症状が出ている状態で溶連菌に感染することがあります。そのため、一概に「鼻水や咳症状があるから溶連菌ではない」とは言い切れません。 溶連菌流行中、かぜ症状が見られたらすぐ医療機関で受診! これが最善策!溶連菌の検査では、一般に「迅速診断キット」と呼ばれる器具が使用されます。綿棒で喉の菌をこすり取り、専用の溶液を用いて判定し、結果は5~10分程度で分かります。面倒くさがらずにぜひ検査してみてください。また、受診する前には、「過去に処方された抗生物質などを勝手に飲まない」こともです。飲んでしまうと、正しい検査結果が出ないことも。そもそも抗生物質は医師の適切な指導の下、処方されたときに飲み切るのが原則。自己判断で過去に処方されたものを服用しないようにしましょう。 溶連菌感染症には特効薬がある! 「かぜには特効薬がない」と言われますが、溶連菌には特効薬となる「抗生物質」が存在します。適切な抗生物質を服用すれば、1~2日後には解熱し、喉の痛みも消失していきます(抗生物質服用後、2日以上経っても熱が下がらないときは、必ず再受診するようにしてください。また、症状が回復しても、完全に菌を退治するためには5~10日間は抗生物質を飲み続ける必要があります)。さらに、服用終了後の2~3週間後には尿検査を行い、合併症である腎炎を発症していないか確かめることも推奨されています。尿検査の結果、問題がなければ、溶連菌の治療が完了です。溶連菌の治療経過は、以下の表3の通りです。 表3にあるように、溶連菌の感染力は、発症後の急性期が最も強いとされていますが、抗生物質を服用してから24時間以上経てば感染力が弱まります。文部科学省の出席停止基準では「適正な抗菌剤治療開始後24時間を経て全身状態が良ければ登校可能」とされていますが、地域によって対応が異なるためご注意ください。 ~ かぜに、特効薬がないのはなぜ? ~かぜの原因は80~90% が「ウイルス」。抗生物質は細菌を殺す薬であり、ウイルスにはほとんど効き目がありません。そのため、かぜにはほぼ効果がないのです。かぜの原因となるウイルスは200種類以上ともいわれ、それぞれのウイルスにぴったりの抗ウイルス薬を作るのは、とても難しいことだとされています。そもそも200種類以上のウイルスの中から、病原となったウイルスを特定すること自体が難題です。以上の理由から、かぜには特効薬がなく、薬が処方されたとしても鼻水や咳を和らげるための対処療法となります。 溶連菌を予防するためには? 溶連菌の感染率は、子どもが感染した場合の兄弟間が最も高確率で、25%という報告があります。また、学校などの集団生活を送る場でも注意が必要です。感染経路は、飛沫感染と接触感染によります。予防方法は、 ・罹患者との濃厚接触をさける・うがい、手洗い・マスクの着用 といった一般的な感染症対策が基本です。繰り返しになりますが、溶連菌は、ただのかぜと見過ごされやすい感染症です。発熱や苺舌といった典型的な症状が見られなくても、喉の痛みが続くときは迷わず医療機関で診てもらってください。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL NIKKEI STYLE「本物の風邪は受診の必要なし まず3症状をチェック」病院なび「溶連菌感染症 : 喉の痛み、発熱、舌・身体への発疹佐賀医療センター好生館「第35回 冬季に流行する感染症」公益財団法人日本学校保健会「学校感染症と出席停止の基準」ママスタセレクト「【体験レポート】風邪かと思ったら「溶連菌感染症」!感染したら気をつけるべきポイントは?」感染症予防接種ナビ「溶連菌感染症 患者数増加 今後の流行拡大に注意」東京都感染情報センター「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」社会福祉法人恩賜財団済生会「症状別病気解説」MSDマニュアル「リウマチ熱」日本医事新報社「(4)意外と知らない溶連菌感染後腎炎[特集:文献を紐解く 溶連菌のこんな話題]」東京都感染情報センター「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」愛媛生協病院「溶連菌感染症」国立感染症研究所「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」わしお耳鼻咽頭科「大人もかかる溶連菌の症状・検査・治療について」とまこまいこどもクリニック通信「溶連菌感染症にご用心!」練馬区医師会「溶連菌感染症ってなに?」大日本住友製薬「薬が作用する仕組みvol.3」
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「加湿器」や「お風呂」で感染症に!?死に至るケースも…
メリークリスマス! ♬今日は、待ちに待ったクリスマスイヴ。イルミネーションで華やぐ街。幸せそうに笑顔で肩を寄せ合う恋人たち。いっとき寒さも忘れ、世界中がワクワクする一大イベントです。 ちなみに…「クリスマスイヴは、クリスマスの前日のこと」だと思っているかたは多いのでは?これは、じつは間違い。教会暦では、「『日没をもって日付の変わり目としている』ため24日の日没から、クリスマスの当日になる」というわけ。ご存じなかったかた、是非周りのかたにドヤ顔で教えて差し上げてください!さて、ここからは真面目なお話です。 乾燥が気になるこの季節…。大活躍するのが「加湿器」や「お風呂」。加湿器は、感染症の予防対策として広く知られ、また、お風呂は血行を促進、免疫力アップの効果が期待できます。しかし、加湿器やお風呂のお手入れを怠ると…逆に感染症にかかってしまう危険性が!その病原となるのが、 レジオネラ菌 です。レジオネラ菌は、感染すると死に至る可能性もあるため大変危険です。2019年に入ってからも死亡例が発生しています。レジオネラ菌の感染者は、1999年には56例だったのに対し、2018年には2000例を超え、2019年も47週時点で2,148例と増加の一途をたどっています。 レジオネラ菌の恐ろしい特徴 レジオネラ菌は、自然界のどこにでも存在する細菌です。土壌中や河川、湖や沼など、身の回りのいたる所に生息しています。とはいえ、自然界に生息しているレジオネラ菌は、あまり大きな影響はありません。なぜなら、発病に至るほどのレジオネラ菌が繁殖するためには以下の条件がそろう必要があり、その条件がそろいにくい自然環境下では、そもそもの生息数が少ないと考えられているためです。 レジオネラ菌の繁殖条件・水・寄生するための原生動物「アメーバ」の存在・アメーバの餌(人の垢、汚れ、有機物など)・20~50℃の温度(繁殖に最適な温度は36℃前後) さらに、レジオネラ菌は他の細菌に比べて分裂する速度が極めて遅いことから、繁殖するためにはある程度の時間も必要とされています。しかし、それらの条件が整ってしまう環境が存在するのです。それは、人工的な環境下で循環している水の中です。そうした環境下では、以下の過程でレジオネラ菌が繁殖していきます。 レジオネラ菌が繁殖し、発病性を持つ過程①「レジオネラ菌」が、人工的な環境下で循環している水の中に混入② 水温20℃以上の水に生息する極めて小さな原生動物「アメーバ」が「レジオネラ菌」を食べる③「アメーバ」の中で、アミノ酸を餌に「レジオネラ菌」が増殖④「アメーバ」の中で増殖した「レジオネラ菌」が、アメーバを食い殺し、水中に放出される 通常、細菌類はアメーバなど原生動物の餌となり、捕食された後は消化され死滅します。レジオネラ菌が恐ろしいのは、アメーバ内で増殖し、最終的にはアメーバを食い殺してしまう点です。さらに、レジオネラ菌は塩素濃度0.5ppmの消毒薬で死滅しますが(水道水中の塩素濃度は0.1ppm以上、1ppm以下)、一度アメーバに捕食されたレジオネラ菌には消毒薬が届きにくいことも分かっています。自分を捕食したアメーバを逆に食い殺して生存…まさにホラーですね。しかも、この性質は、人体への病原性にも大きく関係しているのです。通常、人体に侵入した細菌の多くは、体内の免疫細胞によって退治されますが、レジオネラ菌は免疫細胞のマクロファージに捕食された後、その内部で増殖、マクロファージを食い殺す能力を得します。その性質があるからこそ、レジオネラ菌は免疫細胞の監視を逃れ、体の奥深くにある「肺胞」にまで到達することができるのです。とはいえ、健康な成人が発病するのは稀です。レジオネラ菌に感染しやすいのは、乳幼児、高齢者、病にかかっている人 といった抵抗力が弱い方が中心。ただし、健康な成人であっても、喫煙者、飲酒量の多い人、過労などで免疫力が低下している人 といった方は、感染する場合があるので注意が必要です。ちなみに、レジオネラ菌が人から人へ感染することはありません。 レジオネラ菌が原因の感染症 レジオネラ菌は主に2つの感染症を引き起こします。それは、重症型のレジオネラ肺炎と軽症型のポンティアック熱です。前者では、菌を吸い込むわけですから、肺症状が出るのは当然として、肺外症状も出てくるのが特徴です(クリックで画像拡大します)。 レジオネラ肺炎を発症した場合は、適切な治療が行われないと急速に症状が進行し、重症化して死に至るケースもあります。治療には抗菌薬の投与が行われ、有効な抗菌薬の投与が行われない場合は、7日以内で死亡するといわれています。一方で、ポンティアック熱の症状は軽く、抗菌薬なしでも数日で治癒します。 レジオネラ菌の感染予防策は レジオネラ菌の感染を防ぐためには、レジオネラ菌が増殖しにくい環境を作ることが大切。レジオネラ菌は、人の垢・汚れ・有機物などがある20~50℃の水の中で増殖しやすくなります。レジオネラ菌が増殖しているかどうかを見極める判断基準は「ぬめり」。「ぬめり」は生体膜と呼ばれ、繁殖した細菌が分泌する物質により形成されています。 「ぬめり」の中では、細菌やアメーバなどが生息し、ある種の生態系が築かれているのだそうです。ご家庭では、以下の機器の衛生管理に注意が必要です。 「超音波式」加湿器加湿器には、一般的に「超音波式」「スチーム式」「気化式」「ハイブリッド式」の4種類があります。その中でもレジオネラ菌が発生しやすいのは「超音波式」です。超音波式以外の加湿器では、レジオネラ菌が死滅する60℃以上の熱が加えられる仕組みとなっているため、菌がそのまま放出される可能性は少ないと言われています。しかし、超音波式の加湿器は、超音波による細かい振動でしぶきを放出するため、レジオネラ菌もそのまま放出されてしまいます。そのため、まずはご家庭の加湿器がどの方式によるものか確認し、今後購入を検討する場合は超音波式を避ける方がいいでしょう。もし、超音波式加湿器を利用する場合は、毎日水を入れ替えて、容器を洗浄することが大切です。 追い炊き機能付きのお風呂浴槽には大きく分けて「循環型」と「入れ替え型」の2種類があります。レジオネラ菌が繁殖しやすいのは「循環型」の浴槽、いわゆる「追い炊き機能付きのお風呂」です。そもそも浴槽には、レジオネラ菌が寄生するアメーバの餌(垢や洗剤などの有機物)が提供されやすい環境が整っています。さらに、浴槽の水をポンプなどで循環させながら加温・保温を行う循環型では、レジオネラ菌が繁殖しやすい温度も維持されます。そのため、浴槽の水は入浴後に毎日完全に排出し、翌日には新しい水を使用することが大切です。また、浴槽の吸い込み口は毎日清掃を行い、吸い込み口の先につながるポンプやろ過機は週1回以上、逆洗浄や消毒等を行い、ぬめりを取り除くことが望ましいとされています。 これらの衛生管理が徹底されていれば、家庭内でレジオネラ菌に感染する可能性は低いと言えます。レジオネラ菌の感染例は、多くの人が利用する大衆浴場などでも多く発生していますが、まずはご自身の目が行き届く家庭内での衛生管理を徹底してみてくださいね! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 厚生労働省「レジオネラ症」 国立感染症研究所「レジオネラ症とは」 厚生労働省HP「レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理」 国立感染症研究所「最近のレジオネラ症の発生動向と検査方法」 国立感染症研究所「IDWR速報データ 2019年第47週」 国立感染症研究所「発生動向調査年別報告数一覧(全数把握)」 FRIDAYDIGITAL「それでも使う?「超音波式加湿器」のヤバすぎる微生物汚染の実態」 姫路市医師会「レジオネラ属菌の検査」 名古屋市HP「冷却塔・冷却水の水管の清掃と管理」 栄研化学株式会社HP「レジオネラ(Legionella)属細菌の系統進化と生態」 大阪市立環境科学研究所「アメーバの生息環境とレジオネラ感染症」 東京福祉保健局「社会福祉施設等のレジオネラ症予防対策」 東京都健康安全研究センター論文「くらしの健康とバイオフィルム」 厚生労働省「水道法第4条及び第22条等の関係について」 厚生労働省「水道水質基準について」 JCASTトレンド「インフルエンザ予防に加湿器使用 扱いを誤ると別の危険にさらされる」
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ドライアイ、放っておくと感染症の危険も
いよいよ、令和さいしょの冬の到来。今年も乾燥が気になる季節がやってきましたね。 筆者も最近、唇がパッサパサになってきました…お肌のクリームが手放せない季節になったなと、改めて感じる今日この頃です。しかし、「感染ゼロを目指す」当社のコラムに、おススメのクリームをご紹介する企画はあり得ません!(笑) 乾燥する季節に、感染症のリスクあり なのです。さいきん、物がかすんで見える目がごろごろしたり、かゆくなったりするそんな症状はありませんか?それは、ドライアイのサインかもしれません。 昨年は「乾燥肌と皮膚の感染症」についてお伝えしましたが、 冬の乾燥肌対策の秘訣は「美肌菌」!感染症予防にも? 今月のテーマは「ドライアイと目の感染症」についてです。ドライアイを放っておくと、日常生活の質が低下するだけでなく、目の感染症にかかる危険性も。油断は禁物です! あなたの目は大丈夫?ドライアイ診断! 一口に「ドライアイ」と言っても、その症状はさまざま。まずは、日本眼科学会の「ドライアイ診断」で、あなたの目のドライアイ度をチェックしていきましょう!◆ドライアイ診断(日本眼科学会HPより抜粋) ①次の項目で該当する自覚症状がいくつありますか?□目が疲れる□目が乾いた感じがする□物がかすんで見える□目に不快感がある□目が痛い□目が赤い□目が重たい感じがする□涙が出る□目がかゆい□光を見るとまぶしい □目がごろごろする□目ヤニがでる②10秒間、まばたきをせずに目を開けていられますか? 診断結果 ①で、5項目以上チェックがあった方②で、10秒間まばたきを我慢できなかった方 どちらかに当てはまるかたは、ドライアイの可能性アリです。当てはまらなかった皆さんは、ひとまず安心です!…と言いたいところですが、残念ながらそうとも限りません。なぜなら、冬の乾燥した気候下ではドライアイになりやすく、加齢によってもドライアイが進行していくからです。日本では、800万人~2,200万人ものドライアイ患者がいると言われているんです。さらに最近では、パソコンやスマートフォンの過度の使用により、ドライアイ人口が増えています。 なんと、オフィスワーカーの3人に1人がドライアイという報告もあるほど。ドライアイは、失明などの重篤な症状を引き起こすことはありませんが、慢性的な目の不快感や疲れをもたらし、日常生活の質に大きく影響をもたらします。 目の感染症にかかるリスクも高まってしまうので注意が必要です。 ドライアイの仕組み では、そもそもドライアイとは、どんな状態を指すのでしょうか。まず、ドライアイになる原因は、主に次の2つ。 ・涙の分泌量の減少・涙の質の低下 これらにより、目の表面のバリア機能が低下している状態、それがドライアイです。そして、ドライアイを防止するために重要な役割を果たしてくれるのが「涙」です。涙は、悲しさを表現するために存在するのではありません。 涙は常に分泌され、私たちの目を覆うことで、目の働きをサポートしている 涙の役割について、以下の表にまとめました(クリックで画像拡大します)。 涙は、目じりの斜め上側にある「涙腺」と呼ばれる組織で作られ、まばたきで目の表面に行き渡り、一部は目の表面から蒸発、残りは目頭の「涙点」と呼ばれる小さな穴から鼻の奥へと排出されています。また、涙は目の表面から角膜に向かって3層構造になっており、この3層のバランスが保たれることで、その質が維持されています。 ドライアイになる要因は それでは、どんなことがきっかけで、ドライアイが引き起こされるのでしょうか?日本眼科学会によると、ドライアイを引き起こす主な要因は以下の通りです(クリックで画像拡大します)。 このように、ドライアイにはさまざまな要因があります。加齢に伴うものは致し方ないとしても、・スマホやパソコンの過度な使用を避ける・意識してまばたきを行う・エアコンの使用時は加湿器と併用する など、目が乾燥した状態にならないように心掛けましょう。 PCを長時間使用するときの注意点 ビジネスマンにとって、PCは必需品ともいえるツール。「どうしても、この仕事だけは今日中に終わらせなければっ!」なんてことも。そんなときは、何時間も継続してパソコンと向き合うこともありますよね。そんなときは、下記のことを少し意識してみてください。目の負担を軽減することができますよ! ●意識してまばたきを!…ジーっと画面をにらみつけている自分に気付いたら、意識してまばたきをするようにしましょう。●伏し目がちに画面を見る!…伏し目がちに画面を見るようにすると、眼球が露出する割合が減り、目の乾きを軽減する効果が。背筋を伸ばす、または、パソコンのモニターの位置を下げたりすることで、伏し目がちにすることができます(※家のテレビも同様です。寝転がってテレビを見ると上目遣いになり、目に負担が掛かります)。●明るさの調整を!…モニターに直射日光が当たったり、周囲の明るさとの差が大きかったりすると、目の奥にある虹彩の動きが活発になり、目が疲れやすくなります。モニターと周囲の明るさは同じくらいが理想です。●目の休息時間を!…休息時間を設けることで、体がリラックスして副交感神経が作用し、涙が出やすくなります。1~2時間おきが理想です。●目薬を点眼!…(用法・容量をまもったうえで)目薬を点眼することは、目の乾燥防止になります。逆に、古い目薬は、目の感染症の一因となり危険です。開封した目薬は早めに使い切りましょう。 どれもそれほど難しいことではありません。ぜひ試してみてくださいね! ドライアイが引き起こす目の感染症 ドライアイによって引き起こされる目の感染症に「ウイルス性結膜炎」と呼ばれる病気があります。その症状は以下の通りです(クリックで画像拡大します)。 ウイルス性結膜炎は感染力が非常に強く、特効薬はありません。そのため予防が肝心。手洗いはもちろん、目のバリア機能が低下しないようドライアイには十分注意したいものです。たまにはふっと目をそらしてみたり、意識してまばたきをしてみたり。いつもがんばってくれている目を、どうかいたわってあげてくださいね。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 「ドライアイ」(日本眼科学会)流行性角結膜炎とは(国立感染症研究所)急性出血性結膜炎とは(国立感染症研究所)涙の働きと構造(大塚製薬)ドライアイについて(聖母眼科)ドライアイQ&A(大塚製薬)「涙」あってのコンタクトレンズ。目と涙を知る(参天製薬)コンタクトレンズを使用している方(参天製薬)パソコンを長時間使う方(参天製薬)女性ホルモンはうるおいにも関係。ドライアイの原因もそのひとつです(PRESIDENT WOMAN)はやり目(流行性角結膜炎)(スマイル眼科クリニック)
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史上最大級の●●、未曾有の●●災害。自分や家族を護るには正しい知識から!
このたびの台風の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。被災された皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。 自然の力に恐怖し、人の無力を痛感する大規模な自然災害。そんな災害が、大型台風を筆頭に本年はニュースに事欠きません。いったい、地球に何が起きているのでしょうか。原油の採掘、森林の伐採、等々…。残念ながら、思い当たることは十指では足りません。なかでも、日本の国土は災害が集中しやすい環境と言えます。 とはいえ、日本は私たちにとって、とても大切なふるさとです。災害があるからといって、ただちに海外へ移住というわけにはいきません。自然災害とは上手に付き合っていくしかないのです。肝心なことは、災害が起きたときに、自分や家族の命を守れるかどうかです。平成30年7月豪雨では、避難勧告が出ていたにも関わらず、避難せずに亡くなってしまった方が大勢おられるそうです。その背景には、まさか、自分が被災者になるとは思えないといった認知バイアスや、市町村側の情報伝達にも課題があったといいます。避難することの大切さを改めて痛感する、教訓的な出来事でした。 南海トラフ地震や首都直下型地震は、いつ起こってもおかしくないといわれています。今回のコラムでは、災害後に必要な知識のひとつとして、「避難所で注意すべき感染症」について、情報発信いたします。 避難所という存在 日本の災害基本法では、避難所を以下のように定義しています。 避難のための立退きを行った居住者などを、避難のために必要な間滞在させ、または自ら居住の場所を確保することが困難な被災した住民、その他の被災者を一時的に滞在させるための施設。 (災害対策基本法 第49条) 災害時、注意しなければならないのは発生時だけではなく、避難所での生活も問題視されているのです。2016年の熊本地震においては、 「建物崩壊などによる直接死」が50人に対して、避難所生活での疲労等による震災関連死が215人にも上った というデータがあります。ちなみに、避難所というと、体育館などの狭い空間に人が密集し、雑魚寝で過ごすようなイメージはありませんか?じつは、このスタイルが一般的なのは先進国の中では日本だけ…。 (※既に改善が進んでいる地域もあります)避難所での生活は、疲れがたまりやすいのみならず、感染症が成立し易い条件が揃っていると言えます。 それに、避難所には高齢者、乳幼児、妊産婦など災害弱者がおられるので、感染症対策が重要です。災害時の避難所では、手洗い用や水洗トイレ用(トイレ下水配管が使えることが確認後)は手に入っても、口にできる水には制約があります。また、調理場、ゴミ置き場などの衛生施設が充分でないことも珍しくありません。では、避難所生活を送らなければならなくなったら、どのような感染症に注意が必要なのでしょうか?感染症が成立しやすい日本の避難所生活 日本国内では、上下水道の整備やワクチン施策の充実といった公衆衛生の基盤が整備されており、感染症の発生がある程度おされられている状態といえます。ところが、堤防の決壊による床上浸水、下水施設の破綻、衛生害虫の発生などが起こると、感染症が増加する要因となります。また避難所での集団生活が長期化すれば、感染症のリスクが高まると言えるでしょう。 日本環境感染学会「大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き」 日本の避難所では、感染症が成立するために必要な3つの条件がそろっています。 <感染症が成立するための3条件>① 病原体(感染源)② 感染経路 ③ 感受性のある人 これら3つの条件と、日本の避難所生活を照らし合わせながら見ていきましょう。 一方で、欧米では健康被害を防ぐ観点から、災害発生から3日内には簡易ベッドが用意され、家族単位のテントで避難生活を送るのが一般的です。食事も、調理してすぐ提供するのが安全で温かく、美味しいという観点から、災害ボランティアに登録するプロのコックが用意します。(※日本でも多くの避難所で簡易ベッドが導入されていますが、課題は山積みのようです)避難所で注意したい感染症、予防と対策 では、避難所ではどんな感染症に注意が必要なのでしょうか?東日本大震災の際には、インフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)などが避難所で流行しました。近接して生活することを余儀なくされる避難所では、呼吸器系感染症の流行に対して脆弱です。この震災時では、インフルエンザが同一避難所の複数の建物に、急速に広がる事例が報告されています。避難生活で注意したい感染症と、その対策について、以下にまとめてみました。 これらが、避難所生活で注意したい感染症一覧です。たくさんありますね…。ワクチンで予防できる感染症に関しては、くれぐれも平常時に接種しておくことをおススメします。 備えあれば憂いなし、です。また、避難所でタオルを共用しないことは、とびひ以外にも、結膜炎予防にも非常に重要です。歯磨きを含む口腔衛生が悪化することによる、誤嚥性肺炎(※)や虫歯といった症状にも注意が必要です。 ※唾液などを飲み込むことを嚥下(えんげ)といいますが、健康な人であれば、嚥下すると口から食道を通って胃に入っていきます。しかし、嚥下機能が低下すると、食べ物などが口から気管に入ってしまいます。これが誤嚥(ごえん)です。誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで、炎症を発症する疾患です。 感染症を流行させないために一人ひとりができること 共同生活を行う避難所では、感染症を拡大させないよう、一人ひとりが心がけることが大切。「避難所における感染対策マニュアル」より、予防法を抜粋してお伝えします。 以上、避難所で心がけたい感染症の予防法でした。防災バックの中に、手指消毒液、マスク、サランラップは必須ですね!被災地でのボランティアをお考えのかたへ これまでのように、被災地においては、水系・粉塵曝露を原因とした感染症や避難所での密集した集団生活による感染症が流行するリスクがあります。ボランティアで被災地・避難所へ向かわれる方には、主に感染症予防(特に持ち込みおよび自身の罹患の予防)という観点から、国立感染症研究所で発信されている、以下のページをご一読いただき、予防を心掛けてください。ご自身のためだけでなく、感染拡大を防ぐためにも大変重要です。 ボランティアに行かれる際にご留意いただくこと(国立感染症研究所 感染症疫学センター) 以上、今月号では自然災害時の避難所に焦点をあて、そのリスクと対策について書かせていただきました。少しでも読者の皆様の参考にしていただければ幸いです。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 日本環境感染学会「大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き」内閣府「1 災害を受けやすい日本の国土」「避難所のあり方、海外との比較」避難所・避難生活学会理事長 榛沢 和彦氏「「東日本大震災―地震・津波後に問題となる感染症― Version 2」」日本感染症学会国立感染症研究所東北感染制御ネットワーク「避難所における感染対策マニュアル」日本感染症学会「震災と感染症」厚生労働省「FORTH」厚生労働省「分かりやすい ウイルス性肝炎 ? ウイルス肝炎研究財団」NHK「避難所生活で知ってほしい」全日本民医連「特集 避難所を考える」令和元年 防災白書朝日新聞「災害関連死を防ぐ合言葉TKB 過ごしやすい避難所とは」広島ニュースTSS「【広島から伝えたい】水道復旧に動いた父が死亡、うわさに苦しんだ息子 「災害関連死」を知らない人へ」HUFFPOST「東日本大震災、体育館避難所で起きたこと」中央防災会議「災害時の避難に関する検討課題」感染症TODAY「大規模災害と感染症」社会福祉法人恩賜財団済生会 誤嚥性肺炎
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長引く咳は危険信号かも…「百日咳」が流行中
長かった猛暑の時期が過ぎ、秋の気配が感じられますね。暑さが苦手なかたも、ようやく積極的に外に出られそうな気候です。しかし、季節の変わり目で、天候も不安定なこの時期。 猛暑下の疲れも残っており、免疫力が低下しがちです。 「少し風邪気味かな…」「そういえば、少し咳が続いているかも…」 そんなかたも少なくないのではないでしょうか?そこで、今回採り上げるのは、そんな咳症状について。 「いやいや、ただの風邪だから」 と、ご自身で決めつけてやしませんか? いま、全国的に「百日咳」流行が注目を集めているのです。 青年・成人の感染例が増加!知らない間に感染源に 「百日咳」は2018年1月から新しい届け出基準によるサーベイランスが始まりました。従来は全国の約3000か所の小児科の定点医療機関から週単位で届け出してもらっていましたが、 ・報告数が30年前の約1/10に減ってきた・アウトブレイク発生時、必ずしもその患者さんが定点の医療機関にかかるとは限らない という背景から、新しい制度では、小児科だけでなく内科の医療機関からも報告する方法に変更されました。すると、2018年の1年間(52週)の累計患者数は11,190人でしたが、2019年に入ってからは、36週時点で11,953人が報告されており、昨年を上回る勢いです。もちろん、これには医師による新しい報告制度の認知が進んだことや、信頼性の高い検査法が多く用いられるようになった背景があるのかもしれません。 えっ?「百日咳」って、乳児がかかる病気だったのでは? かつてはそのとおりでした。そのため、小児科専門の先生がたから発生状況を報告してもらっていたのです。ところが、 2005年頃から、小児科で子供のついでに受診したその親の世代である20歳以上の患者さんが多く報告されるようになった のです。新しい制度では、すべての年齢を対象とした報告となっているので、全体像が見えるようになりました。とくにワクチン接種歴との関連をみてみると、いろんなことが見えてきました。 キーワードは「3つの峰」 国立感染症研究所からの百日咳に関する発表によると、 ・初回ワクチン接種前を含む0歳児・7歳ピークにした5歳から15歳未満までの学童期 ・30~50歳台の成人 の3つの峰があることがわかります。 百日咳は、 生後1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすく、特に生後6ヵ月未満の乳児においては死に至る可能性の高い危険な病気 です。0歳で発症した場合、半数以上の患者が呼吸管理のために入院しているという報告もあります。一方で、青年・成人が感染した場合は軽症であるケースが多く、百日咳と気づかないまま日常生活を送る人が感染を広げています。 4回の定期接種では、予防は不十分 百日咳は、予防接種で防ぐことができる病気です。1950年から定期予防接種に定められ、現在は破傷風、ジフテリア、百日咳にポリオを加えた四種混合ワクチンの一部として、生後3か月から3~8週の間隔で3回、3回目の約1年後に4回目を接種することになっています。四種混合ワクチンは無料で接種することができるため、その接種率は高く、ほぼ100%の子どもが2歳前に1回目の接種を完了、4回目の接種も約83%の子どもが完了しています。ところが、上図の最も多い峰である5歳から15歳までの年齢層の患者をよく見てみると、4回のワクチン接種歴がある人でした。なぜ、百日咳の感染が広がっているのでしょう。その理由は… 百日咳ワクチンの効果は、4~12年で弱まってしまう ためなのです。国立感染症研究所の資料によると、4回目の接種が完了した4年後の5歳には、抗体保有率が20%台まで低下するとあります。にも関わらず、日本で5回目以上の追加接種が行われてこなかったのは、百日咳ワクチンの副作用が、成長するに伴い強くなってしまうためでした。アメリカなどのワクチン先進国では、11歳までに6回の接種が推奨されています。日本でも2016年に青年・成人への追加接種の安全性が検証されたことから、日本小児科学会では7.5歳までに5回目のワクチン接種を推奨しています。しかし、その事実はあまり認知されておらず、かつ自己負担での接種になるため、ワクチンでの予防対策が不十分なまま感染が拡大しているのが現状です。 百日咳の症状は 百日咳の症状は、いったいどのようなものなのでしょうか。百日咳は、感染してから回復するまで、以下3つの経過をたどります。 百日咳は、抗菌薬の投与による治療が可能です。カタル期に最も感染力が強くなるため、1週間以上、咳が長引いている場合は、医療機関でのお早目の受診をおススメします。 百日咳を予防するためには 百日咳の感染経路は、以下の2つ。 患者の咳やくしゃみと一緒に排出された菌を吸い込む「飛沫感染」患者の手についた菌が付着した物を介する「接触感染」 百日咳の感染力は非常に強く、狭い空間を長時間共有する環境に菌が入り込んだ場合、感染は簡単に拡大していきます。その感染力は、百日咳患者のいる家庭内において、免疫のない家族が発症する確率80%以上といわれているほど。そのため、予防にはワクチンの接種が一番。乳幼児のお子さんがいる場合、四種混合ワクチンの接種を必ず行なうようにしましょう。乳幼児以外のご家族が予防接種を受ける場合は、Tdapと呼ばれる三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)を接種することが可能です。ただし、健康保険適用外となるため、約1万円程度の費用がかかり、接種可能な医院も限られています。家族全員の接種を考えると、大きな出費にはなりますが、生後6カ月未満の患者のうち、半数以上が生後3ヵ月未満児であることがわかっています。つまり、四種混合の接種が可能な月齢に達する前に、家族から感染してしまうことになります。乳児の命が危険に晒されるかもしれないと考えると、検討する余地は大いにありそうです。乳幼児がご家庭にいなくても、長引く咳は本人がいちばん辛いもの。会議中や商談中などで咳が止まらなくなったときを想像したら、やはり感染を防ぎたいですね。 予防接種以外の対策法としては、マスクの着用、こまめな手洗いといった基本的な対策も重要です。知らないうちに感染拡大の一端を担うかもしれないという事実を重く捉え、感染症を広げないマナー、大切にしたいものですね。 (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL 国立感染症研究所国立感染症研究所感染症情報センター東京都感染症情報センターAERA「急増する大人の百日咳 知らぬ間に感染源になる危険」ラジオNIKKEI 「全数把握対象疾患となった百日咳の今日的問題とこれからの対応」 ヨミドクター(yomiDr.) 「百日咳予防は定期接種4回では不十分」 OMRON 「おとなに増えている百日咳(ひゃくにちぜき)」
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「東京2020 マスギャザリング」への備え
東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと一年足らず。限界まで鍛え抜かれた選手たちの世界のプレーを、この目で見るチャンスです!チケットの1次抽選には、96万人の当選者数に対して約512万人が応募、倍率は1枚あたり約5.3倍という報道もありました。開催期間中は、50万~100万人/日の観戦客が東京を訪れるともいわれます。日本中が大いに盛り上がりそうですね! さて、そんな胸躍る世界規模のイベント「東京2020」ですが… 大勢が集まるところに、感染症リスクあり! なのです。今回では、そのリスクについて採り上げていきたいと思います。 「マスギャザリング」とは オリンピック・パラリンピックのような世界規模の祭典では、前述のように、大勢の観光客・関係者が集まります。このように、 一定期間、限定された地域において、同一目的で多くの人が集合した状態 これを「マスギャザリング」と呼びます。マスギャザリングが形成されている際は、感染症のみならず、さまざまな健康危機管理事態の発生が予期されます。特に、国境を越えてさまざまな人が集まる国際的なイベントにおいては、輸入感染症のリスクが懸念されます。近年の事例をみると、 2016年のリオ五輪開催時…WHOがジカウイルス感染症を国際的な脅威に対する公衆衛生上の緊急事態であると宣言。2017年9月のバスケットボールクラブカップ開催時…マダガスカルで発生した肺ペストが首都や港湾都市で拡大、当時開催されていたインド洋チャンピオンクラブカップのバスケットボール大会関係者の死亡も報じられました(同年11月20日時点で2,348名が感染、うち202名が死亡)。2018年2月の平昌冬季オリンピック開催時…ノロウイルスが感染拡大。スイス選手団2名、および五輪の警備員94名を含む、200人以上が感染と報じられました。 このように、近年だけをみても、国際大会での高いリスクをうかがい知ることができます。 2019年以降に国内開催される国際イベント 2025年までに、日本国内では以下のイベントの開催が予定されています。 このように、いくつかの大型イベントが予定され、外国人観光客の訪日が見込まれています。2019年6月に開催のG20では、約3万人の外国人が訪日したといわれていますが、このときは輸入感染症の流行は見られませんでしたが、G20で訪日したのは主にVIPと報道機関。相対的に健康管理には意識が高い層であると考えられるため、感染症の脅威は低かったと考えられますので、国際大会との比較は早計かもしれません。 国際大会で注意すべき感染症/日本政府の取り組み 国際大会に際しては、政府や専門家らによる感染症対策が綿密に進められていますが、特に輸入感染症においては、その都度リスク評価、対策が必要です。 ●世界中からの訪日客が見込まれ、想定される国・エリアからの輸入感染症リスクの想定●政府、行政、大会組織委員会、自治体との情報共有など連携の強化●正確な情報収集、開示、および発信 日本政府でも、パンデミックの防止、間違った情報流布による混乱を来さないように各種体制整備を進めており、既にいくつかの施策が実施されています。例えば、出入国者に対する感染症の注意喚起を強化、入国者に対してはサーモグラフィによる体温測定を行い、必要に応じて問診や検査等を実施するなど水際対策を実施しています。さらに感染症の情報共有システムを整備。感染症が疑われる患者の報告定義も見直し、医療機関からの報告を徹底すると共に、全国の自治体間で即時に情報共有可能な仕組み作りなどを行っています。従来より、比較的高度な公衆衛生のシステムを保有していると言われる日本ではありますが、こうした国際大会を機に、そのシステムをさらに昇華させ、大会後にも活かせる遺産として残していくことが期待されます。 東京2020に際して注意すべき感染症 国際大会時に注意すべき感染症のなかで、「東京2020に際して注意すべき」と発表されている感染症を、以下の表でご紹介します(クリックで画像は拡大します)。 一人一人が危機意識を持って予防を! 感染症への防御策として一番大切なのは、私たち一人ひとりが危機意識を持って、しっかり予防対策を行うことです。流行が懸念される感染症の中には、麻しん、風しん、侵襲性髄膜炎菌感染症、百日咳など予防接種で防ぐことができる感染症も。まずは、ご自身の予防接種歴や罹患歴を見直し、流行が懸念される感染症について抗体があるかどうかを調べることが大切です。もし抗体がなければ、早めにワクチンを接種するようにしてください。さらに、イベント期間中は特にしっかりと手洗いを行い、場合によってはマスクの着用など、基本的な予防対策を心がけることが肝心。国立感染症研究所の感染症速報など、正確な情報を得ようとする姿勢も大切です。 以上、今回は国際大会というマスギャザリングの紹介と注意すべき感染症についてお伝えしました。自国開催という稀有な体験を心から満喫できるよう、ご自身やご家族の体調管理・心構えは万全に、思いっきり楽しみましょう! (監修:防衛医科大学校 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門 加來浩器先生) 参照URL みずほフィナンシャルグループによる東京五輪リサーチインバウンド コト消費ラボRWC2019ニュースNEWS JAPAN【平昌五輪】ノロウイルス感染広がる国立感染症研究所 感染症疫学センター 東京オリンピック・パラリンピック競技大会における感染症サーベイランスについて一般社団法人日本感染症学会 インバウンド感染症への対応厚生労働省健康局 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会にかかる感染症対策について東京都感染症マニュアル2018
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